ドラ2山野は1試合の登板もKO、ドラ1木澤は一軍登板なし
2021年のプロ野球界は新人選手の活躍が目立った。タイトル争いにからんだ、あるいは獲得した選手もおり、大豊作の1年だったと言えるだろう。そこで球団ごとに一軍出場したルーキーの通信簿を作成してみた。20年ぶり6度目の日本一となったヤクルトから見ていこう。
ヤクルトの新人投手で唯一、一軍で登板したのがドラフト2位の山野太一(東北福祉大)だった。
開幕ローテーション入りを果たした山野は、第6戦目となる4月1日のDeNA戦でプロ先発のマウンドに上がった。立ち上がりから2者連続三振を奪うも、そこから三連打を浴び2失点。2回には3四死球に2本の適時打を浴びノックアウト。初登板は1.1回7失点、被安打5、与四球2、与死球1、奪三振3とほろ苦いものとなった。以降は一軍での登板はなく、二軍でも1試合に登板したのみに終わっている。
一軍登板がわずか1試合、投球回数にして1.1回と少ないが、奪ったアウトはすべて三振だったこともありK%は25%。奪三振は「4」の高評価となった。一方でBB%は16.7%とリーグ平均の8%を大きく下回り「1」の低評価となっている。左腕ながら平均球速は144.5キロでリーグ平均の145.4キロと同等だった。FIP5.70は防御率の47.25と比べると格段によいがリーグ平均の3.59は大幅に下回った。
ドラフト1位の木澤尚文(慶応大)はシーズンを通して二軍で過ごし、優勝決定後の11月1日に一軍登録されたものの登板機会はなかった。ドラフト6位の嘉手苅浩太(日本航空石川高)も高卒1年目ということもあり、二軍で1年を終えている。
元山はショートスタメンでチーム2位の60試合に出場
野手は支配下指名された3人のルーキーがいずれも一軍での出場を勝ち取った。なかでもドラフト4位の元山飛優(東北福祉大)は97試合に出場。遊撃のポジションでのスタメン60試合は西浦直亨(71試合)と遜色なかった。3本塁打、3三塁打を記録するも、二塁打はわずか1本にとどまりISOは.077。リーグ平均(.133)を大きく下回ったため、パワーは「2」という評価となった。
BB%は7.2%でリーグ平均の7.8%をやや下回っている。しかし打席数の違いはあるものの佐藤輝明(阪神/5.5%)、中野拓夢(阪神/5.5%)、牧秀悟(DeNA/5.2%)とセの他球団の主力ルーキーたちを上回った。wRC19.2と得点創出はリーグ平均を大きく下回ったものの、新人ながら内野守備の要である遊撃手のポジションを争ったこともあり、貢献度は「3」とした。
足に大きな期待をかけられていたドラフト5位の並木秀尊(獨協大)は、4月3日に初昇格すると5月24日までの約1ヶ月半で27試合に出場した。スタメン起用は1度もなく、代走17試合、守備固め9試合、代打1試合とすべてが途中出場のため、打席数は6と少ない。そのなかでプロ初安打を記録した。
また盗塁は4つで盗塁死は0。企図は多くないものの盗塁成功率は100%だった。spd6.18はリーグ平均の5を上回っていることもあり走力評価は「4」となった。wRC1.08と得点を創出はほとんどできておらず、貢献度は「1」。来シーズンは代走、守備固めで結果を残しつつ打撃面での向上が欠かせない。
ドラフト3位の内山壮真(星稜高)は3度一軍に昇格。代打で6打席に立ったが、四球を1つ選んだものの初安打は生まれなかった。また守備にもついておらず、今シーズンに限っては一軍の雰囲気を掴む”お試し”での意味合いが強い。そのため貢献度は「1」となっている。
しかし二軍では8本塁打を記録。フレッシュオールスターでも一発を放ちMVPに輝いた。将来に期待がかかる有望株であることは間違いなさそうだ。
今年のヤクルトの新人は元山が97試合に出場した。しかし他球団のようにレギュラークラス、あるいは先発ローテーションや守護神となるようなチームの主力として活躍した選手はひとりもいない。
それにもかかわらずチームは日本一に輝いた。言い換えると、2年目、3年目に彼らが戦力となったとき、戦力の厚みがさらに増すということでもある。今後、彼らが確固たる戦力となる日が楽しみだ。
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