菅野智之、藤岡貴裕、野村祐輔が「大学BIG3」
2011年のドラフト会議では「大学BIG3」と呼ばれた東海大・菅野智之、東洋大・藤岡貴裕、明治大・野村祐輔が目玉だった。
中でも原辰徳監督の甥で、東海大相模高、東海大の後輩にあたる菅野は巨人入りを熱望しており、巨人も1位指名を公言していたことから単独指名されると見られていた。しかし、蓋を開ければ日本ハムと競合。抽選の結果、日本ハムが交渉権を獲得するという予想外の展開となった。
また藤岡はロッテ、横浜、楽天の3球団競合、野村は広島が一本釣りした。

外れ1位も含め、12球団の1巡目指名選手のプロ入り後の成績を振り返る。
ロッテは藤岡貴裕、横浜は北方悠誠、楽天は武藤好貴
ロッテは西村徳文監督が見事に藤岡を引き当てた。桐生一高から東洋大に進み、東都リーグで通算27勝をマーク。背番号18を背負ったロッテでは、1年目の2012年4月1日楽天戦で初先発初勝利を飾る最高のスタートを切った。2014年まで3年連続6勝を挙げたが、その後は下降線を辿り、日本ハム、巨人と移籍。2020年限りでユニフォームを脱いだ。通算178試合登板で21勝32敗16ホールドの成績を残している。
横浜は藤岡を外した後、巨人と競合した英明高・松本竜也も外し、唐津商の右腕・北方悠誠を外れ外れ1位で指名。150キロを超えるストレートに期待は高かったが、一軍出場を果たせないまま、ソフトバンクに移籍した2015年に戦力外となった。その後も独立リーグや米マイナーリーグでプレーしている。
藤岡を外した楽天はJR北海道の右腕・武藤好貴を指名した。札幌藻岩高から中京大を経て入社したJR北海道では都市対抗や社会人日本選手権に出場。楽天では2015年にプロ初勝利を含む4勝を挙げたが、2018年オフに戦力外となった。通算85試合登板で4勝4敗1セーブ8ホールドの成績を残している。
広陵高時代に夏の甲子園で準優勝し、明治大では東京六大学リーグ通算30勝をマークした野村祐輔は広島が単独指名。2016年には16勝3敗で最多勝と最高勝率に輝き、25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。これまで通算77勝55敗、防御率3.45の成績を残している。
阪神は伊藤隼太、菅野を外した巨人は松本竜也
オリックスは3球団競合となった東海大甲府高の高橋周平を外し、東芝の安達了一を指名した。群馬・榛名高から上武大を経て、東芝では都市対抗優勝に貢献。オリックスでは堅守のショートして通算964試合に出場し、打率.244、750安打、35本塁打の成績を残している。
阪神は慶応義塾大・伊藤隼太を単独指名した。中京大中京高時代に通算29本塁打を放ち、大学4年春のリーグ戦では打率.405をマーク。スター候補として期待されたが阪神ではレギュラーをつかめず、2020年オフに戦力外となった。通算成績は365試合で打率.240、154安打、10本塁打。現在は四国アイランドリーグの愛媛で選手兼任コーチを務めている。
西武はJR東日本の右腕・十亀剣を単独指名。愛工大名電高時代にセンバツ優勝し、日本大を経て社会人時代は都市対抗で優勝した。プロ入り後は2015年に初の2桁となる11勝を挙げるなど、通算206試合登板で52勝49敗3セーブ13ホールドの成績を残している。
菅野を外した巨人は、外れ1位で横浜と競合した英明高の左腕・松本竜也を引き当てた。190センチの長身左腕は素質を高評価されていたが、2015年、野球賭博に関わっていたことが発覚し、一軍出場を果たせないままユニフォームを脱いだ。