楽天・早川隆久に投げ勝ち2戦2勝、防御率0.60
オリックスの2年目左腕・宮城大弥が評価を高めている。開幕2戦目の3月27日西武戦で7回5安打2失点と好投し今季初勝利を挙げると、4月4日楽天戦では8回2安打無失点で相手先発のドラフト1位ルーキー・早川隆久に投げ勝った。
今季2戦2勝で防御率0.60。2019年ドラフト1位で興南高から入団した19歳が、堂々のマウンドさばきで新人王候補に躍り出た格好だ。
ストレートの平均球速(SPAIA参照=https://spaia.jp/baseball/npb/player/1900087)は142.6キロと驚くほど速い訳ではない。しかし、平均103.6キロのカーブとの球速差は約40キロ。全体の14.6%を占めるカーブがあるからこそ、相手打者は緩急に戸惑い、平均123.5キロのスライダーや、120.9キロのチェンジアップも活きるのだ。
オリックスで緩急を駆使した左腕と言えば、星野伸之が思い出される。ストレートは130キロ台にもかかわらず、100キロ以下のスローカーブで打者を惑わせて通算176勝を挙げた、1990年代を代表する投手の一人だ。
沖縄出身らしいマイペースさと飾り気のなさでピンチでも動じない宮城は、往年の星野に力強さを加えたような大物感を漂わせる。
2008年の小松聖以来、新人王のいないオリックス
1996年に日本一となって以来、12球団で最も優勝から遠ざかっているオリックスだが、実は新人王も12球団で最も長く輩出していない。
1975年に12勝を挙げた剛腕・山口高志に始まり、1977年の佐藤義則、1984年の藤田浩雅、1985年の熊野輝光と阪急時代に4人。オリックスに球団名が変わってからは1989年に9勝9セーブをマークした酒井勉、1991年に12勝を挙げた長谷川滋利、1995年に15勝27セーブをマークした平井正史、2001年に7勝5敗の大久保勝信、2008年に15勝を挙げた小松聖の計5人だ。
計9人はパ・リーグ最多15人の新人王を出してきた西武より6人も少なく、12球団最多の19人を輩出してきた巨人には遠く及ばない。1年目の昨季は16イニングしか投げていない宮城は、「5年、30イニング以内」という新人王資格を有しており、「球団10人目」の期待がかかる。
その意味でも、新人王争いのライバルでもある楽天・早川に好内容で投げ勝った2勝目は価値があるのだ。
宮城と同期の紅林弘太郎や太田椋ら若手成長
今や球界屈指の好投手となった山本由伸や2019年に最高勝率に輝いた山岡泰輔、4年目左腕・田嶋大樹ら先発陣の評価は高いオリックス。宮城もドラフト1位で期待されていたとはいえ、2年目での先発ローテーション入りは首脳陣も嬉しい誤算だろう。
とはいえ、宮城と同じ2019年のドラフト2位で入団した紅林弘太郎も3月28日西武戦でプロ初本塁打を放ち、2018年ドラフト1位の太田椋もスタメン出場を続けるなど、野手も含めて若い芽は着実に成長している。
宮城が1年間、先発ローテーションを守れれば新人王はもちろん、2位だった2014年以来のAクラス入りが見えてくる可能性も十分にある。
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