斎藤は4球団競合、大石は6球団競合
早稲田実のエース斎藤佑樹が夏の甲子園決勝で駒大苫小牧・田中将大(現楽天)と球史に残る投げ合いを演じたのが2006年。プロ入りしたライバルを横目に斎藤は早稲田大進学を選び、東京六大学リーグで通算31勝、323奪三振をマークした。
4年生となった2010年のドラフト会議は、チームメートの大石達也、福井優也とともに最大の目玉だった。
斎藤にはヤクルト、日本ハム、ロッテ、ソフトバンクの4球団が競合。大石は横浜、楽天、広島、オリックス、阪神、西武の6球団が指名した。
広島は大石を外して福井優也、オリックスは抽選3度ハズレ
横浜は大石を抽選で外し、早稲田大からJFE東日本入りして都市対抗で若獅子賞に輝いた須田幸太を指名。2011年6月にプロ初勝利をマークするなどルーキーイヤーに2勝を挙げた。2013年には自己最多の6勝、2016年にはチーム最多の62試合に登板して23ホールドをマーク。通算166試合で16勝19敗1セーブ37ホールドの成績を残したが、2018年オフに戦力外通告を受けた。
楽天も大石を外し、八戸大の左腕・塩見貴洋を指名。ヤクルトと競合したが、当たりくじを引いた。通算150試合で46勝57敗、防御率3.80の成績を残したが、2023年オフに戦力外通告を受けた。
広島は大石を外してチームメートの福井優也を指名した。済美高2年春のセンバツで優勝し、2005年の高校生ドラフトで巨人から4位指名を受けたものの入団を拒否。1浪して早稲田大に進学し、東京六大学リーグで通算11勝を挙げて広島入りした。1年目に8勝するなど先発として活躍し、2018年オフに楽天に移籍。NPB通算154試合で32勝41敗、防御率4.58の成績を残し、2023年からBCリーグの福島レッドホープスでプレーしている。
オリックスは大石を外し、ロッテと競合した東海大の伊志嶺翔大も外し、ヤクルトと競合した履正社高の山田哲人も外して史上初めて同一ドラフトで3度の抽選失敗となった。「外れ外れ外れ1位」は前橋商の後藤駿太。同姓の後藤光尊が在籍していたため「駿太」で登録された。2022年7月に石岡諒太とのトレードで中日に移籍。通算991試合で385安打、打率.217の成績を残している。
ヤクルトは外れ外れ1位で山田哲人、巨人は澤村拓一を一本釣り
斎藤佑樹を抽選で外したヤクルトは、楽天と競合した塩見も外し、外れ外れ1位で山田哲人を指名。結果的に見れば、これが大正解だった。トリプルスリーを3度達成するなど球界を代表する内野手に成長し、通算1488安打、285本塁打、194盗塁をマークしている。
4球団が競合した早稲田大・斎藤佑樹を引き当てたのは日本ハム。1年目に6勝、開幕投手を務めた2年目にも5勝を挙げたが、その後は出番が減り、2021年にユニフォームを脱いだ。通算89試合で15勝26敗の成績を残している。
巨人は早稲田大トリオに見向きもせず、中央大の剛腕・澤村拓一を一本釣りした。1年目から11勝を挙げて新人王に輝くなど活躍したが、2020年9月に香月一也との交換トレードでロッテに移籍。同年オフにFA宣言してレッドソックス入りし、MLB通算104試合に登板して6勝2敗13ホールドをマークした。2023年からロッテに復帰して日米通算58勝57敗78セーブ91ホールドをマークしている。
ロッテは斎藤を外し、伊志嶺翔大を指名した。沖縄尚学高から東海大へ進み、「大学ナンバーワン野手」の高評価を得てプロ入り。1年目は126試合に出場して打率.261、32盗塁の好成績を収めたが、2019年オフに戦力外となり、2024年はロッテの二軍外野守備兼走塁コーチを務める。
中日は大野雄大を単独指名
阪神は斎藤を外して東京ガスの左腕・榎田大樹を指名した。1年目からセットアッパーとして活躍し、62試合に登板して3勝3敗1セーブ33ホールドをマーク。2018年に西武に移籍すると先発として自身初の2桁となる11勝を挙げた。通算237試合の登板で29勝25敗3セーブ60ホールドの成績を残し、2021年限りで引退した。2024年から西武のファーム投手コーチを務める。
西武は6球団競合の早稲田大・大石達也を引き当てたが、通算5勝6敗8セーブ12ホールドの成績にとどまり、2019年オフに戦力外通告。2024年から西武のファーム投手総合コーチを務める。
中日は佛教大の左腕・大野雄大を単独指名した。京都外大西高時代、2年夏の甲子園決勝で田中将大擁する駒大苫小牧と対戦。自身は登板機会がないまま敗れ準優勝となった。佛教大に進学後は16連勝するなど京滋リーグで通算18勝(1敗)をマーク。中日入り後は2019年から2年連続最優秀防御率のタイトルを獲得し、2020年は最多奪三振や沢村賞にも輝いた。ここまで通算84勝87敗2ホールドの成績を残している。
ソフトバンクは斎藤を外して習志野高の捕手・山下斐紹を指名した。しかし、目立った成績を残せず、2017年オフに楽天、2020年オフに中日に移籍し、2022年に引退した。通算144試合で46安打、打率.189の成績を残している。
2巡目以下では広島経済大・柳田悠岐がソフトバンク2位、智弁和歌山高・西川遥輝が日本ハム2位、東京ガス・美馬学が楽天2位、八戸大・秋山翔吾が西武3位、蒲郡高・千賀滉大がソフトバンク育成4位、楊志館高・甲斐拓也が同6位で入団している。
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