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村上宗隆、清宮幸太郎、安田尚憲がプロ入りした2017年ドラフトの答え合わせ

2023 11/27 07:00SPAIA編集部
ヤクルトの村上宗隆・日本ハムの清宮幸太郎・ロッテの安田尚憲,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

早稲田実・清宮幸太郎に7球団競合

アマチュア時代の評判や実績とプロ入り後の成績が一致しないことはよくあるが、2017年ドラフト組ほどその傾向が顕著に現れている年も珍しい。

最大の目玉は高校通算111本塁打の新記録を樹立した早稲田実・清宮幸太郎だった。同65本塁打の履正社・安田尚憲、同52本塁打の九州学院・村上宗隆とともに「高校BIG3」と呼ばれ、ドラフト前には夏の甲子園で6本塁打を放った広陵高・中村奨成も加えた「BIG4」と騒がれた。

蓋を開けると清宮にはなんと7球団競合。中村には2球団競合し、安田と村上はともに外れ1位で3球団競合だった。

2017年ドラフト1巡目指名選手の通算成績


各球団の1巡目指名選手とプロ入り後の成績を振り返る。

履正社・安田尚憲はロッテ、九州学院・村上宗隆はヤクルト

ロッテは清宮を外したが、外れ1位で阪神、ソフトバンクと競合した安田を引き当てた。1年目から17試合に出場してプロ初本塁打も放ち、2年目は二軍で19本塁打、82打点をマークして二冠王。3年目には一軍で113試合、4年目には119試合、5年目の2023年は122試合と出場機会を増やしている。まずは2022、23年にマークした9本塁打の自己最多を更新し、2桁本塁打をクリアしたい。

現段階で同期の一番出世は間違いなく村上宗隆だ。清宮の外れ1位で巨人、楽天と競合したが、ヤクルトが当たりくじを引いたのも本人にとっては幸運だったかも知れない。甲子園で華々しい活躍を見せた清宮や安田に比べると、1年夏に1度だけ出たものの初戦敗退。「BIG3」の中では最も目立たない存在だったスラッガーは、自由にノビノビできる環境や比較的狭い神宮が本拠地の球団で期待以上の急成長を見せた。

1年目の9月に一軍昇格して初打席初本塁打の衝撃デビューを飾ると、2年目は36本塁打、96打点と大ブレイク。日本人最多のシーズン184三振を喫しても起用し続けた首脳陣の我慢が結実し、見事に素質開花した。そして2022年は56本塁打、134打点、打率.318で三冠王。今や日本球界を代表するスラッガーとなった。

7球団競合の清宮幸太郎を引き当てたのは日本ハムだった。1年目から53試合に出場して7本塁打を放ち、高卒ルーキーとしては上々のプロ生活のスタートを切ったが、2年目、3年目も7本塁打にとどまり打率は2割前後。2022年に18本塁打、55打点をマークしたが、プロ入り前の騒がれ方から考えると物足りなさは否めない。芯に当たれば飛距離は出るだけに確実性のアップが課題だ。

巨人は中央大・鍬原拓也、DeNA東克樹は新人王に

中日は中村奨成を外してヤマハの右腕・鈴木博志を指名。1年目は53試合登板で4勝6敗4セーブ12ホールド、2年目はクローザーを務めて14セーブを挙げたが、3年目はわずか6試合登板にとどまり、サイドスローに転向した。しかし、再びオーバースローに戻したものの、2023年は9試合で1勝2敗に終わった。

オリックスは西武と競合したJR東日本の左腕・田嶋大樹を指名。スリークォーターから投げ込むキレのいいストレートと多彩な変化球を武器に1年目から先発ローテーションの一角を担い、通算36勝をマークしている。

巨人は清宮、村上を外し、中央大の右腕・鍬原拓也を指名した。1年目の6月にプロ初勝利を挙げたものの、通算5勝どまり。2023年オフに戦力外通告を受け、ソフトバンクが育成契約で獲得すると報じられている。

楽天は清宮、村上を外して岡山商科大の右腕・近藤弘樹を指名した。3年間で17試合に登板したが1勝も挙げられず、2020年オフに戦力外通告。2021年はヤクルトに移籍して22試合登板で防御率0.96、11ホールドをマークしたが、現在は育成契約となり支配下復帰を目指している。

2017年ドラフトの1位指名で唯一抽選にならなかったのがDeNAだった。立命館大で通算19勝をマークした左腕・東克樹を一本釣り。狙いは見事にハマり、1年目から24試合に先発して11勝を挙げて新人王に輝いた。2020年に左肘のトミー・ジョン手術を受けたが復活を果たし、2023年は16勝で最多勝に輝いた。

広島は地元のスター候補・中村奨成

西武は田嶋大樹を外して明治大で通算11勝の左腕・齊藤大将を指名。1年目は16試合に登板してプロ初勝利も挙げたが、徐々に登板機会が減り、2021年5月に左肘を手術。現在は育成契約となっている。

阪神は清宮、安田を外し、外れ外れ1位でソフトバンクと競合した仙台大の右腕・馬場皐輔を引き当てた。3年目の2020年にプロ初勝利を挙げ、2023年は19試合で2勝1敗3ホールドの成績を残している。

ソフトバンクは清宮、安田、馬場と3連続で外し、外れ外れ外れ1位で鶴岡東高の右腕・吉住晴斗を指名。4年間で一度も一軍に上がれず、2021年に現役を引退した。

広陵高のスター候補・中村奨成は地元・広島が引き当てた。3年目にようやく一軍初出場。2021年にプロ初本塁打も放ったが、2023年は18試合出場にとどまった。

2巡目以下では亜細亜大・髙橋遥人が阪神2位、専修大・高橋礼がソフトバンク2位、NTT東日本・福田周平がオリックス3位、NTT西日本・大城卓三が巨人3位、JX-ENEOS・塩見泰隆がヤクルト4位、花咲徳栄高・清水達也が中日4位、八重山商工高・平良海馬が西武4位、東農大北海道オホーツク・周東佑京がソフトバンク育成2位、神戸弘陵高・東晃平がオリックス育成2位、早稲田大・大竹耕太郎がソフトバンク育成4位で入団している。

※成績は2023年終了時点

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