即戦力指名の結果は……?
今年もドラフト会議を終え、来年からプロの世界に飛び込んでくる新入団選手が注目されているが、昨年のドラフトで入団した選手たちの1年目はどうだったか。球団別に今季のルーキーの活躍ぶりを振り返ってみたい。
日本ハムは2019年ドラフトで支配下7名、育成3名を獲得した。「その年のナンバーワンの選手」を指名する」という方針のもとに、早くから指名を公言していた大船渡高・佐々木朗希(ロッテ)は抽選で引き当てられなかったこのドラフト。結果的に支配下・育成指名を通じて高卒選手の獲得は3位の上野響平のみで、即戦力志向の強い指名になった。
ドラ1左腕・河野は3勝5敗と物足りず
上位指名の4人中3人は社会人出身の投手。いずれも高校から直接社会人入りした経歴で、大学を経由した社会人より若くはあるものの、1位の河野竜生は完成度が高く評価されていた社会人ナンバーワン左腕だ。ショートスターターを活用してなんとか駒不足を補っているチーム状況にあって、1年目からローテーション投手として即戦力の働きが期待されていた。
河野の1年目は12試合に先発登板して3勝5敗、防御率5.07の成績。開幕ローテーション入りを果たすと、3試合目の7月12日オリックス戦で8回途中2失点、翌19日のロッテ戦も8回2失点の好投でプロ初勝利を挙げた。しかし、その後は6回以上を投げたのが10月以降の最後の2登板のみ。なかなか先発の役割を果たせず、中盤戦はローテーションを外れた。
期待値の高さからすれば物足りない働きという評価になってしまうだろう。今オフはエースの有原航平がメジャー挑戦へ動いており退団が濃厚。手薄になる先発ローテーションを支えるべく、2年目となる来季は飛躍を遂げたい。
2位の立野和明は一軍登板がなく、4位の変則サイド右腕・鈴木健矢は11試合で防御率7.94の成績。5位の大卒右腕・望月大希は2試合の登板だった。
育成2位・樋口がチーム史上初の「育成指名から支配下昇格」
野手は高卒内野手の上野、大卒捕手の梅林優貴、大卒外野手の片岡奨人は一軍出場なし。支配下指名の野手が一軍に呼ばれなかった中で、出番を掴んだのが育成2位指名の樋口龍之介だ。
日本ハムはこれまでライバルのソフトバンクが育成ドラフトを成功させているのを尻目に、長く育成ドラフト指名を行ってこなかった。2018年ドラフトで育成指名を解禁し、2019年ドラフトは2回目の育成ドラフト参加。樋口は球団史上、初めて育成ドラフトから支配下昇格を果たした選手ということになる。
二軍では規定未達ながら打率.342、リーグ2位タイの12本塁打、OPS1.093(シーズン終了時点)と打ちまくり、9月に支配下昇格。64打席に立ち打率は.140だったものの、初本塁打を放ち強打をアピールした。今季三塁手としてチーム最多の51試合に出場していたビヤヌエバも退団し、これといったレギュラーがいない三塁手候補として楽しみな存在だ。
2018年育成ドラフト1位の海老原一佳も今季は二軍で10本塁打をマークしている。ようやく解禁した育成ドラフトによる編成戦略が成功するかという意味でも、樋口の今後のプレーに注目したい。
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