最長身は201cmのモヤとスターリン
NPBでは育成選手も含めて949人が登録されている。様々な個性、特徴を持った選手がいるが、ここでは「身長、体重」と言うベーシックなデータに注目してみよう。
かつて日本には「六尺豊かな大男」と言う言葉があった。六尺とは約180cmだ。昔の180cmはとびぬけた長身。長嶋茂雄(178cm)や王貞治(177cm)も六尺なかったのだ。しかし今季のNPB全選手の平均身長は180. 8cm(2019年時点)、六尺は標準的な身長になっている。現役選手の「長身ランキング」が下の表だ。
2m以上の選手が4人いる。1位はオリックスのスティーブン・モヤと今季ドミニカ共和国からDeNAに入団した育成投手のスターリン・コルデロの2人。日本人では今春のオープン戦で活躍し「大型新人」と注目された巨人・秋広優人と、同じく巨人に育成8位で入団した阿部剣友の新人2人だ。
このほど退団を表明した西武のエルネスト・メヒアも198cmあったが、ほかの選手は全員投手だ。身長が高いと角度がつき、投手には有利な条件なのだ。190 cm台の現役選手は73人もいる。もはや「超大型」とは言えなくなっており、日本人選手も増えている。
では反対に「短身ランキング」はどうなっているだろうか。
現役最多勝(176勝)のヤクルト石川雅規がランクイン。さらに中日で中継ぎ投手として渋い活躍をしている谷元圭介の名前もある。投手としては背が低いのは有利とは言えないが、投球術や制球力などを磨いて一流投手になっているのだ。
背の低い選手には内野手が多い。特に俊敏な動きが必要な二塁手、遊撃手はむしろ小柄な方が良いという見方もできる。オリックス福田周平は規定打席に達していないが、前半戦は打率.313をマークしている。
最も背が低いのは昨年、育成6位でオリックスに入団した古長拓。ユーティリティとして独立リーグ福島で活躍した。
最重量は120kgのロッテ・フローレス
続いて体重ランキングも見てみよう。
当然ながら体格の大きな外国人選手が多い。最重量120kgのホセ・フローレスは昨年、独立リーグ富山からロッテに育成枠で移籍。その後支配下登録された。
119kgで2位のリチャードは父がアメリカ人、母が日本人。2017年に育成3位でソフトバンクに入団し、2020年に支配下登録された。打撃練習ではスタンドインを連発するパワーの持ち主だ。
ロッテの中軸打者、井上晴哉は長く日本人の最重量だったが、リチャードの入団で抜かれた格好。なおNPB史上最高体重は、2018年まで楽天でプレーしたジャフェット・アマダ―の135kgとなっている。
逆に軽い選手は下の表の通りとなっている。
最も軽いのは65kgの中日・髙松渡とソフトバンク・明石健志。ランキングには昨年50盗塁でタイトルを獲得したソフトバンクの周東佑京、新人から2年連続盗塁王の阪神・近本光司、新人でリードオフマンに抜擢された日本ハム・五十幡亮汰ら俊足の野手が多い。
BMIが最も高いのは西武・渡部健人
世の中年男性が気にする「肥満度=BMI」はどうだろうか。BMI(ボディマス指数)は「体重kg÷(身長mの二乗)」で求められる指数だ。
日本の基準では25以上が肥満、35以上が高度肥満とされている。最もBMIが高いのは、西武のドラ1・渡部健人。現在、イースタン・リーグで13本塁打41打点の二冠王とパワーを発揮している。
5、6位に同じ西武の中村剛也と山川穂高。この二人は体形がよく似ている上に打席の構えもそっくりで、遠目では区別がつかないほどだ。ここに渡部が加わったことで、余計に紛らわしくなった。
西武では売り出し中のクローザー・平良海馬も3位に入っており、ランキングのうち4人を西武勢が占めている。
続いてBMI下位ランキングが下の表だ。
日本の基準ではBMI18.5以下を「低体重」としている。NPB選手は最もBMIが低いソフトバンクの周東佑京でも「普通体重」に入っている。
軽量ランキングと同様、俊足の内野手がたくさんいるが、中には長身の投手も交じる。ソフトバンクの泉圭輔は188cmの長身から投げ下ろす速球が武器だが、球速を上げるためにはもう少し体重が必要かもしれない。
こうしてNPB選手の体格を見ていくと、ポジションによって求められる体形や体格があることが分かる。体が小さいからと言ってプロで活躍できないわけではないし、その逆も言える。体格も野球選手の「個性」と言えるのではないだろうか。
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