幻に終わったダエイのジュビロ磐田入り
サッカーの2022年FIFAワールドカップは11月20日からカタールで行われる。世界から予選を勝ち抜いた32カ国が集う4年に1度の「夢の祭典」。本大会の組み合わせ抽選は4月1日に行われ、決勝は12月18日（日本時間24時）に予定されている。
アジアではイラン代表が3大会連続出場を決定。日本代表と数々の激闘を繰り返し、またアジア随一の“ストライカー王国”でもある同国の得点ランキングは以下の通りとなっている。
1位は「ペルシアン・タワー」の異名を持つ“英雄”アリ・ダエイだ。1メートル92、80キロの恵まれた高さと異次元の跳躍力を活かしたヘッドは脅威で、国際Aマッチ通算109得点。21年にポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドに更新されるまで長らく世界1位の座に君臨していたアジアを代表するストライカーである。
1993年の広島アジア大会で負傷した際、日本のホスピタリティに感激。大の親日家となり、国交間の問題で破断したものの1994年には磐田移籍で合意していたが“日本の天敵”としても知られる。ドーハの悲劇で有名な1993年のアジア最終予選でも1得点し、日本に黒星を付けた。
逆にジョホールバルの奇跡と呼ばれる1997年のフランスW杯アジア第3決定戦では日本に延長Vゴールの末に敗れたが、そこでも1得点をマーク。対日本は6試合4得点となっている。
クラブレベルでも1997年にドイツ1部ビーレフェルトに移籍すると、翌シーズンはバイエルン・ミュンヘンに加入。リーグ戦6得点を挙げ優勝に貢献した。
ただイラン代表監督としては08年に就任するも成績不振のため09年途中に解任。イラン代表も2010年南アフリカW杯出場を逃しており、代表指揮官としては結果を残せなかった。
“イランのメッシ”アズムンは39得点で3位タイ
2位はダエイと同じ時期に活躍したカリム・バゲリの50得点。超攻撃的な守備的MFとして知られ、1997年にジョホールバルで行われた日本とのフランスW杯アジア第3決定戦で出場できなかった際は、多くの日本人が胸をなで下ろしたことだろう。
3列目から果敢に飛び出しての打点の高いヘッド、左右両足から放たれる強烈なミドル、そして守備力も随一。同アジア予選では19得点を挙げるなど当時のアジア最高ボランチで、日本に敗れた後のオーストラリアとの大陸間プレーオフでも得点を挙げてW杯出場の立役者になった。またプレミアリーグでプレーした最初のアジア人選手でもある。
3位は19年アジア杯準決勝日本戦での悪質なファウルで物議を醸したサルダル・アズムンとジャバド・ネクナムの39得点だ。“イランのメッシ”の異名を取るアズムンは14年5月26日の親善試合モンテネグロ戦でA代表デビュー。14年ブラジルW杯メンバーからは漏れたものの、同年11月18日の親善試合・韓国戦で初得点をマークした。ゼニトに所属した2019～20年シーズンはロシアリーグ得点王に輝き、来季からはドイツ1部レバークーゼンへ移籍することが決定している。
ジャバド・ネクナムは1メートル86のセントラルMF（CMF)で2006年ドイツW杯出場。その大会での活躍が認められ、オサスナ（スペイン）へ移籍。イラン人としては初のスペインリーグ所属選手となった。14年ブラジルW杯でもプレーし、1次リーグのボスニア・ヘルツェゴビナ戦では1アシストをマークした。
「ダエイの後継者」アンサリファルドは29得点
5位はアリ・カリミの38得点。1998年10月のクウェート戦でA代表デビュー。圧倒的なテクニックを武器に繰り出すドリブルで数多くのチャンスを作り出してきた同年のアジア大会では決勝戦クウェート戦で得点を挙げ、同国の優勝に貢献した。2005年にはドイツ1部バイエルン・ミュンヘンに入団。ジョーカーとして結果を残した。
ただ代表としては2010年は南アフリカW杯出場を逃し、14年ブラジルW杯にも選出されず。W杯出場は意外にも2006年ドイツ大会の1度のみになっている。
6位は現役代表のカリム・アンサリファルドで29得点。周囲を活かす動きにも長けた1メートル86のストライカーで“ダエイの後継者”としても期待されてきた。2007年、サイパ（イラン）の監督に就任したダエイの穴を埋めるためにユースから昇格。そして2009年11月のアイスランド戦でA代表初出場し、初ゴールを決めた。
その後はA代表でアリ・ダエイが背負った背番号10を任されることになった。2018年ロシアW杯では1次リーグ・ポルトガル戦で1得点を挙げた。クラブキャリアとしてはオリンピアコスに所属した17～18年シーズンはギリシャ・リーグで得点ランキング2位となる18得点。現在はAEKアテネに所属している。
7位も同じく現役代表のメフディ・タレミが28得点でランクインしている。15年6月11日の親善試合ウズベキスタン戦で代表デビューし、2018年ロシアW杯のメンバー入り。2019～20年シーズンにポルトガル1部リオ・アヴェFCに移籍。18得点を挙げて得点王になり、2021年シーズンからは名門ポルトでプレーしている。
ファルシャド・ピウスはイランリーグで7度の得点王
8位はファルシャド・ピウスの18得点。1980年代に活躍したストライカーで、 1990年アジア大会では決勝トーナメント1回戦で日本代表を破り、チームの優勝に貢献した。イランリーグでは7度の得点王。イランの名門クラブペルセポリスでは153得点を挙げている。
9位はレザ・グーチャンネジャードの16得点となっている。イラン生まれだが幼少期にオランダへ移住。複数のアカデミーを経て2005年にヘーレンフェーンのトップチームに昇格した。U―19オランダ代表でのプレー経験があったが、2012年に当時イラン代表監督を務めたカルロス・ケイロスが招集。同年10月16日の韓国戦でデビューした。その後も代表常連となり、2014年ブラジルW杯出場に貢献した。
10位はハミド・アイドドゥーディの15得点。1980年代に活躍した攻撃的MFで、1980年2月25日・北朝鮮戦でデビューを果たした。1984年には得点を量産し、同国のアジア杯出場の立役者になった。1986～1987年シーズンには当時ドイツ2部FSVサルムロアーに加入。30試合10得点を挙げた。
イラン代表は過去W杯出場5回で一度も決勝トーナメント進出したことがない。アズムンやタレミら各国リーグの得点王を要する今代表チームは、カタールW杯で負の歴史にピリオドを打てるだろうか。
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