伊藤は防御率リーグ4位、新人特別賞を受賞
2021年のプロ野球界は新人選手の活躍が目立った。タイトル争いにからんだ、あるいは獲得した選手もおり、大豊作の1年だったと言えるだろう。そこで球団ごとに一軍出場したルーキーの通信簿を作成してみた。新庄剛志監督で話題を集める日本ハムを見ていこう。
投手の新人で一軍出場を果たしたのは、ドラフト1位で苫小牧駒澤大から入団した伊藤大海のみ。「球威」「制球力」「奪三振」「総合」の4項目を5段階評価した。
球威はリーグの平均球速、制球力は同BB%(対戦打者に占める与四球の割合)、奪三振は同K%(対戦打者に占める奪三振の割合)、総合は同FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)から算定した。
ルーキーだけの相対評価ではなく、リーグ平均と比較したものなので低い評価になることが多いが、それでも伊藤は優秀な「成績」を収めている。
開幕一軍入りを果たした伊藤は1年間ローテーションを守り、23試合登板で10勝9敗、リーグ4位の防御率2.90。侍ジャパンの一員として東京五輪にも出場し、新人王こそオリックス・宮城大弥に譲ったものの新人特別賞を受賞した。
ストレートは平均146.3キロとリーグ平均を上回っており、球威は「4」。K%はリーグ3位の23.1で奪三振も「4」がついた。さらにFIPも同じくリーグ3位の2.73で「4」。BB%は8.7で制球力だけは「3」だったが、各項目とも高い能力を証明している。
今オフには2600万円増の年俸4100万円(推定)で契約更改。新庄ビッグボス率いる新生ファイターズでさらなる飛躍が期待される。
五十幡は驚異のSpd8.61
野手で一軍出場を果たしたのは中央大から2位で入団した五十幡亮汰、智弁和歌山高から4位で入団した細川凌平、JFE東日本から6位で入団した今川優馬の3人。それぞれ「パワー」「選球眼」「走力」「貢献度」の4項目を5段階評価した。
パワーはリーグの平均ISO(長打力を示す指標)、選球眼は同BB%(打席数に占める四球の割合)、走力は同spd(走力を示す指標)、貢献度は同wRC(特定の打者が生み出した得点を示す指標)から算定している。
五十幡は27試合出場で打率.225、9盗塁。二軍では23試合出場で打率.333、出塁率.455、5盗塁をマークしている。
特筆すべきは中学時代、100メートル9秒97の記録を持つサニブラウン・アブデル・ハキームに勝った実績を誇る俊足だ。Spdの8.61は、規定打席到達者でリーグ1位の西武・源田壮亮の7.04を大きく上回る。走力は文句なしの「5」だ。
新庄監督は五十幡を4番として起用する構想も温めている。誰も真似できない俊足を武器に、来季は出番が増えそうだ。
細川凌平と今川優馬も貴重な経験積む
細川は走攻守3拍子揃った内野手として期待されており、高卒1年目ながら10月に一軍昇格して9試合に出場。25打数5安打12三振とプロの壁にぶち当たったが、貴重な経験を積んだ。二軍では28試合出場で打率.209、1本塁打、3盗塁を記録している。
一軍での出場機会が少なかったため走力以外は「1」となったが、ポテンシャルは高いだけに今後の成長が期待される。
地元・北海道出身の今川はフルスイングが魅力の外野手。一軍では13試合出場で打率.071、1本塁打に終わったものの、二軍では61試合出場で打率.310、14本塁打、46打点の好成績を残した。
ISOは.107を記録しており、パワーは「3」。その他は「1」だったが、成長株として期待は小さくない。
今秋ドラフトでは1位で天理高の達孝太ら育成を含めて13人を指名した日本ハム。オフの主役を張る新庄ビッグボスが来季開幕後も主役を張るためには、若手の底上げが重要だ。
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