北陽高・嘉勢敏弘は近鉄とオリックスの2球団競合
夏の甲子園決勝で佐賀商が樟南を破って初優勝を決めた1994年。秋のドラフトの注目株だった高校通算70本塁打の別府大付高・城島健司は、プロ入りを拒否して駒澤大進学を表明していた。
当時は大学生と社会人対象の逆指名制度があり、2巡目まで指名が重複した場合は抽選、3巡目以降はウェーバーというルール。城島はダイエーが強行指名し、北陽高(現関大北陽高)・嘉勢敏弘が近鉄とオリックスの2球団競合、横浜高・紀田彰一が横浜と中日の2球団競合となった。
外れ1位も含め、各球団1巡目指名選手のプロ入り後の成績を振り返る。
横浜は地元・横浜高の紀田彰一、ロッテは大村三郎
日本ハムは仙台育英高の右腕・金村秀雄(曉)を指名した。夏の甲子園で嘉勢擁する北陽を破ってベスト8入りした金村は、1998年に防御率2.73でタイトル獲得するなど、主に先発で活躍。2002年から4年連続2桁勝利を挙げ、通算89勝81敗2セーブをマークした。阪神移籍後の2010年オフに戦力外となった。現在は阪神の一軍投手コーチを務めている。
横浜は地元・横浜高で通算41本塁打をマークしていた紀田彰一を引き当てた。しかし、素質開花せず、2年目に6試合出場したのみで西武移籍後の2000年オフに戦力外となった。
ロッテはPL学園高の大村三郎を指名。当時は同姓の大村巌が所属しており、同年にオリックスのイチローが210安打を放ってブレークしたこともあって「サブロー」で登録された。2011年6月に巨人にトレード移籍したが、オフにFA宣言してロッテに復帰。2016年に引退するまで通算1363安打、127本塁打をマークした。
阪神は甲府工高の右腕・山村宏樹を指名。近鉄、楽天と移籍し、2012年にユニフォームを脱いだ。通算31勝44敗2セーブ20ホールドの成績を残している。
ヤクルトは北川哲也、広島は山内泰幸
ダイエーは城島健司を強行指名した。就任したばかりの王貞治監督に口説かれてプロ入りすると、小久保裕紀、松中信彦、井口資仁らと「ダイハード打線」を形成。2005年オフにFAでマリナーズに移籍し、阪神移籍後の2012年に引退した。通算1406安打、244本塁打、808打点。現在はソフトバンクの会長付特別アドバイザーを務めている。
ヤクルトは日産自動車の右腕・北川哲也を逆指名で獲得。1999年オフに戦力外となるまで通算36試合登板で4勝5敗1セーブだった。
近鉄は嘉勢を外して桜井商高の右腕・田中宏和を指名。しかし、一軍登板を果たせないまま1999年に戦力外となった。
広島は尾道商高から日本体育大に進んで通算31勝を挙げていた右腕・山内泰幸を逆指名で獲得。1年目から14勝を挙げて新人王に輝くなど活躍し、2002年に引退するまで通算45勝44敗1セーブの成績を残した。