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落合博満、与田剛、江藤慎一ら実績者多数、中日とロッテのトレード史

2021 8/24 06:00勝田聡
与田剛現中日監督,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

今シーズンも加藤同士のトレードが成立

混戦模様のパ・リーグで優勝争いに加わっているロッテは、シーズンが開幕してから2件の交換トレードを成立させている。そのひとつが同じ加藤姓同士で話題を呼んだ加藤匠馬(中日→ロッテ)と加藤翔平(ロッテ→中日)のトレードだった。

加藤匠馬は8月19日の西武戦で移籍後初安打を記録すると、翌日のソフトバンク戦でも2試合連続となる安打を放ち一軍定着ヘ向け奮闘中。一方の加藤翔平は移籍後初出場となった6月18日のヤクルト戦、第1打席の初球で本塁打を放った。現時点では両選手とも移籍前よりも一軍での出番を勝ち取っており、お互いにとって実りのあるトレードとなっていると言えそうだ。

星野仙一監督就任直後の大型トレード

星野仙一が中日の監督に就任した1986年オフ。2年連続で三冠王に輝いた落合博満は牛島和彦、平沼定晴、桑田茂、上川誠二の4選手との交換トレードでロッテから中日へ移籍した。

中日とロッテの主な交換トレード,ⒸSPAIA


落合は移籍後も成績が極端に落ちることはなく、中日での7年間で打点王と本塁打王を各2回、最高出塁率を4回獲得。両リーグで本塁打王を獲得した史上初の選手となった。その後は巨人と日本ハムでプレーし、現役を引退後は中日で監督を務めた。

一方でロッテに移籍した選手を見ると、牛島は2年連続でリーグ最多セーブをマークし、1987年は救援勝利も含めた最優秀救援投手のタイトルを獲得。3年目には先発に転向し12勝を挙げている。その後は故障もあり1993年に現役を引退した。

上川は規定打席には到達しなかったものの主力として活躍。牛島と同じく1993年に現役を引退し、ロッテ、中日、楽天のコーチを歴任した。このトレードで動いた選手の中で唯一、引退後に両球団でコーチを務めている。

平沼は主に中継ぎとしてロッテで9年間を過ごし261試合に登板。1995年オフに再び交換トレードで中日に戻っている。桑田は目立った成績を残すことができなかった。

落合ほどの活躍ではないにせよ、牛島、上川、平沼の3人はロッテでも結果を残した。

初の両リーグ首位打者も中日とロッテのトレードで実現

落合の前にも両球団による大きな交換トレードがあった。江藤慎一(中日→ロッテ)と川畑和人(ロッテ→中日)である。1964年、1965年と2年連続で首位打者を獲得した江藤は1969年オフに首脳陣と揉めたことで任意引退となっていた。

江藤は翌1970年シーズン途中に復帰し、川畑とトレードという形でロッテに移籍。これは江藤にとって社会人時代、中日時代の恩師にあたる濃人渉がロッテを率いていた影響が大きい。

ロッテの所属は2年だけだったが、1971年には史上初となる両リーグでの首位打者を獲得した。ロッテと中日の交換トレードによって、両リーグでの首位打者と本塁打王が誕生していたのである。

一方で右腕の川畑は中日に2年半所属し、合計32試合に登板、3勝7敗の成績を残している。

その他にも1993年には本塁打王に輝いたこともある宇野勝と長嶋清幸が中日からロッテへと移籍している。交換要員は中継ぎ左腕の今野隆弘とベストナインを2度した獲得実績のある横田真之だった。ただ、4人とも移籍先では目立った成績を残すことができなかった。

星野が2度目の監督に就任した1995年オフに仁村徹、酒井忠晴、山本保司(中日→ロッテ)と前田幸長、平沼定晴、樋口一紀(ロッテ→中日)の3対3のトレードが行われ、1996年シーズン途中には与田剛、吉鶴憲治(中日→ロッテ)と内藤尚行、森廣二(ロッテ→中日)の2対2のトレードが行われた。第一次政権時の落合獲得ほどのインパクトはなかったが、それでも前田は中日に所属した6年間で180試合に登板するなど結果を残している。

ちなみに、この時トレードで中日からロッテへ移籍した与田は一軍監督、仁村は二軍監督として現在中日を率いている。ロッテで監督を務めていた伊東勤ヘッドコーチの存在もあるが、両球団に縁のある2人が一軍・二軍を率いていることも、加藤同士のトレードに影響を及ぼしたのかもしれない。

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