寺原に中日、横浜、ダイエー、巨人の4球団競合
21世紀に突入した2001年、ドラフト最大の注目は甲子園で最速154キロをマークした日南学園高の剛腕・寺原隼人だった。
この年から設けられた「自由獲得枠」は大学生と社会人を対象に2枠まで活用可能で、全く活用しなければ1巡目と3巡目の指名が可能、1枠だけ活用すれば2巡目の指名が可能、2枠とも活用した場合は4巡目から指名可能となる複雑なルール。従って競合必至の高校生・寺原を欲しい球団は自由獲得枠を放棄しなければならないため、水面下で激しい駆け引きがあった。
結果的に寺原には中日、横浜、ダイエー、巨人の4球団が競合。大学・社会人の即戦力以上に甲子園を沸かせたスター候補に人気が集まった。
自由獲得枠を含め、各球団1位指名選手の成績を振り返ってみよう。
中日は寺原を外して中京大中京の前田章宏
日本ハムは自由枠で早稲田大の右腕・江尻慎太郎、2位でリースキン広島の左腕・山口弘佑を獲得した。江尻は2010年に横浜、2013年からソフトバンクに移籍し、2014年オフにユニフォームを脱ぐまで通算277試合で28勝20敗1セーブ53ホールドの成績。山口はわずか3年で戦力外となり、16試合登板で0勝1敗に終わった。
阪神は自由枠でトヨタ自動車の右腕・安藤優也(現二軍投手コーチ)と法政大の捕手・浅井良を獲得。安藤は通算486試合登板で77勝66敗11セーブ76ホールド、浅井は通算486試合で171安打、12本塁打の成績を残した。
ロッテは自由枠を活用せず、智弁和歌山高時代に夏の甲子園で優勝し、慶応義塾大で114安打をマークした喜多隆志を1巡目で単独指名。しかし、プロ入り後は通算53試合出場で22安打に終わり、2006年オフに戦力外となった。3巡目ではPL学園高の今江敏晃を指名。2019年に引退するまで、楽天時代も含めて通算1704試合で1682安打、108本塁打をマークした。
中日は寺原を抽選で外し、中京大中京で高校通算31本塁打を放っていた捕手・前田章宏を指名。しかし、プロ入り後は大成せず、通算54試合出場で3安打に終わり、2013年オフに戦力外となった。3巡目では九州共立大の捕手・田上秀則を指名。中日では活躍できなかったが、ソフトバンク入り後に素質開花し、通算470試合に出場して340安打、50本塁打の成績を残した。
横浜は寺原を外して智弁学園の秦裕二
オリックスは自由枠で立命館大の左腕・小川裕介と東海大の巧打者・平野恵一(現阪神二軍打撃コーチ)を獲得した。小川は通算5試合登板で1勝も挙げられず、2006年オフに戦力外通告。平野は阪神時代も含め、通算1260試合に出場して1184安打、60盗塁をマークした。
広島は自由枠を活用せず、1巡目で浦和学院の右腕・大竹寛を指名。2013年オフにFA宣言して巨人に移籍し、通算102勝101敗17セーブ25ホールドをマークしている。3巡目では山梨学院大付高の左腕・大島崇行を指名。通算3勝14敗3セーブ10ホールドの成績を残し、2014年オフに戦力外となった。
西武は自由枠で青森大の捕手・細川亨を獲得した。ソフトバンク、楽天、ロッテとパ・リーグ4球団を渡り歩き、2020年オフに引退。通算1428試合出場で680安打、84本塁打の成績を残した。2巡目では大阪桐蔭高のスラッガー・中村剛也を指名。本塁打王に6度輝くなど、通算1522安打、424本塁打、1197打点をマークしている。
横浜は寺原を外し、智弁学園の右腕・秦裕二を指名。2011年に戦力外通告を受けるまで通算89試合登板で9勝9敗の成績を残した。3巡目では東海大の小田嶋正邦を指名。巨人に移籍後の2010年オフに戦力外となり、通算149試合で41安打、6本塁打の成績を残した。