中日・三ツ俣大樹とDeNA伊藤光が10犠打で並ぶ
プロ野球で「バントの名手」という言葉を聞かなくなった。かつては歴代1位の533犠打を決めた川相昌弘に代表されるような、チャンスで確実に走者を進める「名人」がいたが、野球のスピード化や個々のパワーアップなどもあって、簡単にバントという手段を使わなくなったことが大きいだろう。
特に今季は歴代9位の295犠打を記録している広島・菊池涼介が1番で起用されることが多く、前半戦はわずか1犠打。2013年の50犠打など、毎年2桁犠打を記録してきたが、後半戦も起用法が変わらない限り、300犠打到達はお預けとなりそうだ。
という訳で、セ・リーグの犠打ランキングの顔ぶれは昨季と変化している。ベスト5が下記の表だ。
1位は中日の三ツ俣大樹。プロ11年目の29歳は今季42試合に出場して打率.242、10犠打を記録している。スタメンで出場する機会は多くないが、7月4日のヤクルト戦では星知弥から自身7年ぶりとなるプロ2本目の本塁打を放つなど、渋い働きを見せている。
もう一人、10犠打で1位に並んだのがDeNAの伊藤光。今季は開幕に出遅れ、5月18日にようやく一軍昇格したが、以降は2番として起用されることが多く、佐野恵太、オースティン、宮﨑敏郎の強力クリーンアップにつなぐ貴重な役割を果たしている。
前半戦36試合に出場して打率.231で、三振をひとつ喫するまでにかかる打席数を示すPA/Kが4.50と高いのは気になるが、捕手としての仕事も含め、数字以上にチームへの貢献度は高いと言えるだろう。
奪三振王の中日・柳裕也が8犠打で3位タイ
3位には投手の中日・柳裕也が入った。今季は16試合に登板して7勝5敗、防御率2.42と好成績。勝利数、防御率ともリーグ3位で、112奪三振は2位の巨人・戸郷翔征(78奪三振)を大きく引き離して断トツでリーグトップだ。
その好成績を自ら演出しているのが8犠打と言えるだろう。中日はいずれもリーグ最下位のチーム打率.238、249得点と貧打に泣いているが、そんな状況でも柳は自分にできる仕事をきっちりと果たしている。
同じく8犠打で3位タイがDeNAの柴田竜拓。国学院大から入団してプロ6年目の今季は、35試合に出場して打率.250。左肩の脱臼で戦線離脱した時期もあったが、伊藤光とともに2番で起用されることもあり、堅実な内野守備も含めて「仕事人」と呼べる働きを見せている。左手人差し指の裂傷で7月10日に登録抹消されただけに回復が待たれる。
犠打ベスト5で唯一、規定打席に達しているのがヤクルトの中村悠平だ。前半戦は71試合に出場して打率.294、2本塁打、23打点、8犠打。PA/Kも7.19と5人の中では最も高く、同じ捕手で侍ジャパンにも選ばれた阪神・梅野隆太郎(4.34)よりも三振は少ない。捕手ながら2番や6番で起用されることも多かったのは、その辺りも一因だろう。
福井商から入団してプロ13年目の叩き上げ。豊富な経験でチームの3位躍進に貢献している。
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