マルテが12併殺打、サンズも9併殺打
野球の試合には「流れ」がある。ムードと言い換えてもいいだろうが、得点が入りそうな雰囲気や逆転されそうな危機感は、選手だけでなく観ているファンも感じられるほど球場全体を包み込む。
その「流れ」が変わるには、何らかのきっかけがある場合が多い。例えば味方の投手が三者三振に抑えた直後は、得点が入りそうな空気になる。逆に併殺打でチャンスを潰した場合などは相手に流れが行きかねず嫌なムードになる。
では、ベンチとしては避けたい併殺打が最も多かった打者は誰だろうか。セ・リーグ今季前半戦のランキングが下の表だ。
最多の12併殺打を記録したのが阪神のジェフリー・マルテ。3年目の今季は打率.284、16本塁打、46打点と好成績をマークしているが、併殺打の多さはいただけない。出塁率.400、OPSも.900と高いだけに、リーグ優勝を果たすためには後半戦の課題のひとつかも知れない。
ちなみに同僚のジェリー・サンズも6位タイの9併殺打と多い。両助っ人の打順などは、あらゆる可能性を想定して検討する必要がありそうだ。
中日・高橋周平は左打者ながら11併殺打
併殺打の多い打者の特徴として、どちらか言うと右打ちの長距離砲で足が遅い点が共通している。ランキング表を見ても盗塁をほとんどしていない選手ばかりだ。長打を期待するからこそベンチもエンドランなどの策は講じにくく、打者も力んだ打ち損じが内野ゴロになるというパターンが多いのだろう。
そんな中で唯一の左打ちが、11併殺打で2位の中日・高橋周平。昨季は自身初の打率3割(.305)をマークしたが、今季前半戦は打率.254、5本塁打、26打点にとどまっている。3番か5番を打つことが多く、チャンスで打順が巡ってくることは避けられないため、リーグ最下位の249得点と攻撃力不足にあえぐチームへの影響は小さくないだろう。後半戦に浮上するためには課題のひとつと言えそうだ。
高橋と2位で並ぶのが巨人・岡本和真。今季は27本塁打、80打点と2冠ロードをばく進しており、併殺打に目を瞑っても一発長打を期待したくなる数字を残している。逆に言えば、併殺打を減らすことができれば史上最強の4番になれるかも知れない。
4位タイの10併殺打には宮﨑敏郎と牧秀悟のDeNA勢が並んだ。2017年首位打者の宮﨑は今季も打率.302、8本塁打、47打点をマーク。ただ、ストライクゾーンを9分割したSPAIAのゾーン別データでは、内角低めが16打数無安打と全く打てていない。インロー克服は課題だろう。
昨年ドラフト2位で中央大から入団した牧も打率.277、12本塁打、38打点とルーキーとしては上々の成績を収めている。まだまだ伸びしろは大きいだけに、より多くの打席に立って経験を積みたい。