柳裕也は112奪三振でK/9は断トツトップの9.36
野球の華と言えば、野手ではホームラン、投手では三振だろう。打たせて取るのもプロの技術だが、やはり強打者のバットに空を切らせる投手の方が魅力的と感じるファンは多いはずだ。
今季前半戦のセ・リーグで、9イニングで奪う三振数を示す奪三振率(K/9)が最も高かったのは中日の右腕・柳裕也。規定投球回以上の投手では断トツの9.36をマークしている。
リーグ唯一の3桁となる112奪三振。対戦打者に占める奪三振の割合を示すK%も27.0%でトップだ。7勝5敗、防御率2.42の好成績もうなずける。
ストレートは平均141.8キロと驚くほど速い訳ではないが、カットボール、チェンジアップ、スライダー、カーブ、シンカー、シュートを駆使。ストライクゾーンを9分割したSPAIAのゾーン別データでは、右打者の実に41.2%を外角低めに集め、被打率.190に抑えている。112三振のうち34三振を外角低めで奪っており、抜群のコントロールが生命線だ。
左打者に対しても外角低めが全体の25.3%、被打率は.068、21奪三振と右打者以上に封じ込んでいる。中日は前半戦32勝42敗12分けの借金10で4位と苦しんだだけに、後半戦も柳の右腕にかかる期待は大きい。
小笠原慎之介、大野雄大の中日勢が続く
奪三振率2位は同じく中日・小笠原慎之介の7.85。前半戦は6勝4敗、防御率2.93の成績で、リーグ3位の75奪三振、K%も20.4%をマークしている。東海大相模高時代に夏の甲子園で優勝し、ドラフト1位で中日入りして6年目。シーズン6勝はすでに自己最多を更新しており、自身初の2桁勝利も期待される。
3位も中日の大野雄大で7.27。ベスト3は中日勢が独占となった。最優秀防御率、最多奪三振のタイトルを獲得し、沢村賞に輝いた昨季に比べると、今季前半戦の3勝7敗、防御率3.59は物足りないが、それでも73奪三振、K%=20.4%はさすがと言える。後半戦の巻き返しに大野の完全復活は欠かせないだろう。
奪三振率4位は7.17をマークした広島・森下暢仁。昨季、新人王に輝いた右腕は「2年目のジンクス」など他人事と言わんばかりに6勝4敗、防御率2.29、72奪三振の好成績をマークした。侍ジャパンにも選出されており、2年目で早くもリーグを代表する右腕の一人となっている。
5位は6.72のヤクルト小川泰弘。昨季ノーヒットノーランを達成した右腕は、今季前半戦の防御率は3.90だったものの、チームトップの7勝(3敗)を挙げている。2年連続2桁勝利にも届きそうだ。
DeNA濱口遥大や巨人・戸郷翔征も高い奪三振率
ちなみに規定投球回に達していない先発投手では、DeNAの左腕・濱口遥大が奪三振率8.39と高い。今季は開幕投手を務め、5勝5敗、防御率3.18の成績を残している。
巨人の戸郷翔征も奪三振数はリーグ2位の78個を奪っており、K/9は8.39だ。前半戦だけで8勝(4敗)を挙げており、自身初の2桁勝利まで目前に迫っている。
また、阪神のガンケルは7.79、秋山拓巳も7.32と高い奪三振率を記録している。
中継ぎ、リリーフも加えると、広島のドラフト1位ルーキー・栗林良吏は33.2回で54奪三振をマークしており、K/9は驚異の14.44。平均149キロのストレートと同137.3キロのフォークを武器に、開幕から22試合連続無失点の新人記録をマークした実力が数字に表れている。
ほかにも、前半戦16セーブのヤクルト・マクガフは12.66、同9セーブの中日ライデル・マルティネスも12.55と高い奪三振率を記録している。
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