伊藤大海は山本由伸を上回る9.59
パ・リーグで奪三振の多い投手と言えば、昨季最多奪三振のタイトルを分け合ったオリックス・山本由伸とソフトバンク・千賀滉大が思い浮かぶ。しかし、今季前半戦はケガに苦しんだ千賀を横目に、新たに加わった剛腕がいる。苫小牧駒澤大からドラフト1位で日本ハムに入団した伊藤大海だ。
全体の44.4%を占めるストレートの平均は146.5キロ。変化球もスライダー、カットボール、フォーク、チェンジアップ、カーブ、シュートと多彩だ。
シーズン開幕当初は勝ち星に恵まれなかったが、4月28日のソフトバンク戦でプロ初勝利を挙げると、前半戦だけで7勝(4敗)、防御率2.42をマーク。最下位にあえぐチームの中でひと際眩い光を放っている。
その伊藤が9イニングで奪う三振数を示すK/9(奪三振率)でパ・リーグトップに立っているのだ。
投球回数が少ないため奪三振数は87個だが、K/9では今や球界を代表する右腕、オリックスの山本由伸をわずかに抑えて1位の9.59。セ・リーグトップの中日・柳裕也(9.36)より高い数値を叩き出している。
ルーキーながら侍ジャパンの一員として東京五輪にも出場しており、その実力は誰もが認めるところ。後半戦でどこまで成績を伸ばし、オリックス・宮城大弥や楽天・早川隆久らと争う新人王に輝くことができるか注目だ。
山本由伸、則本昂大、宮城大弥、今井達也が続く
パ・リーグ2位は9.58の山本由伸。今季前半戦はいずれもリーグ1位の9勝(5敗)、防御率1.82と文句のない成績を残しており、2019年に最優秀防御率、2020年に最多奪三振のタイトルを獲得した右腕は高いレベルで安定している。
リーグで唯一の3桁となる121奪三振で2年連続タイトルも射程圏。対戦打者に占める奪三振の割合を示すK%も27.2%と非の打ち所がない。侍ジャパンとして出場中の東京五輪が終われば、いよいよ優勝を目指して戦う後半戦でどんな快投を見せるだろうか。
3位は楽天・則本昂大で9.34。昨季まで2年連続5勝どまりと不振だったが、今季はすでに7勝(4敗)を挙げており、2014年から5年連続最多奪三振に輝いた実力を発揮している。逆転優勝には欠かせない戦力だけに、後半戦でさらなる活躍が期待される。
4位には今季ブレイクしたオリックス・宮城大弥が入った。前半戦は9勝1敗、防御率2.10、94奪三振。平均144.2キロのストレートと同107.2キロのカーブを操り、緩急自在の投球でパ・リーグの強打者を翻弄している。8月25日でようやく20歳になる左腕が、今後どこまで成長するのか楽しみだ。
5位は7.50の西武・今井達也。作新学院高で全国制覇してから5年目の右腕は、今季6勝3敗、防御率2.60と好成績。平均150.9キロのストレートを武器に自身初の2桁勝利も狙えそうだ。
オリックス・山岡泰輔が隠れ1位
ちなみに規定投球回に達していない先発投手も含めると、オリックス・山岡泰輔が伊藤を上回る9.61という高い奪三振率を記録している。勝ち星は3勝(4敗)にとどまっているが、切れ味抜群のスライダーは健在だ。
同じくオリックスの左腕・田嶋大樹も8.79と高い。今季前半戦は5勝5敗、防御率3.45とまずまずの成績を残しており、リーグ優勝へのキーマンと言えるかも知れない。
また楽天の黄金ルーキー・早川隆久は8.47、岸孝之は8.19、田中将大は8.05と、いずれも高い奪三振率をマーク。ソフトバンクのベテラン和田毅も7.97と健在ぶりを示している。
また20イニング以上に登板している中継ぎ、抑え投手ではソフトバンク・モイネロが12.91、楽天・松井裕樹が12.51、ロッテ・小野郁が11.85、39試合連続無失点の新記録を樹立した西武・平良海馬が11.80となっている。
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