球威、制球力、奪三振は「3」の平内
2021年のプロ野球界は新人選手の活躍が目立った。タイトル争いにからんだ、あるいは獲得した選手もおり、大豊作の1年だったと言えるだろう。そこで球団ごとに一軍出場したルーキーの通信簿を作成してみた。3位に終わった巨人を見ていこう。
投手の新人は亜細亜大から1位で入団した平内龍太と四国アイランドリーグ徳島から育成7位で入団した戸田懐生の2人。「球威」「制球力」「奪三振」「総合」の4項目を5段階評価した。
球威はリーグの平均球速、制球力は同BB%(対戦打者に占める与四球の割合)、奪三振は同K%(対戦打者に占める奪三振の割合)、総合は同FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)から算定した。
ルーキーだけの相対評価ではなく、リーグ平均と比較したものなので低い評価になることが多いが、他球団では優秀な「成績」を収めた選手も少なくない。ただ、巨人のルーキーは目立った活躍はなかった。
リーグ連覇していた巨人のV逸の要因はいくつかあるが、期待のドラ1平内が未勝利に終わったこともそのひとつだろう。入団当初は2桁勝利を期待する声さえあったものの、蓋を開ければ3試合に登板したのみで0勝1敗、防御率14.40。二軍では38試合に登板して5勝4敗、防御率3.13だった。
ストレートは平均146.7キロで球威は「3」、BB%は8.3、K%は20.8で制球力、奪三振も「3」と新人ながらリーグの平均的な実力は持っている。1位としては物足りない成績だったが、10月27日ののみやざきフェニックス・リーグ西武戦では8者連続奪三振をマークするなどポテンシャルは高いだけに巻き返しが期待される。
育成7位の戸田懐生は二軍で8勝
育成7位で入団した戸田は二軍で実績を挙げ、6月7日に支配下登録。同11日に一軍昇格し、3試合に登板した。7月4日に二軍落ちしたもののイースタンリーグでは18試合登板で8勝1敗、防御率3.30の好成績。2年目以降に期待を抱かせた。
一軍での登板が少ないため5段階評価は参考程度だが、ストレートは平均143.2キロで球威は「3」。BB%は8.3で制球力も「3」、FIPは4.00で総合も「3」となった。
まだ21歳で伸びしろは十分。東海大菅生高を中退し、通信制のKTCおおぞら高から独立リーグを経てプロ入りした苦労人が素質開花できるか注目だ。
秋広優人は代打で1打席のみ
野手で一軍出場を果たしたのは二松学舎大付高から5位で入団した秋広優人のみ。それぞれ「パワー」「選球眼」「走力」「貢献度」の4項目を5段階評価した。
パワーはリーグの平均ISO(長打力を示す指標)、選球眼は同BB%(打席数に占める四球の割合)、走力は同spd(走力を示す指標)、貢献度は同wRC(特定の打者が生み出した得点を示す指標)から算定している。
身長2メートルの左打者で構えも大谷翔平に似ており、春季キャンプで一軍に抜擢されるなど話題を呼んだが、開幕直前に二軍落ち。結局、一軍では9月29日の中日戦に代打出場したのみだった。
イースタン・リーグでは82試合出場で打率.229、8本塁打。唯一の一軍打席は左飛に終わっており、評価は4項目全て「1」だったが、二軍で実戦経験を積み、来季以降に改めて一軍出場のチャンスをうかがう。
育成で12人指名した2020年に続き、2021年ドラフトでも育成で10人を指名した巨人。補強より育成に舵を切っており、今後も若手を育てて戦力の底上げを図りたい。
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