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【ルーキー通信簿】西武・渡部健人は二軍で二冠王、若林楽人は惜しまれるケガ

2021 12/28 06:00SPAIA編集部
西武のルーキー通信簿,ⒸSPAIA
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ドラフト2位・佐々木健は5試合登板のみ

2021年のプロ野球界は新人選手の活躍が目立った。タイトル争いにからんだ、あるいは獲得した選手もおり、大豊作の1年だったと言えるだろう。そこで球団ごとに一軍出場したルーキーの通信簿を作成してみた。42年ぶりパ・リーグ最下位に終わった西武を見ていこう。

投手の新人で一軍出場を果たしたのは、ドラフト2位でNTT東日本から入団した佐々木健、福岡大準硬式野球部から5位で入団した大曲錬、四国学院大から育成5位で入団した水上由伸の3人。「球威」「制球力」「奪三振」「総合」の4項目を5段階評価した。

球威はリーグの平均球速、制球力は同BB%(対戦打者に占める与四球の割合)、奪三振は同K%(対戦打者に占める奪三振の割合)、総合は同FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)から算定した。

ルーキーだけの相対評価ではなく、リーグ平均と比較したものなので低い評価になることが多いが、それでも優秀な「成績」を収めている選手も少なくない。

西武のルーキー通信簿インフォグラフィック


即戦力左腕として期待されていた佐々木だが、一軍では5試合に登板して8.2回で13安打、9失点、防御率8.31と結果を残せなかった。プロ2度目の先発となった7月2日のオリックス戦ではわずか3球で危険球退場となった。二軍では9試合で1勝2敗、防御率5.23の成績を残している。

ストレートの平均は143.1キロで球威は「3」だが、それ以外の3項目は「1」。来季の巻き返しへ、まずは首脳陣の信頼を勝ち取りたい。

準硬式出身の大曲錬と育成出身の水上由伸は貴重な経験

5位の大曲は西日本短大付高から福岡大準硬式野球部を経てプロ入りした変わり種右腕。二軍で36試合に登板して1勝3敗、防御率4.43の成績を残し、10月に一軍昇格して4試合に登板した。

ストレートの平均は148.5キロで球威は「4」の高評価。FIPは3.27で総合も「3」がついた。準硬式ながら大学時代に通算35勝、防御率1.09をマークした素質を開花できるか。来季以降の成長が期待される。

水上は二軍で18試合に登板して0勝2敗、防御率5.60の成績を残し、5月に支配下登録。6月に一軍昇格すると29試合に登板し、0勝1敗4ホールド、防御率2.33をマークした。

ストレートは平均146.3キロで球威は「3」。27回で22三振を記録し、奪三振も「3」、FIPは3.51で総合も「3」となった。育成出身ルーキーとしては上々の成績だろう。

渡部健人はパワー十分も選球眼が課題

野手で一軍出場を果たしたのは桐蔭横浜大から1位で入団した渡部健人、駒澤大から4位で入団した若林楽人、東農大北海道オホーツクから6位で入団したブランドンの3人。それぞれ「パワー」「選球眼」「走力」「貢献度」の4項目を5段階評価した。

パワーはリーグの平均ISO(長打力を示す指標)、選球眼は同BB%(打席数に占める四球の割合)、走力は同spd(走力を示す指標)、貢献度は同wRC(特定の打者が生み出した得点を示す指標)から算定している。

身長176センチ、体重112キロの巨体で中村剛也、山川穂高に続く大砲候補として期待された渡部は、一軍出場はわずか6試合、16打数1安打、1本塁打、2打点、7三振に終わった。二軍では90試合に出場して打率.228、19本塁打(イースタン・リーグ1位タイ)、64打点(同1位)で二冠王に輝いている。

一軍で唯一の安打は、デビュー戦となった4月4日のソフトバンク戦でベテラン和田毅から左翼スタンドに運ぶ特大の一発。ISOは.188でパワーは「4」となったが、それ以外の3項目は低評価に終わった。

二軍で本塁打を量産したパワーは本物。来季はプロの投手に早く慣れて一軍で力を発揮したい。

若林楽人は20盗塁、ブランドンは二軍で10本塁打

若林は開幕一軍入りを果たすと、外野のポジションを勝ち取り、主に1番打者として起用された。しかし、5月30日の阪神戦で左膝前十字靭帯を損傷して戦線離脱。シーズン後半はリハビリ生活に費やすことになった。

両リーグ最速で20盗塁をマークするなど俊足を発揮し、44試合出場で打率.278、2本塁打、20盗塁の成績。パ・リーグ盗塁王は24盗塁で4人が並んだため、結果的に見ればケガさえなければタイトルを獲れた可能性は高い。

Spdは5.84で走力は「4」の高評価。パワーと貢献度も「3」で、経験を積めば不動のリードオフマンになり得る存在だ。

アメリカ人の父親と日本人の母親の間に生まれたブランドンは沖縄出身で、石川高時代は通算18本塁打。6位指名ながら開幕一軍入りを果たし、最終成績は32試合出場で打率.247、3本塁打だった。二軍では66試合出場で打率.273、10本塁打、30打点の成績を残している。

ISOは.198を記録しており、パワーは「4」。1年目から多くの実戦経験を積んだだけに、来季は今季以上の成績が期待される。

42年ぶり屈辱の最下位に沈んだ西武。今秋ドラフトでは1位で4球団競合した西日本工業大・隅田知一郎ら不足している左腕を補強した。巻き返しへ若手の底上げは急務だ。

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