1巡目で高校生を指名したのは3球団のみ
夏の甲子園決勝で2年生エース・ダルビッシュ有(現パドレス)を擁する東北(宮城)が常総学院(茨城)に敗れた2003年。秋のドラフトは高校生の注目選手が少なく、各球団とも大学生や社会人の即戦力に目が向いていた。
当時は大学生・社会人対象の「自由獲得枠」があり、2枠活用すればドラフト4巡目から、1枠のみ活用なら2巡目から、活用しなければ1巡目と3巡目の指名が可能で、1巡目のみ重複した場合はくじ引きというルール。従って上位指名確実の高校生を欲しい球団は自由獲得枠を放棄する必要があったが、結果的には高校生を1巡目指名したのは3球団だけだった。
各球団の1位や自由獲得枠で入団した選手のプロ入り後の成績を振り返ってみたい。
広島は広陵高・白濱裕太を指名
横浜は日本文理大の右腕・吉川輝昭と三菱ふそう川崎の左腕・森大輔を自由枠で獲得。吉川はソフトバンク時代も合わせて通算160試合登板で3勝9敗9ホールドに終わり2013年オフに戦力外、森は一軍出場のないまま、わずか3年で戦力外となった。
オリックスは自由枠でヤマハの左腕・歌藤達夫を獲得。日本ハム、巨人と移籍して通算131試合登板で3勝4敗7ホールドの成績を残し、2009年オフにユニフォームを脱いだ。2巡目では北海道尚志学園高(現北海道科学大高)の右腕・柴田誠也を指名。しかし、一軍出場を果たせず2007年オフに戦力外となった。
広島は1巡目で広陵高の捕手・白濱裕太を指名した。プロ8年目で初の一軍出場を果たし、これまで通算86試合出場で23安打、1本塁打を記録している。3巡目では早稲田大・比嘉寿光を指名。2005年に8試合に出場したのみで2009年オフに戦力外通告を受けた。
日本ハムは自由枠で近畿大の右腕・糸井嘉男を獲得。2006年に野手転向し、オリックス、阪神と渡り歩いて通算1588試合出場で1696安打、165本塁打、299盗塁をマークしている。
ロッテは川崎工・内竜也を1巡目指名
ヤクルトは自由枠で八戸大の右腕・川島亮を獲得。楽天に移籍した2012年オフに引退するまで通算38勝35敗1ホールドの成績を残した。2巡目では小松市立高の右腕・山田裕司を指名。一軍出場を果たせないまま2007年オフに戦力外となった。
ロッテは1巡目で川崎工の右腕・内竜也を指名。昨オフに引退するまでロッテひと筋で通算308試合に登板し、20勝12敗56セーブ87ホールドをマークした。3巡目では開星高の右腕・杉原洋を指名。2006年オフに戦力外となり、NOMOベースボールクラブを経て横浜入りしたが、一軍では1試合登板に終わり2011年オフに再び戦力外となった。
巨人は自由枠で東京ガスの左腕・内海哲也を獲得。最多勝に2度輝くなど先発として活躍し、2018年オフにFAで加入した炭谷銀仁朗の人的補償として西武に移籍した。通算134勝103敗2ホールドをマークしている。2巡目では広陵高のエースとしてセンバツで優勝した西村健太朗を指名。通算38勝34敗81セーブ77ホールドの成績を残して2018年オフに引退した。
最後のドラフトとなった近鉄は、自由枠で東芝の右腕・香月良太を獲得。オリックス、巨人と所属を変え、2016年オフに戦力外となるまで通算371試合登板で18勝10敗3セーブ77ホールドをマークした。2巡目では柳ヶ浦高で通算54本塁打を放った吉良俊則を指名。しかし、一軍出場は果たせずオリックス移籍後の2008年オフに戦力外となった。