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楽天は即戦力の小深田大翔らが期待通りの活躍【12球団ルーキー通信簿】

2020 12/9 06:00浜田哲男
【楽天】ルーキー野手成績ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

小深田はリードオフマンとして活躍

鈴木大地、涌井秀章、牧田和久、ステファン・ロメロらを大型補強し、今季は優勝候補の一角として期待されていた楽天だったが、終わってみればロッテ、西武とのクライマックスシリーズ(CS)進出争いに敗れて4位。シーズン序盤は好調な滑り出しを見せたが、終盤は逆転されることも多々あり、投打がかみ合わない試合が多かった印象だ。

得点はリーグトップの557、112本塁打はリーグ2位、打率.258はリーグトップと打撃面は好成績。浅村栄斗を中心とした強力打線は相手に脅威を与えた。中でもシーズン途中から1番に定着し、リードオフマンとして十分な働きを見せたドラフト1位ルーキー・小深田大翔の活躍は目を見張るものがあった。

試合を重ねるにつれてアジャスト

【楽天】ルーキー野手成績ⒸSPAIA


社会人野球時代(大阪ガス)から、スピード感あふれるプレーとシュアな打撃には定評があった小深田。プロ入り1年目から期待通りの活躍で、6月は打率.167、7月は.245と苦しんだものの、8月に.281と調子を上げると9月は.320、10月は.290、11月は.348と調子をグングン上げ最終的には.288(リーグ6位)、出塁率.364(リーグ7位)をマーク。来季への期待は必然的に高まる。また、17盗塁を決め自慢の脚力も存分にアピール。新人王の有力候補だ。

ゾーン別のデータを見ると、真ん中は打率.400、外角中程は.375、内角中程は.469と打ち込んでいるが、真ん中低めが.213、外角低めが.210、内角低めが.217と低めの打率が総じて低い。低めの見極めは今後の課題になるが、打率.288は及第点と言えるだろう。

打球方向のデータを見ると、右翼が22%と引っ張る打球が多い反面、中堅は20%、左中間は23%と最も多く広角に打球を飛ばしている傾向がある。今季は二塁打が16本(リーグ18位)、三塁打が5本(リーグ3位)だったが、外野の間を抜く強い打球が増えれば、脚力を活かした三塁打も増えるはずだ。

また、高卒ながら高い打撃技術を持つドラフト2位ルーキーの黒川史陽も1軍で貴重な経験を積んだ。10試合に出場し14打数2安打とプロの球に苦しんだが、1軍デビューとなった9月4日のオリックス戦では、第1打席で山岡泰輔の低めの直球をすくい上げ、犠飛を放って初打点をマーク。6日の試合でも先発出場すると第1打席にプロ入り初安打を放った。2軍では打率.297、6本塁打、31打点の成績を残し、随所で非凡な才能をアピールした。

【楽天】ルーキー野手成績ⒸSPAIA

津留﨑、瀧中らは持ち味を発揮

【楽天】ルーキー投手成績ⒸSPAIA


即戦力として期待されたドラフト3位ルーキーの津留﨑大成と同6位ルーキーの瀧中瞭太も、期待に違わぬ活躍を見せた。津留﨑は33試合に登板。1勝1敗1ホールド、防御率4.19と数字だけを見れば平凡だが、真上から振り下ろすダイナミックなフォームから繰り出す直球は威力があり、強打者を相手に直球で押す場面も度々見られた。

投球の割合は少ないものの、時折投じる大きなカーブ(被打率.150)とキレのあるフォーク(被打率.000)は効果的に決まり、プロの世界でも十分に通用することを証明した。特筆すべきはフォーク。投球割合は現在.4.4%と少ないが奪空振率が25.0%と高く、もう少し比率を高めても面白いかもしれない。

カーブ、カットボール、フォーク、ツーシームなど多彩な球種で打たせて取るピッチングが特徴の瀧中は、プロの世界でも持ち味を十分に発揮。9月19日のソフトバンク戦でプロ初登板初先発に臨むと、5回1/3を投げて5安打1失点と上々のデビューを飾った。

以降も先発ローテーションの一角として8試合に登板し、2勝1敗、防御率3.40と及第点の活躍を見せた。投球回45回で被本塁打が1本と大怪我をしない投球スタイルも魅力。瀧中がマウンドを降りてからチームが逆転されるケースも散見されるなど不運な部分もあったが、来季もローテーションの一角として計算できる投手であることには間違いない。

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小深田、津留﨑、瀧中とプロ入り1年目から戦力として活躍したルーキーが多く、来季はチームの主軸としてさらなる飛躍が期待される。

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