メジャー希望の田澤を12球団が指名回避
昨年ドラフト前に話題をさらったのがメジャーから帰国してBCリーグ・埼玉入りしていた田澤純一だった。結果的にはNPB球団の指名はなく、田澤はオフに台湾の味全に移籍。再び異国の地でプレーする道を選んだ。
元々は新日本石油ENEOSに所属していた2008年の都市対抗で橋戸賞を受賞し、ドラフト最大の目玉とされながらメジャー希望を表明したため12球団が指名を回避したことが事の発端だ。
2008年ドラフトは前年までの「高校生」と「大学生・社会人」の分離開催から再統合。1巡目指名選手はどんな面々だったのだろうか。プロ入り後の成績を振り返ってみたい。
横浜は松本啓二朗、ソフトバンクは巽真悟、ヤクルトは赤川克紀を指名
横浜は阪神と競合した早稲田大の松本啓二朗を引き当てた。東京六大学リーグで通算105安打をマークした打撃センスに期待は高かったが、2013年に72試合に出場したのが自己最多。結局、302試合出場で119安打、7本塁打の成績にとどまり、2017年オフに戦力外となった。
ソフトバンクは東海大相模のスラッガー・大田泰示を抽選で外し、近畿大の右腕・巽真悟を指名。関西学生リーグ通算19勝の即戦力として期待されたが、2015年に1勝を挙げたのみで2016年オフに戦力外通告を受けた。
ヤクルトは宮崎商を39年ぶりの甲子園に導いた左腕・赤川克紀を単独指名。2012年には先発として初めて規定投球回に到達し、8勝を挙げたが、2015年オフに戦力外となった。通算76試合登板で14勝20敗、防御率4.17の成績を残している。
楽天は日本通運・野本圭を外し、NTT西日本の左腕・藤原紘通を指名した。長崎南山高から福岡大を経て入社したNTT西日本では都市対抗や日本選手権出場に貢献。1年目に5勝を挙げたが、その後はケガの影響もあり2013年オフに戦力外となった。通算22試合登板で6勝8敗1ホールドの成績を残している。
広島は岩本貴裕、ロッテは木村雄太、日本ハムは大野奨太
広島は亜細亜大で通算16本塁打を放った岩本貴裕を単独指名。広島商時代に4番エースとして甲子園に出場した地元出身のスター候補だったが、入団2年目にマークした14本塁打がキャリアハイだった。2019年に引退するまで通算405試合出場で240安打、31本塁打の成績を残している。
ロッテは東京ガスの長身左腕・木村雄太を指名。秋田経法大付高(現ノースアジア大明桜高)時代に注目を集め、2006年ドラフトでは横浜の3位指名を拒否した末のプロ入りだった。7年目の2015年にプロ初勝利を挙げたのが最初で最後の白星で、2016年オフに戦力外通告を受けた。
中日は楽天と競合した野本圭を引き当てた。岡山南高から駒澤大、日本通運を経てプロ入りし、2年目の2010年には118試合に出場して4本塁打。しかし、3年目以降は出場機会が減り、2018年限りでユニフォームを脱いだ。通算449試合で185安打、9本塁打、83打点の成績を残している。
日本ハムが指名したのは東洋大の捕手・大野奨太だった。岐阜総合学園高時代に通算29本塁打をマークし、大学では東都リーグで通算6本塁打。2016年には自身最多の109試合に出場して5本塁打を放つなどチームの優勝に貢献し、2017年オフにFA宣言して中日入りした。ここまで通算891試合に出場して419安打、31本塁打の成績を残している。