ロッテと阪神のトレードは9件
長いプロ野球の歴史において、ロッテと阪神の間で行われたトレード(交換および金銭)は9件。直近では2019年、ロッテ・高野圭佑と阪神・石崎剛の交換トレードが行われているが、それ以前は2008年のロッテ・久保康友と阪神・橋本健太郎の交換トレードまでさかのぼる。
2000年代はこのトレードを含む3件のトレードが行われたが、1990年代は2件、1980年代は2件、1970年代の1件と緩やかなペースだ。今回は、これらの中から特に印象的だったトレードに焦点を当てて振り返る。
移籍の度に活躍した久保康友
まずは、前述した久保と橋本の交換トレード。久保はルーキーイヤーの2005年に10勝(3敗)を挙げて新人王を獲得するとともに、先発ローテーションの一角としてロッテのリーグ優勝と日本一に貢献した。2007年にも9勝(8敗)を挙げるなど貴重な先発右腕として存在感を示していたが、2008年は自己ワーストのわずか4勝(7敗)にとどまり、その後にトレード要員となった。
阪神移籍1年目は4年ぶりの完封勝利をマークするなど躍動し、前年を上回る9勝(8勝)をマーク。翌2010年にはキャリアハイとなる14勝(5敗)、リーグ最高勝率もマークするなど目覚ましい活躍を見せた。2014年からはDeNAに活躍の場を移したが、移籍1年目に12勝(6敗)を挙げているように、どんな環境でもうまく順応していく器用な投手だった。
一方の橋本は、移籍初年度に1軍での登板がわずか2試合。その後も1軍で活躍することはできずに2013年に戦力外通告を受けた。
高橋慶彦は広島時代の輝きを取り戻せず
1990年のロッテ・高橋慶彦と阪神・遠山奬志の交換トレードも印象深い。走攻守三拍子が高いレベルで揃い、史上最高のスイッチヒッターと言われた高橋は、1989年まで15年間にわたって広島に在籍。1989年に3対2の大型トレードでロッテへ移籍するも成績は低迷していた。
そのため、遠山との交換トレードで移籍した阪神では再起が期待された。だが、出場数はロッテ時代を大きく下回る57試合に減少。翌1992年はさらに出場機会が減り、同年に引退した。
一方の遠山はロッテ移籍後も左肩痛に苦しみ、在籍4年間で0勝に終わったが、その後出戻った阪神でワンポイントリリーバーとして登板数を増やし、野村克也監督のもとで再起を果たした。特に巨人の松井秀喜に対して13打数0安打に抑える活躍を見せ、松井キラーとも称された。