日本Sで優秀選手賞を受賞した香田と阿波野のトレード
ここ数年、巨人は積極的にトレードを行っている。特に楽天とのトレード(金銭含む)が多く、昨年まで3年連続で選手の往来がある。なかでも2020年シーズン途中にチームへ加わった高梨雄平(⇔髙田萌生)とウィーラー(⇔池田駿)は、チームにとって欠かせない戦力となった。
このように現在の巨人は楽天とのトレードが多いが、1995年から2004年までは近鉄とのトレードが盛んで、10年間で7件もの交換トレードを成立させている。この7件を中心に巨人と近鉄のトレードを振り返ってみたい。
皮切りともいえるのが、1995年に行われた香田勲男(巨人→近鉄)と阿波野秀幸(近鉄→巨人)の交換トレードだった。
香田は高卒3年目にプロ初勝利を挙げ、4年目には4勝を挙げた。6年目となった1989年の近鉄との日本シリーズでは、3連敗後の第4戦に先発し完封勝利をマーク。逆転日本一への立役者のひとりとなり、日本シリーズの優秀選手賞も受賞している。
翌1990年には自身初の2桁勝利をマークしたが以降は伸び悩み、1994年は21試合の登板で2勝3敗、防御率4.46の成績だった。近鉄でも移籍から2年は苦しんだが、3年目の1997年に9勝を挙げる活躍。1999年には中継ぎで55試合に登板し防御率2.44と結果を残した。
一方の阿波野はルーキーイヤーに新人王を獲得。入団から4年で58勝を挙げており、1989年の日本シリーズでは香田と同じく優秀選手賞を受賞していた。しかし1991年からの4年でわずか9勝。移籍前年はプロ入り後、初の未勝利に終わっていた。
巨人に移籍後は1年目こそ24試合に登板するも、その後の2年で合計5試合の登板に終わった。1997年オフにトレードされ、1998年からは横浜(現DeNA)でプレーした。
同一日本シリーズで優秀選手賞を受賞した投手同士の交換トレードは、香田を獲得した近鉄に分があったといえる。