本塁打28本➝10本、犠飛1本➝6本
野球というスポーツが点取りゲームである以上、直接勝敗につながる可能性のある「犠飛」は、もっと評価されてしかるべきだろう。現状は「犠牲フライ」という名称ゆえか、あまりプラスに評価されない傾向にある。三塁走者を還しているのに「最低限の仕事」と言われることがあるが、その1点が勝敗を分けることもあり、決して「最低限」ではないはずだ。
では、犠飛を最も打っているのは誰なのか。今季前半戦のセ・リーグでは阪神・大山悠輔が6本でトップだった。
昨季28本塁打をマークし、今季は生え抜き選手として1985年の掛布雅之(40本)と岡田彰布(35本)以来となる30発が期待されていたが、前半戦は打率.245、10本塁打、43打点と不振。それでも6本の犠飛でチームに貢献している。
ちなみに28本塁打を放った昨季の犠飛はわずか1本(リーグ1位は中日・ビシエドの10本)。本塁打が減って犠飛が増えている大山は、本塁打の打ち損じで飛距離が足りずに犠飛になることが多いと考えられる。
課題は内角にある。ストライクゾーンを9分割したSPAIAのゾーン別データでは、高低を問わず内角は全て打率2割未満を示す青に染まっている。内角低めは24打数4安打の打率.167で13三振。内角をうまくさばければ、失速して犠飛になった飛球がスタンドに届くかも知れない。
16年ぶりの優勝に向け、首位で折り返した阪神。新人・佐藤輝明ばかりが目立つが、栄光のゴールテープを切るには大山の復調が欠かせないはずだ。