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「沢村賞投手」中日・大野雄大を昨季最も得意としたのは?

2021 3/13 11:00林龍也
広島東洋カープの鈴木誠也ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

唯一勝ち越した広島、鈴木誠也は相性の悪さ覆す3割3本塁打

昨シーズン、最優秀防御率、最多奪三振に加え、沢村賞の栄誉に輝いた中日の大野雄大。自己最高の防御率1.82を記録しただけでなく、11勝を挙げ勝率.647をマークした。通常通りシーズンが開催されていれば、全項目でキャリアハイをマークしていた可能性もあっただろう。

そんな圧倒的な投球を見せた大野を、昨シーズン最も得意としたチーム、選手はいったいどこの誰だったのか。データから探っていく。

対大野雄大・チーム別対戦成績ⒸSPAIA


まずはチーム別の対戦成績を見ていこう。昨シーズン、大野を最も打ったのは、4試合で2勝1敗と勝ち越した広島だ。対戦打率.229はトップだった阪神の.236を下回るが、セ・リーグ最多の5本塁打を浴びせ、10得点を奪った。対戦チーム別の防御率を見ても唯一の3点台と、大野をそこまで苦にしていなかったようだ。

広島の打者を見ていくと、10打席以上では菊池涼介.333、ピレラ.308、鈴木誠也.300と3人が3割以上をマーク。鈴木に至っては3安打全てが本塁打と、打率以上に大野との相性の良さを感じさせる。2017年~2019年の3年間は20打数3安打・1本塁打と大野が圧倒していたが、昨シーズンは立場が逆転した格好だ。

10打席未満だとメヒアが打率.375(8打数3安打)、坂倉将吾が.667(3打数2安打)、投手の大瀬良大地が.400(5打数2安打)と比較的好相性だった。一方、堂林翔太は11打数1安打、曾澤翼は9打数無安打と完全に封じ込まれた。

一方、大野を最も苦手としたチームはDeNAだ。3試合全てに敗れ、対戦打率.188、WHIP0.76はいずれもリーグ5位だが、なにより得点を奪うことができなかった。3試合25イニングで1点も奪えないという屈辱の結果となっている。ケガ人が多く、主軸をなかなか固定できなかった影響もあり10打席以上はソト1人。そのソトも打率.182と抑え込まれた。

ヤクルト・青木宣親と阪神・糸原健斗が4割で最高打率

対大野雄大・10打席以上・打率3割以上の打者一覧ⒸSPAIA


続いて、打者別の対戦成績を見ていこう。昨シーズン、大野と10打席以上対戦したのは計21人。最高打率は、阪神・糸原健斗、ヤクルト・青木宣親の.400だ。いずれも左打者ながら10打数4安打と大野をよく打ち、青木は本塁打も1本放っている。三振も1つずつと、奪三振率8.96の大野に対しても、バットコントロールの良さを発揮していた。

21人のうち、3割以上をマークしたのは糸原、青木を含めて9人。内訳は左打者3人、右打者6人となっており、高打率を残したのは右打者の方が多い。しかし、大野の左右別打者成績を見てみると、対左.232に対し、対右は.189と圧倒的に被打率が低い。

リーグ全体で見れば対右の方が打率は低い傾向にあるが、1投手と10打席以上対戦するようなレギュラークラスに限ると、右打者の方が打率を残せると言えるかもしれない。ちなみに、3割以下を見ると、2割台が3人、1割台が6人、0割台が3人という結果だった。

10打席未満だと、阪神・陽川尚将、DeNA・神里和毅、大和、広島・メヒア、巨人・吉川尚輝が3安打を放ち、高打率をマークした。また、最も大野を苦手としたのは巨人の丸佳浩とウィーラーで、いずれも打率.067(15打数1安打)。ウィーラーにいたっては最多の7三振と、ほぼ完ぺきに封じ込まれている。

どんな投手でも、このチーム・打者とは相性が悪い……ということが往々にしてあるもの。だが、昨シーズンの大野については特別相性の悪い相手は見当たらなかった。それこそが大野の凄さであり、沢村賞獲得へと至った要因と言えるだろう。

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