早稲田実・清宮幸太郎に7球団競合
アマチュア時代の評判や実績とプロ入り後の成績が一致しないことはよくあるが、2017年ドラフト組ほどその傾向が顕著に現れている年も珍しい。
最大の目玉は高校通算111本塁打の新記録を樹立した早稲田実・清宮幸太郎だった。同65本塁打の履正社・安田尚憲、同52本塁打の九州学院・村上宗隆とともに「高校BIG3」と呼ばれ、ドラフト前には夏の甲子園で6本塁打を放った広陵高・中村奨成も加えた「BIG4」と騒がれた。
蓋を開けると清宮にはなんと7球団競合。中村には2球団競合し、安田と村上はともに外れ1位で3球団競合だった。

各球団の1巡目指名選手とプロ入り後の成績を振り返る。
履正社・安田尚憲はロッテ、九州学院・村上宗隆はヤクルト
ロッテは清宮を外したが、外れ1位で阪神、ソフトバンクと競合した安田を引き当てた。1年目から17試合に出場してプロ初本塁打も放ち、2年目は二軍で19本塁打、82打点をマークして二冠王。3年目には4番で起用されるなど113試合出場で6本塁打を放った。4年目の今季もここまで7本塁打を放っているが、不動の4番となるためにはさらなる成長が必要だろう。
現段階で同期の一番出世は間違いなく村上宗隆だ。清宮の外れ1位で巨人、楽天と競合したが、ヤクルトが当たりくじを引いたのも本人にとっては幸運だったかも知れない。甲子園で華々しい活躍を見せた清宮や安田に比べると、1年夏に1度だけ出たものの初戦敗退。「BIG3」の中では最も目立たない存在だったスラッガーは、自由にノビノビできる環境や比較的狭い神宮が本拠地の球団で期待以上の急成長を見せた。
1年目の9月に一軍昇格して初打席初本塁打の衝撃デビューを飾ると、2年目は36本塁打、96打点と大ブレイク。日本人最多のシーズン184三振を喫しても起用し続けた首脳陣の我慢が結実し、見事に素質開花した。昨季は28本塁打、今季も巨人・岡本和真とタイトルを争っており、今やセ・リーグを代表する長距離砲となった。
7球団競合の清宮幸太郎を引き当てたのは日本ハムだった。1年目から53試合に出場して7本塁打を放ち、高卒ルーキーとしては上々のプロ生活のスタートを切ったが、2年目、3年目も7本塁打にとどまり打率は2割前後。今季は1試合も一軍出場がなく「BIG3」の残る2人にも水をあけられている。二軍ではイースタン・リーグ本塁打王を争っているが、再び一軍で活躍する日が待たれる。
巨人は中央大・鍬原拓也、DeNA東克樹は新人王に
中日は中村奨成を外してヤマハの右腕・鈴木博志を指名。1年目は53試合登板で4勝6敗4セーブ12ホールド、2年目はクローザーを務めて14セーブを挙げたが、3年目はわずか6試合登板にとどまった。今季は2勝を挙げたものの5月に二軍落ちしている。
オリックスは西武と競合したJR東日本の左腕・田嶋大樹を指名。スリークォーターから投げ込むキレのいいストレートと多彩な変化球を武器に1年目から先発ローテーションの一角を担い、通算19勝をマークしている。
巨人は清宮、村上を外し、中央大の右腕・鍬原拓也を指名した。1年目の6月にプロ初勝利を挙げたものの、ここまで通算2勝。ケガもあって昨オフに育成契約となったが、8月に支配下に復帰している。
楽天は清宮、村上を外して岡山商科大の右腕・近藤弘樹を指名した。3年間で17試合に登板したが1勝も挙げられず、昨オフに戦力外通告。今季はヤクルトに移籍して22試合登板で防御率0.96、11ホールドをマークしているが、5月にケガのため登録抹消された。
2017年ドラフトの1位指名で唯一抽選にならなかったのがDeNAだった。立命館大で通算19勝をマークした左腕・東克樹を一本釣り。狙いは見事にハマり、1年目から24試合に先発して11勝を挙げて新人王に輝いた。しかし、2年目以降はケガに苦しみ、昨年2月に左肘のトミー・ジョン手術。近日中の一軍復帰を目指している。