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日本ハムとオリックスのトレード史 糸井だけじゃなかった大型トレード

2021 9/19 06:00勝田聡
阪神の糸井嘉男,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

糸井のトレードに絡んだ5人全員が移籍前に規定到達の実績あり

2013年1月23日。春季キャンプを目前に控えた時期に、糸井嘉男と八木智哉が日本ハムからオリックスへ、木佐貫洋と大引啓次そして赤田将吾の3人がオリックスから日本ハムへ移籍した。

2012年の糸井は4年連続となる打率3割を記録し、2年連続で最高出塁率のタイトルも獲得。また、4年連続ゴールデングラブ賞、2年連続ベストナインも受賞しており、押しも押されもせぬトッププレーヤーだった。そんな糸井のトレードには大きな衝撃が走った。

糸井とともにオリックスへ移籍した八木は2006年の新人王。以降は伸び悩んだ時期もあったが、2012年は6勝3敗、防御率3.38とまずまずの成績だった。先発ローテーションの一角として計算されていたはずだ。

オリックスから日本ハムへ移籍した木佐貫も巨人時代の2003年に新人王を獲得。2012年も24試合(先発21試合)に登板し5勝9敗と4つの負け越しながら、防御率2.60と優秀な数字を残していた。大引は2007年から故障離脱の期間もあったが、ほぼ正遊撃手としてプレー。赤田は2012年こそ26試合の出場だったが、当時32歳で通算848試合に出場した経験があった。

つい糸井の華やかさに目を奪われてしまうが、他の選手たちも豪華だったといえるこのトレード。通常、両球団が複数人を放出する場合、一軍実績のない選手が移籍することが多い。だがこのトレードの場合は、全員に一軍で規定打席もしくは規定投球回に到達した実績があった。

NPBにおいて大型トレードは少ない。2010年代以降、タイトルホルダークラスの選手が複数人絡んだものは、このトレードを最後に成立していない。その両球団(前身含む)は過去にも大型トレードを行っていた。そのトレードを振り返ってみたい。

50年前にもレギュラー同士のトレードが成立

1971年オフにオリックスの前身である阪急、日本ハムの前身である東映の間で3対2の大型トレードが成立した。阪本敏三、岡村浩二、佐々木誠吾が阪急から日本ハムへ、大橋穣と種茂雅之が日本ハムから阪急へ移籍しており、これもまた実績者が揃ったトレードとなった。

阪急の正遊撃手で1968年から4年連続でベストナインを受賞し、翌1969年には盗塁王も獲得している阪本は球界を代表する選手だった。また、岡村は捕手として9年連続100試合以上に出場し、1969年にはベストナインを受賞。佐々木は1971年に登板はなかったものの、1967年は31試合に登板し7勝、1969年は21試合に登板し5勝している実績があった。

一方の大橋も東映の遊撃手として3年連続100試合以上に出場していたレギュラーで、種茂も捕手として2年連続で100試合以上に出場していた実績者だった。つまり遊撃手と捕手の各レギュラーに投手一人を加えた交換トレードだったのだ。それが同一リーグ間で行われていたのだから驚きだ。

移籍後、阪本は東映に移籍後もレギュラーとして活躍するもタイトルの獲得には至らず、1976年にはトレードで近鉄へと移籍した。岡村は100試合以上の出場機会はなく、移籍から3年で現役を引退。佐々木は一軍での登板がなく1年で現役を引退している。

そして大橋は遊撃手として移籍初年度から7年連続でダイヤモンドグラブ賞(現ゴールデングラブ賞)を受賞し、種茂は移籍初年度に捕手でダイヤモンドグラブ賞を受賞。ちなみに、大橋の(遊撃手として)7年連続ダイヤモンドグラブ賞は今もパ・リーグ記録となっている。

移籍前は阪急から東映へ移籍した阪本と岡村が優っていたが、移籍後は日本ハムから阪急へ移籍した大橋と種茂が活躍を見せる結果となった。

2007年にも木元邦之らがトレードで移籍

2007年シーズン途中に行われたのは、オリックスから日本ハムへ歌藤達夫と萩原淳が、日本ハムからオリックスへ清水章夫と木元邦之が移籍するトレードだ。

前の2例と比べると少し地味に感じるかもしれないが、歌藤は主に中継ぎとして2004年に57試合、2005年には36試合に登板しており、萩原も5年連続33試合に登板し、2002年には10セーブをマークした実績がある。

一方、内野のユーティリティーである木元は2年連続(2004年と2005年)で規定打席にも到達しており、オールスターゲームに出場した2005年は打率.281(513打数144安打)、18本塁打と主軸打者としてチームを引っ張った。そして清水も主に中継ぎとして187試合に登板していた。

このトレードは清水が移籍後に92試合に登板する活躍を見せるも、その他の3選手は目立った実績を残すことができなかった。

前身球団を含め、オリックスと日本ハムのトレードでは主力クラスの選手が多く動いていた。糸井以降でこの両球団のトレードは成立していないが、再び世間をあっと驚かせるようなことはあるのだろうか。

オリックスと日本ハムの交換トレード,ⒸSPAIA


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