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巨人と近鉄のトレード史 香田勲男や吉岡雄二らが近鉄で活躍

2022 2/4 11:00勝田聡
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日本Sで優秀選手賞を受賞した香田と阿波野のトレード

ここ数年、巨人は積極的にトレードを行っている。特に楽天とのトレード(金銭含む)が多く、昨年まで3年連続で選手の往来がある。なかでも2020年シーズン途中にチームへ加わった高梨雄平(⇔髙田萌生)とウィーラー(⇔池田駿)は、チームにとって欠かせない戦力となった。

このように現在の巨人は楽天とのトレードが多いが、1995年から2004年までは近鉄とのトレードが盛んで、10年間で7件もの交換トレードを成立させている。この7件を中心に巨人と近鉄のトレードを振り返ってみたい。

巨人と近鉄のトレード,ⒸSPAIA


皮切りともいえるのが、1995年に行われた香田勲男(巨人→近鉄)と阿波野秀幸(近鉄→巨人)の交換トレードだった。

香田は高卒3年目にプロ初勝利を挙げ、4年目には4勝を挙げた。6年目となった1989年の近鉄との日本シリーズでは、3連敗後の第4戦に先発し完封勝利をマーク。逆転日本一への立役者のひとりとなり、日本シリーズの優秀選手賞も受賞している。

翌1990年には自身初の2桁勝利をマークしたが以降は伸び悩み、1994年は21試合の登板で2勝3敗、防御率4.46の成績だった。近鉄でも移籍から2年は苦しんだが、3年目の1997年に9勝を挙げる活躍。1999年には中継ぎで55試合に登板し防御率2.44と結果を残した。

一方の阿波野はルーキーイヤーに新人王を獲得。入団から4年で58勝を挙げており、1989年の日本シリーズでは香田と同じく優秀選手賞を受賞していた。しかし1991年からの4年でわずか9勝。移籍前年はプロ入り後、初の未勝利に終わっていた。

巨人に移籍後は1年目こそ24試合に登板するも、その後の2年で合計5試合の登板に終わった。1997年オフにトレードされ、1998年からは横浜(現DeNA)でプレーした。

同一日本シリーズで優秀選手賞を受賞した投手同士の交換トレードは、香田を獲得した近鉄に分があったといえる。

吉岡佑弐はいてまえ打線を担う打者に

1997年は石毛博史と吉岡佑弐(雄二)を交換相手とし、石井浩郎を獲得した。石井は1994年に33本塁打、111打点の成績で打点王を獲得。通算133本塁打のスラッガーとして期待されるも、巨人では3年間でわずか16本塁打に終わり、1999年オフにトレードでロッテへ移籍した。

一方、巨人では目立つ活躍がなかった吉岡は、近鉄で花開いた。移籍後の1999年にレギュラーに定着し、2001年には26本塁打を放ちリーグ優勝に貢献。5年連続で規定打席に到達し、いてまえ打線を支えた。石毛も2000年に46試合に登板するなど主に中継ぎで活躍。在籍6年間で127試合に登板した。

翌1998年シーズン途中には、1989年のドラフト1位・大森剛と、南真一郎、背尾伊洋の2人をトレードした。

近鉄ではわずか6試合の登板で未勝利だった南だが、移籍初年度は9試合、2年目には19試合に登板しプロ初勝利も挙げた。そして3年目には中継ぎの一角として26試合の登板で2勝2セーブ、防御率2.08と好成績を残し、優勝にも貢献している。

一方の背尾は巨人移籍後登板なく現役を引退している。近鉄へ移籍した大森もわずか9試合の出場しかできず、1999年に現役を引退した。

2001年途中には2対2の交換トレードが成立した。三澤興一と玉峰伸典が巨人から近鉄へ、田畑一也と真木将樹が近鉄から巨人へと移籍。巨人が獲得した田畑は、移籍初年度に中継ぎとして29試合に登板するも故障があり、翌年は一軍登板なく現役を引退した。

近鉄に移籍した三澤は、その年21試合の登板で防御率4.01ながら7勝0敗と勝運に恵まれた。2002年は53試合、2003年にも48試合に登板し、中継ぎとして戦力となった。その後、2004年に根市寛貴(及び金銭)とのトレードで巨人に復帰している。真木と玉峰は移籍後、一軍での登板なく現役を引退した。

トレードを拒否した定岡正二は現役を引退

1995年より前にも印象的なトレードはあった。1983年には近鉄から巨人へ石渡茂(⇔大石滋昭)が移籍した。2度ベストナインに輝いた遊撃手であり、1979年の日本シリーズ(対広島)では、スクイズを外された場面を覚えている人も多いだろう。巨人では主に守備固めとして3年間で174試合に出場した。移籍初年度が35歳ということを考えると、まずまずの結果を残したといえる。

1986年には巨人が淡口憲治と山岡勝を交換相手とし有田修三を獲得した。強打の捕手・有田はレギュラー獲得とはならなかったものの一軍で活躍1988年には74試合の出場で12本塁打を放ちカムバック賞を受賞している。淡口も近鉄で移籍1年目からレギュラーを獲得。1989年の巨人との日本シリーズにも出場した。

このトレードは当初、定岡正二が巨人から近鉄への交換要員に名前があがっていた。しかし定岡がトレードを拒否し現役を引退。その後、交換要員が淡口らに変わった経緯がある。定岡は29歳とまだ若く前年にも47試合に登板していたことで大きな話題となった。

巨人は近鉄の最後の10年間で7件もの交換トレードを行っていた。近年の楽天との関係も長きに渡って続いていくのだろうか。巨人のトレードに注目したい。

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