対千賀10打席以上で3割超え4人の日本ハム打線
昨シーズン、最優秀防御率、最多勝、最多奪三振、ベストナイン、ゴールデングラブ賞と、主要投手タイトルを総なめにし、2006年の斉藤和巳以来となる「パ・リーグ投手三冠」を獲得した千賀滉大。そんな千賀を、昨シーズン最も得意としたチーム、選手は誰だったのか。データから探っていく。まずはチーム別の対戦成績を見ていこう。
昨シーズン、千賀を最も打ったのは日本ハムだ。3試合の対戦で2勝1敗、打率.275をマーク。21イニングで22安打を放っており、安打数がイニング数を上回ったのはパ・リーグ5球団で日本ハムだけ。10四球を選びWHIPも1.52と、千賀相手に塁上を最も賑わせた。三振数(20個)がイニング数を下回ったのも日本ハムだけだった。
選手別で見ても、大田泰示が打率.545、西川遥輝.444、渡邉諒.333、清宮幸太郎.300と、10打席以上対戦した6人のうち4人が3割超えを記録していた。ただし、得点自体は6点しか奪えておらず、防御率も2.14と決して打ち崩していたとは言えない数字だ。安打は出るものの、あと一本が出ない状況だったことがわかる。
一方で、千賀を最も苦手としたのはオリックスだった。5球団で最多の6試合対戦し、打率.177、防御率1.59と抑え込まれている。打者別で見ていくと、意外にも吉田正尚.500、大城滉二.333、T-岡田.313と、それぞれ10打席以上対戦で打率3割以上をマークしていた。
しかし3人以外に目を移すと、軒並み1割台、0割といった打者が並ぶ。日程などもあるだろうが、対戦数が多かったのは、この相性をソフトバンク・工藤公康監督が利用していたことも一因だろう。
打率5割と千賀を打ちまくった日本ハム・大田泰示、オリックス・吉田正尚
続いて打者別の成績を見ていこう。昨シーズン、千賀と10打席以上対戦した打者は計18人。そのうち最高打率.545をマークしたのが、日本ハムの大田だ。11打数6安打と、三冠投手の千賀を打ちまくっている。昨シーズンの打率が.275だった大田だが、対ソフトバンクでは打率.302とよく打ち、その中でも特に千賀との相性が良かったようだ。両者の対戦は、2019年までの3年間は千賀に軍配が上がっていたものの、2020年で大田が一気に盛り返した形だ。2021年の対戦では、大田の真価が問われる。
次いで打率.500をマークしたのが、オリックスの吉田正尚だ。最も多い19打席で対戦した吉田は、16打数8安打・1本塁打・3四球とこちらも打ちまくった。安打数にいたっては西武の山賊たちが2試合で放った総数(7本)よりも多い。吉田対千賀は、これで3年連続3割以上、2年連続5割以上と吉田が圧倒。チームとしてはソフトバンクが圧倒している一方で、千賀としては悔しい思いをし続けているようだ。
ちなみに、千賀と10打席以上対戦した18人のうち、打率3割以上をマークしたのは7人。その全てを日本ハムとオリックスで占めている。最も打率が高かったチームと、最も低かったチームとで占めているのは意外な結果だった。また、10打席未満の選手では、楽天のロメロ(今シーズンからオリックス)が8打数3安打・打率.375、ロッテの荻野貴司が5打数3安打・打率.600と、比較的好相性だったようだ。
一方で、千賀を最も苦手としたのは、日本ハムの近藤健介だ。通算打率.340を誇る好打者は、2017年から3年連続で対千賀打率3割以上をマークしてきたが、昨シーズンは8打数無安打、打率.000と完全に抑え込まれてしまった。
デビュー当初は「お化けフォーク」を武器に中継ぎ投手として活躍していた千賀だが、今や先発投手ながら最速161キロをマークするなど、日本最強クラスの投手へと成長した。年齢も27歳と、まだまだ伸びしろ充分。今シーズンはより圧倒的な投球を見せてくれるのか、それとも他球団の打者たちが千賀を止めるのか。開幕を楽しみに待ちたい。
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