松坂は日本ハム、西武、横浜、沖縄水産・新垣渚にはダイエーとオリックスが競合
松坂大輔を擁する横浜高が甲子園春夏連覇を達成した1998年。秋のドラフトは、その松坂を筆頭に大豊作だった高校生だけでなく、大学生や社会人も含めて大当たりの年となった。ドラフト1位から後のメジャーリーガーが5人も誕生したことだけでも、レベルの高さが証明されている。
当時は大学生と社会人を対象にした逆指名制度があり、2巡目まで重複した場合は抽選というルール。松坂には日本ハム、西武、横浜の3球団が競合し、沖縄水産高の右腕・新垣渚にはダイエーとオリックスが競合した。
外れ1位も含め、各球団1巡目指名選手のプロ入り後の成績を振り返ろう。
阪神は藤川球児、近鉄は1位と2位で近大バッテリー
ロッテは東京ガスの右腕・小林雅英を逆指名で獲得。NPB通算228セーブをマークするなどクローザーとして活躍し、「幕張の防波堤」と呼ばれた。MLBインディアンス、巨人、オリックスと移籍して日米通算40勝39敗234セーブ6ホールドの成績を残した。
阪神は高知商の右腕・藤川球児を指名した。ジェフ・ウィリアムス、久保田智之とともに「JFK」を形成するなど、主にクローザー、セットアッパーとして活躍し、日米通算61勝39敗245セーブ164ホールドの成績を残した。昨年、名球会入りの条件となる250セーブ目前で惜しまれつつ引退したのは記憶に新しい。
近鉄は近畿大の右腕・宇高伸次を逆指名で獲得し、2位では近大で宇高とバッテリーを組んでいた捕手の藤井彰人を指名した。史上初のアマ五冠に輝いた近大のエースとして関西学生リーグ通算20勝を挙げたアンダースローへの期待は大きかったが、プロでは2勝にとどまり、横浜に移籍した2004年オフに戦力外となった。
広島は敦賀気比高・東出輝裕を1巡目指名。広島ひと筋の現役生活で通算1492試合に出場し、1366安打、143盗塁をマークした。現在は広島の二軍打撃コーチを務めている。
ダイエーは新垣外して吉本亮、上原浩治は巨人を逆指名
ダイエーは沖縄水産高の新垣渚を抽選で外し、九州学院高で通算66本塁打を放った吉本亮を指名。大砲候補として期待されたが、プロではわずか1本塁打に終わり、ヤクルト移籍後の2011年オフに戦力外となった。現在はソフトバンクの三軍打撃コーチを務めている。
ヤクルトは愛工大名電高の右腕・石堂克利を指名。2007年オフに戦力外通告を受けるまで通算26試合登板で11勝10敗の成績を残した。
オリックスは新垣渚を引き当てたものの、ダイエー入りを熱望する本人を説得できず獲得を断念。三輪田勝利編成部長が飛び降り自殺するというショッキングな出来事があった。
巨人は逆指名で大阪体育大の右腕・上原浩治を獲得。1年目から20勝を挙げるなど日米で活躍し、通算134勝93敗128セーブ104ホールドをマークした。