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阪神とソフトバンクのトレード史、過去には超大物や複数トレードも

2021 7/4 06:00SPAIA編集部
阪神・中谷将大とソフトバンク・二保旭ⒸSPAIA
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中谷将大と二保旭の交換トレード成立

阪神・中谷将大外野手(28)とソフトバンク・二保旭投手(31)の交換トレードが成立した。中谷は福岡工大城東高から2010年ドラフト3位で入団し、2017年には133試合出場で20本塁打、61打点をマークした長距離砲。しかし、翌2018年以降は出場機会が減少し、今季は一軍昇格できず二軍で5本塁打を放っている。

さらなる成長が期待されていたものの、大山悠輔が右の大砲としての地位を築き、新人・佐藤輝明も外野のポジションをつかんだことから、中谷は出番が巡ってこない状況だった。ソフトバンクは柳田悠岐、栗原陵矢、中村晃ら左の強打者は多いが、右の和製大砲が手薄なため、地元出身の中谷を獲得することになった。

一方、二保は九州国際大付高から2008年育成2位で入団し、2012年に支配下登録。2015年に中継ぎとして44試合登板で6勝1敗5ホールド、2020年には先発で4勝(5敗)を挙げた。今季は一軍では2試合しか登板していないが、二軍では11試合登板で4勝1敗、防御率2.57と安定した成績を残している。

シュート(ツーシーム)が全体の32%を占めており、ストレート以外にスライダー、カットボール、カーブ、フォーク、チェンジアップと6つの変化球を駆使して打たせて取るタイプ。16年ぶりのリーグ優勝を狙う阪神は岩崎優、スアレスのリリーフ陣は安定しているが、絶対的な信頼を置ける中継ぎが不足しており、先発、中継ぎともこなせる二保を補強することで暑い夏場を乗り切る構えだ。

松田遼馬と飯田優也、松田匡司と佐久本昌広も

阪神とソフトバンクのトレードは意外に少ない。前身球団も含めた過去の主なトレードが下の表だ。

阪神とソフトバンクの主なトレード


最近では2018年に松田遼馬と飯田優也が交換トレードで移籍。長崎・波佐見高出身の松田は150キロを超えるストレートで期待されたが、移籍後は2019年に挙げた2勝5ホールドにとどまり、2020年限りで現役引退した。

飯田は阪神移籍後は計6試合に登板して1勝0敗。昨年8月に小林慶祐との交換トレードでオリックスに移籍している。

それ以前になると、2002年の阪神・松田匡司とダイエー・佐久本昌広の交換トレードまでさかのぼる。

シダックスから1999年ドラフト7位で入団した松田は、野村克也監督が発案した俊足選手7人衆「F1セブン」の6号車に任命されたものの、レギュラーをつかむには至らず、ダイエー、近鉄と移籍して2004年に引退した。 佐久本はダイエー時代に主に中継ぎとして活躍したが、阪神移籍後は3年間で10試合の登板にとどまり、横浜移籍後の2007年に引退。現在はソフトバンクの一軍投手コーチを務めている。

1998年にはシーズン中にダイエー・吉田豊彦が金銭トレードで阪神に移籍。阪神には2001年まで在籍して7勝14敗。その後、近鉄、楽天でも中継ぎ、リリーフとして活躍した。現在は四国アイランドリーグ・高知の監督を務めている。

1990年に池田親興と藤本修二ら4対5の交換トレード

両球団の大型トレードと言えば1990年、阪神・池田親興、岩切英司、大野久、渡真利克則とダイエー・藤本修二、西川佳明、吉田博之、近田豊年、右田雅彦の4対5の交換トレードがあった。

日産自動車から1983年ドラフト2位で阪神に入団した池田は、1985年に9勝を挙げて優勝に貢献するなど先発右腕として活躍したが、ダイエー移籍後はリリーフに転向。1991年は6勝13セーブ、1992年は8勝14セーブを挙げた。

大野は和田豊、中野佐資とともに村山実監督から「少年隊」と命名されてレギュラーを獲得。ダイエー移籍1年目の1991年には42盗塁でタイトルにも輝いた。

一方、藤本修二は南海時代の1986年から3年連続2桁勝利を挙げたが、阪神では未勝利。西武移籍後の1995年に引退した。PL学園時代にセンバツ優勝し、法政大で通算30勝を挙げた西川は、プロ1年目の1986年に10勝(10敗)をマーク。しかし、阪神では1勝も挙げられないまま2年でユニフォームを脱いだ。

江夏豊は2対4で阪神放出、「江夏の21球」に続く物語

もうひとつ、忘れてはならない大型トレードが1976年だ。1968年に現在も歴代最高記録の401奪三振、1971年のオールスターで9連続奪三振など阪神のエースだった江夏豊が南海にトレードされたのだ。

阪神側は外野手の望月充と2人、南海側は江本孟紀、長谷川勉、池内豊、島野育夫の4人という変則の交換トレード。後に伝説を作る左腕は、南海で野村克也と出会い、リリーフに転向する。

南海には2年在籍しただけで広島に金銭トレードで移籍。山際淳司が「江夏の21球」を描くことになった日本シリーズの名勝負は、広島移籍2年目の1979年だった。3勝3敗で迎えた第7戦、近鉄をリードした9回裏に登板し、無死満塁のピンチを見事に切り抜けた投球は、現在も歴史に残る名シーンとして語り継がれている。

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