投手登録で話題の中日・根尾昂
近年の高校野球で最も盛り上がり、最も強かったチームのひとつが2018年の大阪桐蔭ではないだろうか。史上初となる2度目の春夏連覇を達成した当時の3年生は「最強世代」と呼ばれ、根尾昂、藤原恭大、柿木蓮、横川凱の4人がプロ入りした。あれから4年。高校時代の輝きに比べると、4選手ともプロでは苦しんでいると言えるかも知れない。
最近話題になっているのが中日・根尾昂だ。立浪和義監督が投手として起用する方針を打ち出し、6月21日には外野手から投手登録に変更された。
これまで投手として練習を積んでこなかったにもかかわらず150キロを超えるストレートを投げ込み、7月1日の阪神戦で初ホールドをマークするなど、ポテンシャルの高さを証明している。過去3年間の通算成績と今季の投打成績が下の表だ。

2018年ドラフトでは3球団競合した藤原を上回る4球団競合。両親が医師で、根尾は学業も優秀だったことから愛読書が売れるなど、プロ入り前は話題を独り占めしていた。
しかし、中日入団後は1月の合同自主トレで右ふくらはぎの肉離れを起こし、ウエスタン・リーグ開幕後の4月にはプレー中のケガで戦線離脱するなど苦難続き。ファームで108試合に出場して打率.210、2本塁打に終わり、なんと127三振を喫した。
1年目は一軍で2試合、2年目は9試合出場にとどまり、3年目の2021年5月4日にようやくプロ初本塁打となる満塁弾を放ったが、結局72試合に出場して打率.178とブレイクには至らなかった。
4年目の2022年、投手挑戦で注目を集めているとはいえ話題先行であることは否めない。プロ入り当初からショートなのか、外野なのか固定されることなく過ごしてきた根尾にとって、投手も含めて「何でもできる」ことが、逆に器用貧乏と言われかねない現状につながっている。
とはいえ、豊かな才能は誰もが認めるところ。中日も生え抜きのスター候補として、あらゆる可能性の芽を摘みたくないだろう。「二刀流」として二兎を追うのか、投手に専念するのか、いずれにしても根尾の野球人生においてターニングポイントに差し掛かっていることは間違いない。
レギュラー狙うロッテ藤原恭大
4人の中で最もデビューが早かったのはロッテの藤原恭大だ。高卒1年目から「1番・センター」で開幕スタメンに抜擢され、第4打席で初安打を記録する華々しいプロデビューを飾った。右肩上がりの成長曲線を描くかと思われたが、ここまで期待されたほどの成績は残せていない。

1年目は4月7日に二軍落ちし、以降はファーム暮らし。再び一軍に呼ばれることはなく、結局6試合に出場したのみだった。2年目は26試合出場、3年目は78試合に出場と徐々に出番を増やしているが、レギュラー奪取には至っていない。
高い身体能力と走攻守3拍子揃った野球センスの持ち主。2021年7・8月には打率.348、5本塁打、15打点をマークして月間MVPに輝くなど能力は証明済みだ。1年間シーズンを通して戦い抜く体力と、好不調の波をなくして安定した活躍ができるようになればレギュラーの座も見えてくるだろう。
プロ初勝利待たれる巨人・横川凱
大阪桐蔭からプロ入りした4人のうち2人は投手。先に一軍昇格を果たしたのはエースだった柿木蓮ではなく、控え左腕の横川凱だった。

ドラフト4位で巨人入団すると、1年目は三軍でトレーニングを積み、イースタンで4試合に登板。2年目の2020年11月に初の一軍昇格を果たし、2試合で5.2イニングを投げて被安打4、失点1だった。
3年目の2021年オフに育成契約となったが、2022年4月11日に支配下登録に復帰。5月29日の日本ハム戦で先発したものの3.0回5失点で降板した。ここまで一軍で通算5試合に登板したが、勝ち星はなし。190センチの長身左腕のプロ初勝利が待たれる。
ようやく一軍マウンドに立った元エース柿木蓮
日本ハムにドラフト5位で入団した柿木蓮は、2022年にようやく初の一軍昇格を果たした。6月10日に登録され、同30日に抹消されるまで4試合に登板。勝ち星は挙げられなかったが、ロッテ戦で藤原とも対戦するなど貴重な経験を積んだ。

ルーキーイヤーはイースタンで26試合に登板し、2勝4敗、防御率8.24。2021年もイースタンで30試合に登板して1勝2敗、防御率6.34と苦しむ日々が続いた。しかし、一軍を経験したことで精神的にも違うだろう。同級生に負けない成長が期待される。
高校卒業後に大学に進んだメンバーも4年生となった。早稲田大・中川卓也や立教大・山田健太、宮崎仁斗、同志社大・青地斗舞らの中から今秋ドラフトで指名される選手もいるだろう。4年前に日本中を沸かせた「最強世代」の今後に注目だ。
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