昨年の森下暢仁ら約5人に1人が新人王を受賞
3月に入り、開幕戦まで1ヶ月を切った。新人選手をはじめとした若手選手たちは、開幕一軍入りを目指してオープン戦で最後のアピールを行うことになる。とくに先発ローテーションが手薄なチームにとって重要なのが、大卒や社会人出身のドラフト1位の投手たちだろう。
その多くが即戦力候補として期待され、開幕から戦力となることを求められている。そこで今回は、2011年以降のドラフト会議においてドラフト1位で指名された大卒投手のなかでも右腕に注目し、1年目のオープン戦及び公式戦の成績を振り返ってみた。
2011年から2020年までに入団した「ドラ1×大卒右腕」は28人いる。2020年のドラフト会議では、木澤尚文(慶応大→ヤクルト)、入江大生(明治大→DeNA)、伊藤大海(苫小牧駒大→日本ハム)、平内龍太(亜細亜大→巨人)の4人が該当するため、これまでに24人が1年目のシーズンを終えたことになる。
そのなかで新人王を受賞したのは野村祐輔(明治大→広島)、大瀬良大地(九州共立大→広島)、有原航平(早稲田大→日本ハム)、山﨑康晃(亜細亜大→DeNA)、森下暢仁(明治大→広島)の5人。単純計算で約5人に1人が新人王を受賞している。
有原航平はオープン戦未登板から新人王を受賞
ドラフト1位の大卒右腕たちの1年目におけるオープン戦と公式戦の成績は下表の通り。
公式戦で一軍登板がなかったのは田中正義(創価大→ソフトバンク)ただ1人で、その他の投手は全員一軍デビューを果たしている。オープン戦に登板していない投手は田中を含め、全体の3分の1にあたる8人と多い。その中には公式戦で好成績を残した投手もいる。
代表格が有原だ。春季キャンプは二軍スタートと出遅れたものの、5月には一軍初昇格を勝ち取り、見事初登板初勝利をマークした。その後も二軍に降格することなくシーズンを完走。規定投球回には届かなかったが、8勝を挙げ新人王を受賞した。
有原以外にも、5月に一軍デビューを果たした多和田真三郎(富士大→西武)も規定投球回には未到達ながら7勝を挙げている。
また、オープン戦で苦しみながら公式戦では結果を残せたのが、山﨑と甲斐野央(東洋大→ソフトバンク)のリリーバーたちだ。
山﨑は当初、先発投手としての起用が考えられていたが、オープン戦で結果を残せなかったため、中継ぎへと配置転換された。しかし、これが功を奏し、公式戦では安定感抜群の投球を披露。最終的には守護神として37セーブを挙げ、新人王に輝いた。
甲斐野はオープン戦7試合の登板中3試合で失点していたが、開幕戦で初白星を飾ると中継ぎとしてフル回転。ルーキーながら65試合に登板し、チームのブルペンを支えた。
オープン戦での好投が公式戦に結びつかないケースも
当たり前の話だが、オープン戦で結果を残せても公式戦で通用するとは限らない。原樹理(東洋大→ヤクルト)や佐々木千隼(桜美林大→ロッテ)がそのパターンだ。ともにオープン戦で4試合に登板し防御率も2点台を下回ったが公式戦では結果を残せず、2年目以降(現時点まで)も確固たる戦力にはなれていない。
オープン戦、公式戦ともに結果を残せている選手は1年目に限らず、その後も活躍しているケースが多い。野村、菅野智之(東海大→巨人)、大瀬良がそのパターンで、野村と大瀬良は新人王も受賞している。
今年は木澤、入江、伊藤、平内の4人とも一軍キャンプを完走した。これから始まるオープン戦で、どのような投球を見せてくれるのか楽しみだ。
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