東北高の高井雄平は近鉄とヤクルトの2球団競合
夏の甲子園で明徳義塾が初優勝した2002年。すでにプロで大活躍していた松坂大輔(当時西武)の同期生「松坂世代」が大学を経てプロ入りを控える年だった。
秋のドラフト会議は、大学生と社会人対象の「自由獲得枠」を2枠活用した場合は4巡目から、1枠活用した場合は2巡目から、全く活用しなければ1巡目と3巡目が指名でき、1巡目のみ指名が重複した場合は抽選という複雑なルール。「高校ナンバー1左腕」と高評価された東北高の高井雄平を指名するには自由獲得枠を放棄しなければならず、各球団とも水面下で激しい駆け引きがあった。
結果的に自由枠を活用しなかったのは日本ハム、ロッテ、中日、近鉄、ヤクルトの5球団。高井は近鉄とヤクルトの2球団競合となった。各球団1巡目指名選手の通算成績を見ていこう。
日本ハムはセンバツ優勝の報徳学園・尾崎匡哉を指名
オリックスは自由枠で神奈川大の右腕・加藤大輔を獲得した。2008年に33セーブで最多セーブに輝くなど、主にリリーフとして活躍。楽天移籍後の2013年に引退するまで通算22勝28敗87セーブ54ホールドの成績を残した。2巡目では滝川二高を中退して渡米し、メジャー通算16勝をマークしていた鈴木誠(マック鈴木)を指名。NPBでは3シーズンで通算5勝15敗1セーブだった。
横浜は自由枠で日本大のスラッガー・村田修一と法政大の右腕・土居龍太郎を獲得。村田は巨人時代を含めて通算1865安打、360本塁打をマークした。現在は巨人の一軍野手総合コーチを務めている。大学通算24勝を挙げた土居はロッテ移籍後の2007年オフに戦力外。通算32試合登板で1勝5敗だった。
日本ハムは自由枠を使わず、同年春のセンバツで優勝した報徳学園・尾崎匡哉を1巡目指名。しかし、一軍では通算25試合に出場して6安打を記録しただけで、2014年オフに戦力外となった。3巡目では夏の甲子園で4強入りした川之江高の右腕・鎌倉健を指名。2005年に7勝を挙げたが、2007年オフに戦力外となった。通算7勝7敗1ホールドだった。
広島は自由枠で亜細亜大の右腕・永川勝浩を獲得。主にクローザーとして広島ひと筋の現役生活を送り、通算527試合登板で38勝42敗165セーブ79ホールドをマークした。2巡目では帝京高・吉田圭を指名。一軍で16試合に出場した2006年に3安打2打点を記録したが、2009年オフに戦力外となった。
ロッテは大阪桐蔭・西岡剛、中日は明徳義塾・森岡良介
ロッテは自由枠を使わず、1巡目で大阪桐蔭高・西岡剛を指名。首位打者と最多安打に輝いた2010年オフにポスティングシステムでツインズ入りし、2012年オフに阪神移籍した。日米通算1241安打をマークしている。3巡目は敬愛学園高の左腕・浅間敬太を指名。2003年に2試合に登板しただけで2008年オフに戦力外となった。
阪神は自由枠で龍谷大の右腕・杉山直久と専修大の左腕・江草仁貴を獲得した。杉山は2011年オフに戦力外通告を受けるまで通算94試合登板で21勝23敗。江草は広島時代も含めて349試合登板で22勝17敗48ホールドの成績を残し、2017年オフにユニフォームを脱いだ。
ダイエーは自由枠で早稲田大の左腕・和田毅と九州共立大の右腕・新垣渚を獲得。和田はメジャー時代も含め日米通算143勝76敗をマークしており、松坂世代では松坂とともに現役でプレーしている。沖縄水産高時代にオリックスの1位指名を拒否して大学進学した新垣は、64勝64敗の成績を残し、ヤクルト移籍後の2016年オフに引退した。
中日は全国制覇した明徳義塾高の主将・森岡良介を1巡目で指名。ヤクルト時代を含めて通算557試合出場で290安打を放った。現在はヤクルトの一軍内野守備走塁コーチを務めている。3巡目では高校通算39本塁打の砺波工・櫻井好実を指名。しかし、一軍出場を果たせないまま2006年オフに戦力外となった。