斎藤は4球団競合、大石は6球団競合
春季キャンプ中の日本ハム・斎藤佑樹がプロ11年目のシーズンに向けてピッチを上げている。2017年を最後に一軍の勝利から遠ざかり、2020年は一軍登板すらなし。同年秋には右肘靱帯を断裂し、2021年は野球人生をかけたシーズンになるだけに意気込みは相当なものだろう。
早稲田実のエースとして夏の甲子園決勝で駒大苫小牧・田中将大(現楽天)と球史に残る投げ合いを演じたのが2006年。プロ入りしたライバルを横目に斎藤は早稲田大進学を選び、東京六大学リーグで通算31勝、323奪三振をマークした。
2010年のドラフト会議はチームメートの大石達也(現西武二軍投手コーチ)、福井優也(現楽天)とともに最大の目玉だった。

斎藤にはヤクルト、日本ハム、ロッテ、ソフトバンクの4球団が競合。大石は横浜、楽天、広島、オリックス、阪神、西武の6球団が指名した。
広島は大石を外して福井優也、オリックスは抽選3度ハズレ
横浜は大石を抽選で外し、早稲田大からJFE東日本入りして都市対抗で若獅子賞に輝いた須田幸太を指名。2011年6月にプロ初勝利をマークするなどルーキーイヤーに2勝を挙げた。
2013年には自己最多の6勝、2016年にはチーム最多の62試合に登板して23ホールドをマーク。通算166試合で16勝19敗1セーブ37ホールドの成績を残したが、2018年オフに戦力外通告を受けた。
楽天も大石を外し、八戸大の左腕・塩見貴洋を指名。ヤクルトと競合したが、当たりくじを引いた。ここまで通算148試合で46勝56敗、防御率3.78の成績を残している。
広島は大石を外してチームメートの福井優也を指名した。愛媛の済美高時代に2年春のセンバツで優勝し、同年夏の甲子園では決勝で駒大苫小牧に敗れて準優勝。2005年の高校生ドラフトで巨人から4位指名を受けたものの入団を拒否し、1浪して早稲田大に進学した。
東京六大学リーグでは通算11勝をマークし、広島入団1年目に8勝。2018年オフにトレードで楽天に移籍した。ここまで通算124試合で32勝41敗、防御率4.59の成績を残している。
オリックスは大石を外し、ロッテと競合した東海大の伊志嶺翔大も外し、ヤクルトと競合した履正社高の山田哲人も外して史上初めて同一ドラフトで3度の抽選失敗となった。「外れ外れ外れ1位」は前橋商の後藤駿太。同姓の後藤光尊が在籍していたため「駿太」で登録された。ここまで通算822試合で358安打、打率.222の成績を残している。
ヤクルトは外れ外れ1位で山田哲人、巨人は澤村拓一を一本釣り
斎藤佑樹を抽選で外したヤクルトは、楽天と競合した塩見も外し、外れ外れ1位で山田哲人を指名。結果的に見れば、これが大正解だった。トリプルスリーを3度達成するなど球界を代表する内野手に成長し、通算1153安打、214本塁打、176盗塁をマーク。昨年、国内FA権を取得して去就が注目されたが、チーム残留を決めている。
日本ハムが斎藤を引き当てた一方、巨人は早稲田大トリオに見向きもせず、中央大の剛腕・澤村拓一を一本釣りした。1年目から11勝を挙げて新人王に輝くなど活躍したが、徐々に成績は下降線を辿り、昨シーズン中に香月一也との交換トレードでロッテに移籍。オフにFA宣言し、レッドソックス入りが決まった。
ロッテは斎藤を外し、伊志嶺翔大を指名した。沖縄尚学高から東海大へ進み、「大学ナンバーワン野手」の高評価を得てプロ入り。1年目は126試合に出場して打率.261、32盗塁の好成績を収めたが、2019年オフに戦力外となり現在はロッテの一軍走塁兼外野守備補佐兼打撃コーチ補佐を務める。