話題となった澤村と香月のトレード
プロ野球の長い歴史において、巨人とロッテとの間で行われた交換トレードは数少ない。振り返ってみると、2000年以降に両チーム間で行われた交換トレードはわずか2件。しかし、その2件は球界に衝撃を与えるインパクトのあるものだった。
まずは2020年9月に成立した巨人・澤村拓一とロッテ・香月一也とのトレードだ。2010年のドラフト1位で巨人に入団した澤村は、ルーキーイヤーの2011年に11勝を挙げると、翌年も10勝をマーク。2015年、2016年はクローザーとして2年連続で35セーブ以上を挙げるなど、通算48勝74セーブ(巨人時代)の実績があった。
一方の香月は2014年ドラフト5位でロッテに入団後、2軍で過ごすことが多く、1軍での出場はわずか47試合。将来の長距離砲と期待されながらも、1軍での本塁打は1本と力を発揮できずにくすぶっていた。
トレード直前、澤村は2軍でも結果が出ずに3軍降格を経験するなど厳しい状況だったが、それまでの実績や年俸差から格差トレードなどとも言われた。しかし、このトレードが両選手にとって転機となる。
澤村は入団会見と同日に出場選手に登録されると、その日に行われた日本ハム戦の1点リードの場面で本拠地ZOZOマリンのマウンドへ。巨人時代の同僚の大田泰示から得意のスプリットで空振り三振を奪うなど、3者連続三振という圧巻の投球を披露した。以降も澤村は、ブルペンに欠かせないリリーバーとして“救世主”と呼ぶに相応しいセンセーショナルな投球を続け、切望していたメジャー移籍の道を切り拓くまでに至った。
一方の香月は移籍後、2020年こそ1軍での出場が8試合にとどまったものの、今季は39試合に出場。ロッテ時代の1軍ではわずか1本塁打だったものの、今季は序盤の段階で3本塁打を記録。現在は2軍だが、虎視眈々と1軍昇格を目指して奮闘中だ。