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プロ初出場初本塁打の西武・渡部健人 中村剛也、山川穂高との共通点と違いとは

2021 4/7 11:00中村タカシ
プロ初スタメン初本塁打を放った西武の渡部健人(球団提供)
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西武ライオンズ提供

柔らかいスイングでプロ初本塁打

西武ドラ1ルーキー・渡部健人が、4月4日のソフトバンク戦でベテラン投手・和田毅からプロ初ホームランを放った。渡部は同日に1軍へ昇格すると、早速7番DHでスタメン出場。第3打席の2球目、真ん中に入ってきたカーブを見逃さなかった。完璧に捉えた当たりはレフトスタンドへ飛び込み、プロ初ヒット・初ホームラン・初打点を記録。良い形で1軍のスタートを切った。

世間からは「おかわり君3世」という愛称で呼ばれ、山賊打線の長距離砲として期待されている。今回はそんな渡部の打撃について、同じタイプの中村・山川と比較しながら触れていこう。

渡部の特徴は柔らかいスイングである。プロ初ホームランも、豪快にシバいたというよりもしっかりバットにボールを乗せて運んだ、と表現した方が自然だろう。初の一軍舞台ともなれば、硬くなって失投を打ち損じたりするものだが、渡部は甘い球を逃さず捉えていた。変な力みもなく、彼本来の打撃ができていたのだ。

桐蔭横浜大時代もリストを柔らかく使い、上手くボールを乗せてボールを飛ばしている印象が強かった。柔らかい打撃は練習を積み上げただけでは簡単に身に付くものではない。本人のセンスと、プロ初先発でも平常心を保てる精神力があってこそ表現できることなのだ。

中村、山川との共通点

渡部はおかわり君3世の愛称で親しまれているが、同じ体格の中村・山川と打撃を比較してみると、ある共通点が見えてきた。それは「スイングがコンパクトであること」と、「ボールを乗せて打つのが上手いところ」だ。

まず渡部は、スイング後のフォロースルーが小さめで非常にコンパクトである。中村と山川も同様でフォロースルーはそこまで大きくないが、安定してホームランを量産することができている。

フォロースルーが大きくなるのは、打ち終わったあともヘッドスピードが加速しているためだ。しかしヘッドスピードをそこまで意識していなければ、フォロースルーも大きくなりづらい。3人ともフォロースルーがコンパクトなのは、ヘッドスピードよりも、いかにしてボールを遠くへ運ぶかを意識しているからであろう。

また、ボールを乗せて打つのが上手いところも共通している。スイング軌道を見ると、3人ともボールの軌道に合わせてスイングができている。先ほど「ボールを遠くへ運ぶ」と記述したが、ボールを遠くへ運ぶにはボールの軌道にバットも合わせなければいけない。

早めにバットをボールの軌道に入れ、ボールの少し下を捉えることができると打球は飛んでいく。このような高度な技術を3人は兼ね備えているのだ。

タイミングの取り方とスタンスの広さに違い

その一方で、異なる点もある。「タイミングの取り方」と「スタンスの広さ」だ。

中村はグリップの位置は低めで、足を上げてから体重移動をする時もグリップの位置をほとんど変えず、そのままボールの軌道にバットを入れている。スタンスは少し広めだ。

山川は独特なタイミングの取り方である。足を上げるのと同時に一旦グリップを下げ、体重移動と同時にグリップを一気に高いところまで上げている。そしてスタンスもかなり広い。

渡部は構えからグリップの位置が高く、足を上げてから打ちにいくまでグリップは高いままだ。スタンスも中村や山川と比べると狭く、全体的にコンパクトなスイングとなっている。

3人のフォームを比べると、構えからステップするまではそれぞれの個性が表れているが、バットの軌道は同じような形で打っている。タイミングの取り方は異なろうとも、インパクト時の感覚は同じものを持っているはずだ。

同じような体格で、同じタイプの3人。中村は6度の本塁打王、山川は18年、19年と本塁打王を獲得している。今後は渡部も加わり、チーム内3人での熾烈な本塁打王争いにも期待したい。

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