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ヤクルト・塩見、オリックス・モヤ、楽天・小郷は覚醒前夜? データで探る「隠れた強打者」

2020 12/15 11:00青木スラッガー
(左から)ヤクルトの塩見泰隆、オリックスのモヤ、楽天の小郷裕哉ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

「隠れた強打者」を打撃の総合指標で探る

例年よりも少ない120試合制となった今季のプロ野球。これからレギュラーを奪ってやろうという立場の選手にとっては、アピールのチャンスが減るシーズンになってしまった。それでも少ない出場機会で存在感を示し、今後に大きな期待を残した打者がいる。そんな「隠れた強打者」をデータで探ってみる。

選手を比較するデータとして、セイバーメトリクスの総合打撃指標「WRAA」に注目したい。WRAAはリーグの平均的な打者と比較して、同じ打席数を立った場合にどれだけチームの得点を生み出したか、または減らしたのかを示すもの。平均的な打者と比べて優れた打撃をし、かつ打席数を増やしていくことでスコアが積みあがっていく指標である。

打撃の「質」と「量」、両方で貢献度を図る指標であり、高いスコアを出すにはある程度の打席数が必要になる。言い換えてみれば、打力のあるレギュラー選手を超えるような高スコアを出している控え選手がいれば注目といえるだろう。そこでチーム内のWRAAランキングを用い、少ない打席数でも高い打撃貢献を見せた選手を何名かピックアップしてみたい。

ヤクルト・塩見泰隆はいよいよレギュラー獲り?

セ・リーグではヤクルトの外野手・塩見泰隆に注目したい。3年目の今季は179打席で打率.279・8本塁打・21打点。序盤の打撃不振や、後半戦もコンディション不良などで開幕してから計3度の登録抹消があり、シーズンを通して戦力とはならなかったが好成績を残した。

WRAAはチーム3位の8.2をマーク。不振といえどもチームの顔であり、倍以上の打席に立った山田哲人(6.4)を上回った。他球団の選手と比較すると、主力として活躍した巨人・中島宏之(8.8)や広島・西川龍馬(8.7)に迫り、広島・堂林翔太(7.9)、中日・ビシエド(6.9)を超えるスコアだ。出場機会は多くなかったが、貢献度は非常に高かったことがわかる。

ヤクルトはFA流出が危惧されていた山田の残留が決定。山田が復活を果たせば青木宣親、村上宗隆の3人で球界屈指の強打者トリオが出来上がる。この並びに俊足の塩見が1番や2番打者として加わってくればスキのない上位打線が完成するだろう。

3年目とはいえ、大学・社会人野球を経由した塩見はすでに27歳。年齢的にそろそろレギュラーを掴まなくてはならない立場である。来年の覚醒を楽しみにしたい。

ヤクルトⒸSPAIA

オリックス・モヤはリーグでも上位の貢献度 楽天・小郷裕哉にも注目

パ・リーグで目立つのはオリックスのモヤ。中日時代(2018年~2019年途中)から長打力には定評があったものの、外国人枠の関係で出場機会に恵まれず、まだ年間を通して活躍した実績はない。今季も序盤戦は新外国人のジョーンズ、ロドリゲスに次ぐ3番手という扱いで、結局シーズン全体で途中加入の昨季よりも少ない176打席しか立てなかった。

しかしジョーンズが一時抹消された9月17日以降はスタメンに固定され、そこからだけでキャリアハイの12本塁打をマーク。打率も昨季(オリックス移籍以降)の.244から.274に上昇し、主砲・吉田正尚に続く中軸打者としての役割を果たした。

WRAAはチーム内で吉田に次ぐ9.4。倍以上の打席に立ったT-岡田(8.3)よりも高い数字を残している。リーグ全体で見てもモヤのWRAAは14位相当。オフシーズンに入ってから新外国人の報道が出ている中、やはり外国人枠の問題は出てくるが、年間を通して出場すればどれくらいの数字を残すのか見てみたい打者である。

最後に挙げたいのは楽天の外野手・小郷裕哉。2年目の今季は129打席に立って打率.295、4本塁打、12打点と存在感を示した。

WRAAの5.5はチーム内で鈴木大地の6.4に次いで7位。同学年でドラフト1位の辰己涼介は-1.8、2学年上の田中和基は-3.6。外野手で同世代のライバルとなる2人はいずれも282打席と倍以上の打席に立っているが、WRAAはプラスに届いておらず、打撃面では小郷が圧倒した形だ。シーズンの終わりがけには1・2番の打順も任され、レギュラー獲りへ前進する1年となったといえるだろう。

オリックス/楽天ⒸSPAIA


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