早川は抜群のコントロールで9勝
2021年のプロ野球界は新人選手の活躍が目立った。タイトル争いにからんだ、あるいは獲得した選手もおり、大豊作の1年だったと言えるだろう。そこで球団ごとに一軍出場したルーキーの通信簿を作成してみた。パ・リーグ3位だった楽天を見ていこう。
一軍出場を果たしたのは早稲田大からドラフト1位で入団した早川隆久、法政大から2位で入団した高田孝一、亜細亜大から4位で入団した内間拓馬の3人。それぞれ「球速」「制球力」「奪三振」「総合」の4項目を5段階評価した。
球威はリーグの平均球速、制球力は同BB%(対戦打者に占める与四球の割合)、奪三振は同K%(対戦打者に占める奪三振の割合)、総合は同FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)から算定した。
ルーキーだけの相対評価ではなく、リーグ平均と比較したものなので低い評価になることが多いが、それでも優秀な「成績」を収めた選手は少なくない。
4球団競合した早川は噂に違わぬ実力を発揮した。6月6日の広島戦で7勝目を挙げ、最多勝争いにもからんでいたが、同25日に抹消。初めてのプロのシーズンで疲労が蓄積し、東京五輪中断明けの後半戦は2勝どまりで、最終的には9勝7敗、防御率3.86だった。
ルーキーとしては上々の成績だが、前半戦の勢いから見ると後半戦は失速した印象を拭えない。来季はシーズン通してローテーションを守れるスタミナが課題だろう。
それでも各項目では能力の高さが実証されている。ストレートは平均144.9キロで球威は「3」だったが、BB%は5.3で制球力は「4」。規定投球回にはわずかに届かなかったものの137.2回で30四球と抜群のコントロールを披露した。
また127三振を奪い、K%は22.5とリーグ平均を上回っており、奪三振も「4」。FIPは2.63で、120回以上投げた投手ではリーグ3位につけており、総合も「4」の高評価となった。
来季、優勝を果たすには欠かせない戦力であることは間違いない。「2年目のジンクス」を吹き飛ばすような好成績が期待される。
高田は二軍の奪三振王、内間は10.2回で16奪三振
ドラフト2位入団の高田は、法政大で東京六大学リーグ通算7勝を挙げた右腕。6月に一軍昇格し、計3試合に登板して勝ち負けなしの防御率1.35だった。二軍では6勝10敗、防御率3.21。イースタン・リーグ最多の95三振を奪っている。
K%は21.4で奪三振は「4」。BB%も3.6で制球力も「4」の高評価となった。同期の早川に追いつけ追い越せで、来季は少しでも出番を増やしたい。
ドラフト4位入団の内間は亜細亜大時代に東都通算7勝を挙げた右腕で、巨人1位の平内龍太と同期。一軍では11試合に登板して防御率5.91だったが、10.2回で16三振を奪い、素質の高さをのぞかせた。
登板数が少ないため参考記録ではあるものの、K%は35.6と驚異的な数値を記録しており奪三振は「5」。FIPも沢村賞に輝いたオリックス・山本由伸の1.74を上回る1.25で総合も「5」の最高評価となった。
ストレートの平均球速は149.6キロで球威も「4」。二軍では26試合に登板して実戦経験を積んでおり、来季が楽しみな存在だ。
投手を中心に指名した昨秋ドラフトから一転、今秋ドラフトでは1位・吉野創士(昌平高)、2位・安田悠馬(愛知大)、3位・前田銀治(三島南高)とスラッガー候補を補強した楽天。着実に戦力を上積みし、来季こそ優勝を狙う。
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