28歳のオールドルーキー阿部翔太は4試合登板
2021年のプロ野球界は新人選手の活躍が目立った。タイトル争いにからんだ、あるいは獲得した選手もおり、大豊作の1年だったと言えるだろう。そこで球団ごとに一軍出場したルーキーの通信簿を作成してみた。25年ぶりにリーグ優勝したオリックスを見ていこう。
投手の新人は立教大からドラフト4位で入団した中川颯と日本生命から6位で入団した阿部翔太の2人。「球威」「制球力」「奪三振」「総合」の4項目を5段階評価した。
球威はリーグの平均球速、制球力は同BB%(対戦打者に占める与四球の割合)、奪三振は同K%(対戦打者に占める奪三振の割合)、総合は同FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)から算定した。
ルーキーだけの相対評価ではなく、リーグ平均と比較したものなので低い評価になることが多いが、それでも優秀な「成績」を収めた選手は少なくない。
中川は立教大59年ぶりの日本一に貢献したアンダースロー。一軍では7月14日の日本ハム戦1試合に登板し、1回無失点に抑えた。二軍では41試合登板で2勝2敗、防御率1.12と好成績を残している。
1試合のみのため評価は参考程度だが、FIPは2.83を記録しており、総合は「4」がついた。ストレートは平均133.4キロと遅いため球威は「1」だが、二軍では奪三振率10.80をマークしており、奪三振能力は高い。来季は一軍での出番も増えるだろう。
阿部は酒田南高、成美大、日本生命を経て28歳でプロ入りした苦労人。4月30日のソフトバンク戦で一軍デビューし、4試合に登板して勝ち負けなし、防御率7.36の成績が残っている。
ストレートは平均144.4キロで球威は「3」。BB%は6.3で制球力は「4」の高評価となった。年齢的にも来季はさらなる飛躍が期待される。
育成出身の佐野如一は走力「3」
野手で一軍出場を果たしたのは明石商高から3位で入団した来田涼斗と仙台大から育成5位で入団した佐野如一の2人。それぞれ「パワー」「選球眼」「走力」「貢献度」の4項目を5段階評価した。
パワーはリーグの平均ISO(長打力を示す指標)、選球眼は同BB%(打席数に占める四球の割合)、走力は同spd(走力を示す指標)、貢献度は同wRC(特定の打者が生み出した得点を示す指標)から算定している。
明石商2年春のセンバツで史上初の先頭打者本塁打とサヨナラ本塁打を1試合でマークした来田は、プロデビューも鮮烈だった。7月13日の日本ハム戦、7番レフトで先発出場すると、初球をいきなりライトへ2ラン。高卒新人の初打席初球本塁打は史上初だった。
最終成績は23試合出場で打率.211、2本塁打、8打点。二軍では89試合で打率.255の成績を残した。ISOは.127でパワーは「4」の高評価。選球眼は「1」とまだまだ粗削りだが、ポテンシャルは相当高い。大きく育てば将来のクリーンアップを担う逸材だろう。
育成出身の佐野は開幕直前に支配下登録。開幕一軍入りし、10試合出場で8打数無安打5三振だった。二軍では91試合出場で打率.204の成績を残している。
経験不足で低評価も仕方ないが、走力は「3」評価。持ち前の俊足と強肩で来季は出番を増やしたい。
25年ぶりのリーグ優勝を果たしたものの、日本シリーズではヤクルトに敗れ、日本一はお預けとなったオリックス。今季は次々に若手が台頭したが、2020年ドラフト1位の山下舜平大(福岡大大濠高)や2位の元謙太(中京高)ら高い素質を持つ若手はまだまだいる。来季は誰が伸びていくのか楽しみだ。
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