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西武とDeNAのトレード史 現オリックス監督や「松坂世代」同士のトレードも

2022 2/28 11:00林龍也
オリックス・バファローズ監督の中嶋聡/元プロ野球選手の渡辺直人,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

昨季はともに最下位、巻き返し期す今シーズン

2021年シーズンはともにリーグ最下位に沈んだDeNAと西武。DeNAは2015年以来6年ぶり、西武は1979年以来、実に42年ぶりのことだった。1979年は、球団がクラウンライターライオンズから西武ライオンズに変わった初年度。つまり西武になってからは2度目の最下位ということになる。

ともに今シーズンの巻き返しを図るDeNAと西武だが、これまでにどのようなトレードがあったのだろうか。西武が球団を持った1979年以降で見ていこう。

大洋-西武時代には複数トレードが4件

DeNAと西武の主なトレード


最初のトレードは基満男と根本隆・鵜沢達雄の1対2のトレードだった。西鉄時代に入団して主力として活躍、ベストナインにも輝いた基だったが、西武初年度に移籍。大洋ではベストナイン、ダイヤモンドグラブ賞にも輝き、6年間で533試合に出場した。一方、根本は移籍後わずか1勝、鵜沢は未勝利に終わっている。

その後も積極的にトレードを行った両球団は1987年、今度は広瀬新太郎に対して永射保、片平晋作という1対2のトレードを実施。広瀬は西武でわずか5試合の登板に止まったのに対し、永射は左の中継ぎとして4年間で113試合に登板、移籍時に38歳だった片平も3年間で201試合に出場するなどベテランとしてチームに貢献した。

1990年には2件のトレードが成立。うち1件は河野誉彦・村岡耕一と秋元宏作・駒崎幸一・青山道雄という大型トレードだった。大洋ではそれなりの実績を残した河野、村岡だったが、移籍後は短命に終わった。

一方、秋元は一時は正捕手となり、谷繫元信の控えながら1998年の日本一にも貢献。引退後は横浜、西武で長くコーチを務めている。青山は移籍1年目にキャリアハイの62試合に出場し、1992年限りで引退。現在はDeNAのヘッドコーチを務める。

複数トレードも多かった大洋ー西武時代は、大洋に利があるものが多かったようだ。

首位打者争い演じた天才打者に10勝左腕

1997年には長見賢司とのトレードでデニー友利が西武に移籍。1986年ドラフト1位で入団するもなかなかその才能を開花させることができずにいたデニーだったが、西武では中継ぎとして活躍した。1998年には53試合で防御率2.60という成績でリーグ優勝に貢献。日本シリーズでは古巣・横浜を相手に第1戦、第3戦のマウンドにも上がった。

横浜が低迷していた2003年には2件のトレードが成立し、1件目はデニーの出戻りトレードだった。復帰1年目の2003年には52試合に登板するも安定した成績を残せず、2004年にはMLB移籍を目指し退団。ボストン・レッドソックスとマイナー契約を果たしている。

もう1件は、細見和史・石井義人と富岡久貴・中嶋聡の大型トレードだった。「打撃の天才」と称されながらも、守備面の不安から出場機会が得られなかった石井だが、移籍3年目の2005年に自身初の規定打席に到達。125試合でリーグ4位の打率.312を残し、首位打者争いを演じた。

富岡は移籍2年目の2004年に、プロ10年目にして念願のプロ初勝利をマーク。その後は古巣・西武に2度目の復帰を果たすも、登板なしに終わり、楽天を経て引退した。

その富岡とともに移籍したのが、現オリックス監督の中嶋だった。開幕マスクをかぶるも5月に故障し、在籍1年、わずか19試合に終わる。翌年日本ハムへ移籍すると2015年まで12年間在籍。46歳まで現役を続けた。

2004年6月には田崎昌弘・東和政と土肥義弘のトレードを実施。西武では中継ぎ左腕として活躍した土肥は、横浜では先発に転向。2年目には10勝をマークするなど、先発ローテーションを守った。東、田崎は移籍後に目立った活躍はできなかった。

横浜-西武時代にはデニーや石井、土肥など両球団にとって印象的なトレードが多かったようだ。

ゴメスや渡辺直人ら松坂世代のトレードも

DeNA初年度の2012年には、武山真吾と後藤武敏がトレード。2010年には95試合に出場するなど正捕手候補でもあった武山だが、西武では2年間でわずか20試合にとどまり、中日へ移籍した。

一方の後藤はここぞという場面での代打や、故障者が出た際には4番としても活躍し、7年間で305試合に出場。勝負強い打撃と「ゴメス」の愛称で人気を博し、2018年には引退試合を行うほどチーム内外から愛された。

2013年7月には、後藤と同じ「松坂世代」の2人、渡辺直人と長田秀一郎をトレード。楽天から横浜に移籍し、3年間で126試合、70試合、14試合と出場機会を減らしていた渡辺だったが、西武では再び出場機会を掴み、5年間で345試合に出場した。長田は中継ぎ右腕として活躍し、2年目にはキャリアハイに迫る52試合に登板し5勝をマークした。

これ以降、約8年間に渡って両球団間でのトレードは行われていない。これは、西武になってから一番長いブランクとなる。決してトレードが少ないわけではない両球団だけに、そろそろファンをあっと驚かせるトレード劇もあるかもしれない。

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