花巻東・菊池に西武、阪神、ヤクルト、楽天、中日、日本ハムの6球団競合
夏の甲子園決勝で日本文理の猛追をかわして中京大中京が優勝した2009年。秋のドラフト会議で注目を集めたのは中京大中京のエース堂林翔太ではなく、東北勢初優勝を果たせなかった花巻東(岩手)の左腕・菊池雄星だった。
2007年まで「高校生」と「大学生・社会人」が分離開催されていたが、前年の2008年から再び統合。2009年も一括開催だったにもかかわらず、9球団は1巡目で高校生を指名し、そのうち西武、阪神、ヤクルト、楽天、中日、日本ハムの6球団が菊池だった。

外れ1位も含め、各球団1巡目指名選手のプロ入り後の成績を見てみよう。
オリックスは古川秀一、横浜は筒香嘉智、ロッテは荻野貴司を単独指名
オリックスは菊池を避けて同じ左腕の古川秀一を単独指名した。長崎・清峰高3年夏の甲子園で福井優也(現楽天)を擁する前年度優勝の済美を破って3回戦進出。日本文理大時代にはチームを全日本大学選手権に導いた。オリックス入り後は期待に応えられず、通算63試合で0勝2敗5ホールドの成績に終わり、2015年に戦力外となった。
横浜は地元・横浜のスラッガーで、高校通算69本塁打をマークした筒香嘉智を単独指名。入団1年目に1号本塁打を放って大器の片鱗を見せると、2016年には44本塁打、110打点で二冠王に輝いた。2019年オフにポスティングシステムでレイズ移籍。メジャー1年目の昨季は打率.197、8本塁打、24打点の成績だった。
ロッテはトヨタ自動車の荻野貴司を単独指名。プロ10年目の2019年には初めて規定打席に到達し、リーグ3位の打率.315、10本塁打、28盗塁という好成績を残した。通算784試合出場で打率.280、774安打、32本塁打、220盗塁をマークしている。
広島は清峰高のセンバツ優勝右腕・今村猛を単独指名した。3年春のセンバツ決勝で菊池雄星を擁する花巻東高を破って頂点に立ったが、夏は長崎大会準々決勝で後にチームメートとなる大瀬良大地のいた長崎日大高に敗れている。プロ入り後は主にセットアッパーとして活躍し、2016年からのセ・リーグ3連覇に貢献。これまで通算431試合登板で21勝30敗36セーブ115ホールドの成績を残している。
菊池を外した阪神は二神一人、ヤクルトは中澤雅人
6球団競合の菊池雄星を引き当てたのは西武・渡辺久信監督だった。花巻東高3年春のセンバツで準優勝、夏はベスト4進出の原動力となった左腕はプロ入り後、伸び悩んだ時期もあったが、2016年に初の2桁となる12勝を挙げると、翌2017年に16勝で最多勝。防御率も1.97で2冠に輝いた。2018年オフにポスティングシステムでマリナーズに移籍し、メジャー2年間で計8勝。これまで日米通算81勝61敗1セーブの成績を残している。
阪神は菊池を外して法政大の右腕・二神一人を指名した。高知高時代は3年夏の高知大会決勝で敗れた明徳義塾の不祥事により急遽、甲子園出場。法大時代は東京六大学リーグで9勝を挙げ、阪神では背番号18を与えられた。しかし、通算27試合に登板して未勝利のまま、2016年オフに戦力外通告を受けた。
ソフトバンクは明豊高で春夏連続甲子園に出場した今宮健太を単独指名。プロ入り後は強肩強打のショートとして通算1099試合に出場し、930安打、72本塁打、304犠打をマークしている。
ヤクルトは菊池を外し、外れ1位でトヨタ自動車の中澤雅人を指名した。富山商から中央大を経て社会人の即戦力左腕として評価を高め、トヨタからロッテ1位の荻野、2位の大谷智久とともに3人揃ってのプロ入りとなった。ヤクルト入団1年目には7勝を挙げたが、これがキャリアハイ。通算13勝15敗21ホールドの成績を残し、昨季限りで引退した。