神戸一中、関西学院中が連続優勝
故郷の代表校の、夏の甲子園での最高成績をご存知だろうか。何度も全国制覇した都道府県もあれば、頂点に届きそうで届かない都道府県もある。そこで夏の甲子園での最高成績を都道府県別に紹介する。今回は全国3位タイの7回の優勝を誇る兵庫県。
甲子園のお膝元・兵庫県は7校が1度ずつ優勝している。夏の甲子園14回優勝の大阪府から4回優勝で9位タイの京都、福岡までの上位10県で、1校1回ずつ頂点に立っているのは兵庫県だけ。他県は複数回優勝している高校がある。それだけ兵庫県は昔から群雄割拠、いわゆる強豪校が多いことの裏返しとも言えるだろう。
県勢初優勝は1919年、兵庫県の鳴尾球場で行われた第5回大会。神戸一中(現神戸)は和歌山中に3-1、慶応普通部に3-0、盛岡中に8-0と勝ち進み、決勝は長野師範に7-4で勝ち、初めて頂点に立った。
神戸は第1回大会から出場を続ける皆勤15校のうちの1校で、1987年ドラフトではエース鎌仲政昭が中日から2位指名されて話題になった。神戸一中時代は東京府立一中(現日比谷)、愛知一中(現旭丘)とともに「一中御三家」と称され、現在は県内屈指の進学校としても知られる。
県勢2回目の優勝は翌1920年の関西学院中。松本商を6-0、愛知一中を5-3、鳥取中を14-3で下し、決勝は第2回大会優勝の慶応普通部に17-0と大勝して兵庫県勢による2連覇を果たした。関西学院中は1928年のセンバツでも優勝している。
さらに1923年には初出場の甲陽中(現甲陽学院)が快進撃を見せる。初戦で宇都宮商を8-2で破ると、2回戦は後に巨人と阪神で監督を務める藤本定義擁する松山商を3-2で撃破。準々決勝で早稲田実に6-1、準決勝では立命館中に13-5で勝利し、決勝では大会3連覇を目指していた和歌山中を5-2で破った。
甲陽中はその後、春8回、夏4回出場しているが、1938年を最後に甲子園から遠ざかっている。
戦後初優勝は芦屋、東洋大姫路はサヨナラ本塁打で劇的V
兵庫県代表の戦後初優勝が1952年の芦屋。山形南に12-1、新宮に2-0、柳井商工に2-0、成田に3-0と勝ち上がり、決勝では後に南海入りして新人王に輝く木村保擁する大阪・八尾に4-1で快勝した。
エース植村義信は卒業後に毎日入りしてプロ通算74勝、当時2年生だった本屋敷錦吾は立教大に進学して長嶋茂雄、杉浦忠とともに「立教三羽烏」と呼ばれ、プロでも活躍した。
芦屋の優勝以降、兵庫県勢が深紅の優勝旗を手にしたのは25年後の1977年だった。5回目の出場だった東洋大姫路は千葉商に4-0、浜田に5-0、豊見城に8-3、今治西に1-0と勝ち進み、決勝の相手は「バンビ」と呼ばれた1年生・坂本佳一擁する東邦だった。
細身の体と幼い顔立ちで人気急上昇していた坂本に対し、東洋大姫路のエース松本正志も譲らず1-1のまま延長戦に突入。10回裏2死一、二塁から安井浩二が決勝戦史上初のサヨナラ本塁打となる3ランを放って劇的な優勝を飾った。
「江夏二世」と呼ばれた左腕の松本はドラフト1位で阪急入りしたが、プロでは1勝に終わっている。
報徳学園・金村義明が優勝投手、育英も頂点
兵庫県勢6回目の優勝は1981年の報徳学園だ。4番でエースの金村義明は同年センバツ1回戦で大府の槙原寛己(元巨人)に投げ負けたため、心中ひそかに期するものがあった。
盛岡工に9-0と大勝スタートすると、2回戦は横浜に4-1、3回戦は荒木大輔のいた早稲田実に3点リードされながら9回裏に追いつき、延長10回に5-4でサヨナラ勝ち。勢い付いた報徳は準々決勝で今治西を3-1、準決勝では同大会2回戦でノーヒットノーランを達成した工藤公康(現ソフトバンク監督)擁する名古屋電気を3-1で下した。
京都商との近畿対決となった決勝は、金村と京都商・井口和人との投げ合いになったが、7回と8回に1点ずつ奪った報徳が2-0で完封勝ち。金村は見事に優勝投手となり、卒業後はプロでも活躍した。
県勢7回目の優勝は育英だった。1993年の第75回大会、初戦で秋田経法大付に14-4で大勝すると、旭川大高を11-3、横浜商大高を5-4、修徳を8-1、市船橋を6-1で下して決勝進出。春日部共栄との決勝は1点を競り合う好ゲームとなったが、8回に勝ち越した育英が3-2で勝利。同校初の全国制覇を果たした。
センターの大村直之はプロで通算1865安打、春日部共栄のエース土肥義弘はプリンスホテルを経てプロ入りし、通算31勝を挙げている。
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