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巨人と広島のトレード史 森永勝也、木村拓也ら実績者が広島から巨人へ移籍

2022 5/5 11:00勝田聡
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樋笠一夫は移籍後に史上初の代打逆転サヨナラ満塁本塁打

今シーズンのセ・リーグは巨人と広島が開幕から上位を争っている。そんな両チームには過去どのようなトレードがあったのだろうか。これまでの主なトレードを振り返ってみたい。

巨人と広島の主な交換トレード,ⒸSPAIA


セ・パ2リーグ制となった直後の1951年、山川武範(巨人→広島)と樋笠一夫(広島→巨人)がトレードされた。1950年に広島で活躍した樋笠は広島を1年で退団。翌年6月巨人に入団するが、その見返りとして山川が広島にトレードされた。

樋笠は広島で主軸として21本塁打を放っていたものの、巨人に移籍後は1953年の12本塁打が最多。主に代打として活躍した。1956年にはプロ野球史上初の代打逆転サヨナラ満塁本塁打を放ったことでも知られている。一方の山川も移籍後の3年半で毎年300打席以上に立ち球団創設期を支え、1952年には球団初のサイクル安打を達成した。

両選手とも移籍後に記憶に残る活躍を見せていた。

長嶋茂雄の初代打・森永勝也は元広島の首位打者

1967年には宮本洋二郎(巨人→広島)と森永勝也(勝治/広島→巨人)のトレードが成立した。森永は1962年に球団史上初となる首位打者を獲得し、ベストナインにも2度輝いていた主力打者。しかし巨人に移籍後は、1967年の83試合に出場したのがシーズン最多で、主に代打として起用されたため、規定打席に到達したことは一度もない。長嶋茂雄が初めて代打を出されたときの打者としてもよく知られている。その打席で森永は板東英二(中日)から安打を放った。

宮本は大卒3年目のシーズンを迎えるところで、森永と比べると実績は少なかった。それでも移籍前年の1966年に22試合に登板し2勝1敗、防御率2.04の好成績を残していた。移籍後は初年度から32試合の登板で5勝をマークする活躍。その後、伸び悩んだものの1970年には38試合の登板で4勝、1971年には27試合の登板で6勝を挙げた。広島に在籍した7年間で157試合に登板、16勝を記録しておりまずまずの成績を残している。

1968年途中には深沢修一が巨人から広島に、川内雄富が巨人から広島へと移籍した。深沢は巨人では出場機会がなかったが、広島に移籍して2年目となる1971年に96試合に出場。以降も控えとしてチームに貢献した。初優勝となった1975年にはキャリアハイとなる108試合に出場している。

一方の川内は巨人で12試合の出場で、わずか1安打にとどまった。

2000年以降は木村拓也や青木高広が移籍

1976年には萩原康弘(巨人→広島)と小俣進(広島→巨人)がトレードされた。外野の控えとして活躍していた萩原は移籍後も同様の役割を任された。広島には7年間在籍したが、1976年には打率.341(129打数44安打)、1978年には打率.348(56打数16安打)と少ない打席機会で結果を残している。

小俣は広島時代に12試合の登板で0勝1敗だったが、巨人に在籍した3年間で80試合に登板しプロ初勝利を含む5勝を挙げた。その後、ロッテへとトレードされている。

2000年代に入ってからは、2006年途中に山田真介(巨人→広島)と木村拓也(広島)、2013年途中に小野淳平(巨人→広島)と青木高広(広島→巨人)のトレードが成立している。

「キムタク」の愛称で親しまれたユーティリティープレーヤーの木村は、34歳とベテランに差し掛かっていたが巨人でも複数のポジションにつきチームを支えた。2009年には試合途中から捕手としてマスクをかぶったことでも知られている。一方の山田は広島で目立った活躍ができず、2007年途中に阪神へとトレードで移籍。阪神でも出場機会に恵まれず、2008年に現役を引退した。

青木は2011年に76試合に登板したタフネス左腕だったが、故障により2012年は登板がなかった。移籍後は2年連続30試合以上に登板。中継ぎ左腕としてチームを支えた。一方の小野は移籍初年度に19試合、翌年も22試合に登板。しかし、その後は出番が激減し2016年に6試合に登板したのみ。広島に在籍した5年で47試合に登板したものの2015年と2017年には登板機会がなかった。

過去のトレードを振り返ってみると、どちらかといえば広島が実績のある選手を交換相手とし、巨人から実績の少ない選手を獲得していた。両球団のトレードは近年では成立していないが、次はどのようなものになるのだろうか。

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