仙台育英、東北があと一歩で優勝逃す
故郷の代表校の、夏の甲子園での最高成績をご存知だろうか。何度も全国制覇した都道府県もあれば、頂点に届きそうで届かない都道府県もある。そこで夏の甲子園での最高成績を都道府県別に紹介する。今回は準優勝3回の宮城県、ベスト4が1回の山形県、準優勝1回の福島県。
いまだ優勝のない東北勢で最も頂点に近いのは宮城県だろう。これまで春に1度、夏は3度も決勝進出しながら、いずれも敗れている。
宮城県勢で初めて決勝に進んだのが1989年の仙台育英。後にプロ入りする右腕・大越基を擁して鹿児島商工(現樟南)、京都西(現京都外大西)、弘前工を下し、準々決勝ではセンバツで敗れ、元木大介(現巨人ヘッドコーチ)、種田仁(元中日など)のいた上宮に10-2で雪辱した。
さらに準決勝で尽誠学園を破って決勝進出。相手は後にプロで131本塁打を放つ4番でエースの吉岡雄二擁する帝京だった。両エースの投げ合いで0-0のまま延長に突入したが、10回に2点を献上した大越はついに力尽きた。
2001年センバツで仙台育英がまたも準優勝。宮城県勢として夏2回目の決勝は2003年の東北だった。2年生エース・ダルビッシュ有(現カブス)を擁して決勝進出したが、常総学院に2-4で敗れた。
2015年にも仙台育英が決勝進出した。エース佐藤世那(元オリックス)や平沢大河(現ロッテ)、郡司裕也(現中日)ら、後にプロ入りする有力選手が並び、悲願成就なるかと期待されたが、東海大相模に6-10で敗戦。8回まで同点だったが、9回表に4点を奪われ、万事休した。
日大山形が2013年に初のベスト4
山形県勢は2013年に日大山形が準決勝進出したのが過去最高だ。
1936年に山形中(現山形東)が初出場して以来、初戦敗退が続き、甲子園初勝利は1973年の日大山形。初めての8強入りも2006年の日大山形だった。山形の高校球界を引っ張ってきた存在として、2013年は新たな1ページを刻んだ記念すべき大会となった。
初戦の2回戦で日大三を7-1、3回戦で作新学院を5-2で下すと、準々決勝は明徳義塾に4-3で勝利。準決勝は優勝した前橋育英に1-4で敗れたが、優勝経験のある強豪を破っての堂々のベスト4だった。4番の奥村展征は同年ドラフト4位で巨人入り、現在はヤクルトでプレーしている。
福島は磐城の準優勝で地元涌き返る
福島は1971年の磐城の準優勝が光る。
当時、石炭から石油への「エネルギー革命」が叫ばれ、磐城の石炭産業は斜陽化していた。炭鉱の閉鎖など暗いニュースに沈む街にとって、磐城の快進撃は、まさに希望の光だった。
その原動力が「小さな大投手」と呼ばれた身長165センチのエース田村隆寿。初戦の日大一戦(1-0)から準々決勝の静岡学園戦(3-0)、準決勝の郡山戦(4-0)まで3試合連続完封で決勝進出を決める。桐蔭学園との決勝でも6回まで0点に抑えたが、7回に大会34イニング目にして初失点。結局0-1で敗れ、頂点には届かなかったが、小さな体で強豪に立ち向かう姿は地元はもちろん、全国に感動を与えた。
磐城は2020年のセンバツに21世紀枠で選ばれ46年ぶりの出場が決まっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって大会中止となり、木村保監督が4月に他校へ転任したことが話題になった。木村前監督は8月15日に行われた甲子園高校野球交流試合の国士館戦で、ノッカーとして甲子園の土を踏んでいる。
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