方針転換を思わせた2019年のドラフト指名
今年もドラフト会議を終え、来年からプロの世界に飛び込んでくる新入団選手が注目されているが、昨年のドラフトで入団した選手たちの1年目はどうだったか。球団別に今季のルーキーの活躍ぶりを振り返ってみたい。
2019年ドラフトで支配下で5名、育成で8名の選手を獲得したオリックス。近年は大卒・社会人出身選手を中心に指名し、今季首位打者の吉田正尚を筆頭に福田周平、山岡泰輔、田嶋大樹らが早くから主力に定着。即戦力志向の指名戦略で徐々に戦力を整えてきていた。
ところが2019年ドラフトでは、社会人選手への入札は外れ1位で抽選を外した河野竜生(日本ハム)のみ。結果的に支配下・育成を通じ、社会人選手の獲得はなしという形になった。
一方で、左腕の宮城大弥(1位)、遊撃手の紅林弘太郎(2位)、右腕の前佑囲斗(4位)といった3人の高卒選手を支配下で指名。低迷期からなかなか抜け出せない苦しいチーム状況の中で、ドラフト戦略の方向転換を思わせる指名となった。
ドラ1左腕・宮城が順調デビュー
ドラ1の宮城は終盤に一軍へ登場すると、11月6日の日本ハム戦を5回3失点に抑えて初登板から3戦目でプロ初勝利。佐々木朗希(ロッテ)、奥川恭伸(ヤクルト)、西純矢(阪神)ら逸材に恵まれた高卒ルーキー投手たちの中で、勝利投手一番乗りとなった。二軍では6勝を挙げてウエスタン最多勝、防御率2.72の好成績を残しており、順調なプロ生活のスタートを切ったといえる。
高校生でも150キロオーバーが珍しくない現代、ドラフト当時こそ球速は140キロ台後半という触れ込みだったが、二軍での初登板で153キロを計測しており、プロ入り以降着実に力を伸ばしてきている。一軍初登板の楽天戦でも主砲・浅村栄斗相手に高めのストレートで空振り三振を奪うシーンがあり、力で押せる本格派左腕としてスケールの大きさを感じさせた。
3位の大卒右腕、村西良太は4試合に登板して防御率9.00。シーズン中の10月には右ひじの手術を受けた。球団21年ぶりとなる開幕ローテーションに抜擢されたが、即戦力の期待には応えられなかった。
一軍登板のなかった4位の前は、二軍で14試合に登板して0勝3敗、防御率3.38の成績。投球回を上回る28奪三振で、奪三振率10.5をマークしており、本格派の片りんを見せた。
育成6位指名の大下が初打席決勝3ランの衝撃デビュー
野手でインパクトを残したのは育成6位で大卒の大下誠一郎だ。長打力不足が続くチームで、フルスイングが魅力のスラッガー候補。二軍では打率.219、2本塁打と圧倒的な成績を残したわけではなかったが、西村徳文監督退任後の9月に支配下へ昇格すると、9月15日楽天戦の一軍初打席で決勝3ラン。ファンの度肝を抜く最高のデビューを飾った。
5位の大卒内野手、勝俣翔貴もオープン戦で巨人のエース菅野智之から特大の本塁打を放つなど好アピール。下位指名ながら即戦力の期待が高まっていたが、開幕後は一軍初打席から8打席連続三振とプロの壁に跳ね返される形となった。
2位の紅林弘太郎は二軍で遊撃手のレギュラーとして出場し、11月に入ってから一軍に登場。こちらも初打席初ヒットといきなり結果を残した。宮城や18年ドラフト1位指名の太田椋らとともに、未来のオリックスを背負う選手として期待したいところだ。
育成指名でも大阪桐蔭高校のエースだった中田惟斗ら、1位から5位まで5人の高卒選手を獲得している。三軍構想が進んでいることもあり、育成指名8人はチーム史上最多だった。将来を見据えて蒔いた種は花開くのか。1年目を終えた選手たちの今後に注目だ。
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