東北高のダルビッシュ有が高校生の目玉
近鉄とオリックスの球団合併に端を発した球界再編騒動が起こった2004年。秋のドラフト会議は新規参入した楽天が初参加し、後にソフトバンクに身売りすることになったダイエーが最後の参加となった。
当時は大学生と社会人対象の「自由獲得枠」があり、2枠まで活用できた。ただ、2枠活用した場合はドラフト4巡目からの指名となり、1枠活用なら2巡目から、全く活用しなければ1巡目と3巡目の指名ができ、1巡目のみ重複した場合は抽選という複雑なルール。そのため、上位指名確実な高校生が欲しい場合は自由獲得枠を放棄する必要があった。
高校生の目玉は東北高のダルビッシュ有(現パドレス)。3年春のセンバツでノーヒットノーランを達成するなど甲子園を沸かせた長身右腕に注目が集まった。
結果的に8球団が自由獲得枠を活用したため、ドラフト1巡目指名したのは広島、日本ハム、ダイエー、西武の4球団。自由枠の選手も含め、プロ入り後の成績を見ていこう。
広島は秋田商の右腕・佐藤剛士を単独指名
横浜は自由枠で日本大の左腕・那須野巧と同志社大の右腕・染田賢作を獲得した。東都大学リーグ通算22勝をマークした那須野は2007年に63試合に登板したが、2009年オフにトレードでロッテ移籍。新天地では登板機会のないまま2011年オフに戦力外となった。通算121試合登板で13勝27敗1セーブ14ホールドの成績を残している。染田はプロで2試合登板したのみにとどまり、2008年オフに戦力外。2018年には乙訓高(京都)の部長としてセンバツに出場している。
オリックスは自由枠でトヨタ自動車の右腕・金子千尋(現弌大)を獲得。2018年オフに日本ハムに移籍し、通算129 勝88敗5セーブ8ホールドをマークしている。また、ドラフト2巡目でJR東海の右腕・光原逸裕を指名。ロッテ移籍後の2012年オフに戦力外となるまで通算28試合登板で8勝12敗の成績を残した。
広島は自由枠を活用せず、秋田商の右腕・佐藤剛士を1巡目指名。しかし、一軍では1試合しか登板できず2010年オフに戦力外となった。3巡目では関西外国語大の右腕・森跳二を指名。2010年オフに戦力外となるまで通算27試合登板で1勝3敗2ホールドだった。
ロッテは自由枠で松下電器の右腕・久保康友と新日本石油の右腕・手嶌智を獲得。関大一高(大阪)時代にセンバツ準優勝した久保は、ロッテ入り後、阪神、DeNAと渡り歩き、通算304試合登板で97勝86敗6セーブ20ホールドをマークした。手嶌は一軍で1試合に登板しただけで2009年オフに戦力外となった。
ダルビッシュは日本ハムが一本釣り、ダイエーは江川智晃
阪神は自由枠で大阪ガスの左腕・能見篤史と松下電器の捕手・岡﨑太一を獲得した。鳥取城北高時代に平安・川口知哉、水戸商・井川慶とともに「高校生左腕三羽烏」と呼ばれていた能見は、2009年に13勝を挙げるなど通算104勝93敗2セーブ51ホールドをマーク。昨オフ、投手兼任コーチとしてオリックスに移籍した。岡﨑は昨オフに引退するまで通算119試合出場で27安打、2本塁打の成績を残している。
注目のダルビッシュ有は日本ハムの単独指名だった。高卒1年目から5勝を挙げると、2年目から6年連続2桁勝利。2011年オフにポスティングシステムでメジャー移籍後も通算71勝を挙げており、日米通算164勝94敗1ホールドと日本を代表する投手の一人として活躍している。3巡目ではホンダの右腕・橋本義隆を指名。プロ入り後はヤクルト、楽天に移籍し、通算98試合登板で5勝5敗4ホールドの成績を残している。
巨人は自由枠でシダックスの右腕・野間口貴彦と八戸大の右腕・三木均を獲得。野間口は2015年オフに戦力外となるまで通算111 試合登板で13勝12敗1セーブ9ホールド、三木は2008年オフに戦力外となるまで通算8試合登板で0勝1敗だった。
ダイエーは宇治山田商のスラッガー・江川智晃を1巡目で指名。2019年オフに戦力外となるまで通算345試合出場で183安打、26本塁打の成績を残した。3巡目では横浜創学館高の右腕・高橋徹を指名。プロ入り後は一軍で2試合に登板しただけで2011年オフに戦力外となった。