ポスティングでメジャー移籍は18人、パは10人
日本プロ野球界にとって、以前に比べると米国メジャーリーグは格段に近い存在となった。日本のトップレベルの選手たちが、より高いレベルで自分の実力を試してみたいと思うのは当然のことだ。
FA権を行使して夢を叶える選手がいる一方、球団が譲渡金を得られるポスティングシステムの利用も少なくない。今回はポスティングでメジャーに移籍した日本人選手を振り返る。
これまでポスティングシステムを利用してメジャーリーグに移籍した選手は18人。そのうちパ・リーグは10人で、球団別に見ると、西武が12球団最多の4人、日本ハムとオリックスが2人、楽天とロッテが1人、ソフトバンクは0人となっている。
野手はイチロー、中村紀洋、西岡剛と二刀流の大谷翔平
まずはパ・リーグからメジャー移籍した野手を見ていこう。
ポスティングシステムを世に知らしめたのはイチローだった。オリックス時代、7年連続首位打者に輝くなど日本球界最高のヒットマンは、2000年オフにポスティング申請。マリナーズの入札額は1300万ドル超と伝えられた。その後、MLB通算3089安打、117本塁打、780打点、509盗塁など、メジャーでの活躍は説明の必要すらないほどだ。
中村紀洋は近鉄時代の2002年オフにFA宣言してメッツと契約寸前までいきながら急転残留。球団合併によってオリックス所属となった2年後の2004年オフ、ポスティングでドジャースに移籍した。しかし、シーズンの大半を3Aで過ごし、1年で帰国した。
西岡剛はロッテ時代の2010年に首位打者と最多安打のタイトルを獲得し、同年オフにポスティングでツインズ入り。MLB計2年で71試合に出場し、打率.215だった。
日本ハム時代に二刀流として活躍した大谷翔平は、メジャーでも二刀流を貫けるのかが最大の注目だった。2017年オフに譲渡金2000万ドルで入札したエンゼルスと契約し、1年目に投手として4勝、打者として22本塁打、61打点をマーク。トミー・ジョン手術を受けて、2020年は二刀流復活が期待されたが結局、打者に専念した。MLB通算47本塁打をマークしている。
松坂大輔、ダルビッシュ有の移籍で譲渡金高騰
続いて投手を見ていこう。
森慎二は2005年オフにポスティングでデビルレイズ移籍。しかし、右肩痛のためメジャーで登板できないまま退団となり、2009年からBCリーグ石川の投手兼任コーチとなった。その後、西武でコーチを務めていたが、2017年に敗血症のために急死。まだ42歳だった。
甲子園で春夏連覇して西武入りし、ルーキーイヤーから3年連続最多勝に輝くなど、押しも押されもせぬ日本のエースとして活躍していた松坂大輔は、2006年オフにポスティング申請。レッドソックスの落札額は5000万ドルを超える過熱ぶりだった。インディアンス、メッツと移り、メジャー通算56勝。2015年から日本球界に復帰している。
日本ハム在籍7年で93勝を挙げていたダルビッシュ有が2011年オフにポスティング申請すると、レンジャーズが史上最高の5170万3411ドルで落札。ダルビッシュも期待に応えて、1年目から3年連続2桁勝利を挙げた。2020年は8勝を挙げて最多勝が確定している。