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巨人とDeNAのトレード史 巨人移籍後に松原誠や桑田武は結果を残せず

2022 4/14 11:00勝田聡
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巨人に移籍後、桑田武と松原誠は結果を残せず

近年の巨人はトレードに積極的な球団のひとつだ。毎年のようにトレードを成立させており、NPBでは比較的少ない同一リーグ間でのトレードも行っている。昨年も開幕前に田口麗斗(現ヤクルト)と廣岡大志のトレードを成立させたことは記憶に新しい。

その他のセ・リーグ球団とはどのようなトレードを行ってきたのだろうか。今回は巨人とDeNA(前身球団含む)のトレードを振り返ってみたい。昭和の時代にはDeNAの前身である大洋から大物選手をトレードで獲得していた。

巨人とDeNAの主なトレード,ⒸSPAIA


巨人は1969年に大橋勲を交換相手とし桑田武を迎え入れた。桑田はルーキーイヤーの1959年にプロ野球記録(現在はタイ)となっている31本塁打を放ち、本塁打王を獲得したことでもよく知られている長距離砲。1967年までの9年間で222本塁打を放っていたが、1968年は故障もあり49試合の出場でわずか1本塁打にとどまっていた。翌年、巨人では復活を期待されるも13試合の出場でノーヒットに終わり、同年オフに戦力外となった。

一方の大橋は巨人では6年間で199試合の出場していた控え捕手。大洋に移籍後も同様の役割を担った。そのなかで1970年には自己最多の93試合に出場するなど4年間で242試合に出場している。

1981年には古賀正明を交換相手とし、すでに名球会入りを果たしていた松原誠を獲得している。大洋では19年間で2081安打を放っていた松原だが、巨人では1年の在籍でわずか14安打。戦力になることはできなかった。しかしプロ20年目にして初めてリーグ優勝を経験。日本シリーズにも出場を果たした。

対して古賀は移籍が多く大洋が4球団目であり、最長となる4年間を過ごした。大洋では98試合に登板し8勝を挙げている。

桑田や松原のように大物選手を獲得するも、年齢的な衰えもあり巨人では目立った成績を残すことができなかった。

阿波野秀幸と仁志敏久が横浜で復活

平成の時代は移籍前年に結果を残すことができていなかった実績者が、巨人から移籍後に結果を残すパターンが多かった。

1998年には阿波野秀幸(巨人→横浜)と永池恭男(横浜→巨人)のトレードが成立した。阿波野は近鉄時代に4年連続2桁勝利を挙げるなど67勝をマークするも、巨人では3年間で1勝もできなかった。しかし、横浜移籍初年度から中継ぎとして50試合に登板し優勝に貢献。3年間で8勝を挙げた。まさに移籍で復活したパターンとなっている。

永池も移籍初年度に自己最多の65試合に出場。2年目にはプロ初本塁打も記録したが主力級の活躍を見せることはできなかった。その後、近鉄と楽天でプレーし2005年に現役を引退。2016年にDeNAのコーチとして古巣復帰を果たした。

2007年には仁志敏久(巨人→横浜)と小田嶋正邦(横浜→巨人)及び金銭のトレードがあった。仁志は球界を代表する二塁手だったが、移籍前年の2006年は64試合の出場で自己ワーストの打率.185(119打数22安打)、1本塁打と低迷していた。しかし移籍初年度には137試合に出場し打率.270(556打数150安打)、10本塁打と復活する。2009年の退団までに3年間で309試合に出場し戦力となった。一方の小田嶋は巨人で目立った成績を残すことができなかった。

2008年シーズン途中には真田裕貴(巨人→横浜)と鶴岡一成(横浜→巨人)のトレードが成立した。真田は2001年ドラフト1巡で巨人に入団したエース候補。1年目から6勝を挙げる活躍を見せるも、その後は伸び悩んでいた。しかし移籍後は中継ぎとして活躍。2009年からは3年連続50試合以上に登板しブルペンを支えた。鶴岡は移籍後毎年30試合以上に出場し、控え捕手としての役割をまっとうした。しかし2011年オフに国内FA権を行使しDeNAへ復帰している。

この真田と鶴岡のトレード以降は両球団間でのトレードは1件もない。つまり令和になってからはもちろん、親会社がDeNAとなってから両球団間でのトレードは成立していないことになる。はたして初のトレードはいつになるだろうか。

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