QS14回で4投手が1位タイ
プロ野球でタイトルや表彰の対象ではないものの、リーグ1位になった選手にスポットを当ててみたい。
今回はパ・リーグの「最多QS」。QSとは「クオリティ・スタート」の略で、先発投手が6イニング以上を自責点3以内に抑えることを言う。投手の分業制が確立された現代野球では、完投が減った分、QSが先発投手を評価する有力な指標のひとつとなっている。
メジャーでは7イニング以上で自責点2以内のハイ・クオリティ・スタート(HQS)も用いられるが、日本ではあまり普及していない。近年、議論になっている沢村賞の選考基準には、7イニング以上で自責点3以内という独自のQSを補足項目に設定している。
2020年に規定投球回に達したパ・リーグの投手ベスト5は下表の通りとなっている。
ソフトバンク・千賀滉大、オリックス・山本由伸、楽天・涌井秀章、ロッテ・石川歩がQS14回で並んだ。
投手3冠に輝いたソフトバンク・千賀滉大
千賀は故障で開幕は出遅れたものの18試合に登板し、11勝で最多勝、2.16で最優秀防御率、149個で最多奪三振のタイトルを獲得した。
SPAIAの投球割合データでは、全体の46.3%を占めるストレートの平均球速は153.4キロ。これに平均142.8キロのカットボール、135キロの「お化けフォーク」、129.1キロのスライダーを投げ分けるのだから、相手打者は簡単に打てるはずがない。
シーズン後半になるにつれて調子を上げ、10月は4試合に投げて3勝1敗、自責点0というほぼ完璧な内容。日本シリーズでも第1戦で巨人・菅野智之に投げ勝ち、日本一に貢献した。
最多奪三振のオリックス・山本由伸
最下位に終わったオリックスの中で、山本の力投は数少ない明るい話題のひとつだった。今季は18試合に登板して8勝4敗。149三振で千賀とタイトルを分け合い、シーズン最後で千賀に抜かれたが防御率もリーグ2位の2.20と好成績を収めた。
山本も千賀と同様、平均151.3キロの力強いストレートが最大の武器。さらに143.7キロのフォーク、123.6キロのカーブ、146.4キロのカットボールなど、速くて鋭い変化球を投げ分ける。
同じ登板数だった千賀の57四球に対して、山本は37四球とコントロールでは山本の方が上だ。来季こそ自身初の2桁勝利を挙げたい。