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【ルーキー通信簿】阪神は佐藤輝明、中野拓夢、伊藤将司らが大車輪の活躍

2021 12/19 06:00SPAIA編集部
阪神のルーキー通信簿,ⒸSPAIA
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10勝の伊藤将司は制球力「4」

2021年のプロ野球界は新人選手の活躍が目立った。タイトル争いにからんだ、あるいは獲得した選手もおり、大豊作の1年だったと言えるだろう。そこで球団ごとに一軍出場したルーキーの通信簿を作成してみた。惜しくも2位に終わった阪神を見ていこう。

投手の新人はJR東日本から2位で入団した伊藤将司、東洋大から4位で入団した村上頌樹、四国アイランドリーグ高知から8位で入団した石井大智の3人。「球威」「制球力」「奪三振」「総合」の4項目を5段階評価した。

球威はリーグの平均球速、制球力は同BB%(対戦打者に占める与四球の割合)、奪三振は同K%(対戦打者に占める奪三振の割合)、総合は同FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)から算定した。

ルーキーだけの相対評価ではなく、リーグ平均と比較したものなので低い評価になることが多いが、それでも優秀な「成績」を収めた選手は少なくない。

阪神のルーキー通信簿インフォグラフィック


伊藤は先発ローテーションの一角を担って23試合に登板し、10勝7敗1ホールド、防御率2.44の好成績を収めた。ストレートは平均140.1キロで球威は「2」だが、BB%は6.1と優秀。140.1回を投げて34四球しか与えておらず、制球力は「4」がついた。2年目も2桁勝利が期待される。

村上頌樹は二軍で投手三冠、石井大智は一軍で18試合登板

村上は智弁学園高時代にセンバツで優勝した本格派右腕。一軍では2試合登板で0勝1敗、防御率16.88に終わったが、二軍では10勝1敗、防御率2.23でウエスタン・リーグの最多勝、最優秀防御率、最高勝率に輝いた。

ストレートは平均140.6キロとそれほど速くないため球威は「2」。その他の項目は全て「1」と一軍での実績がないこともあって低評価になったが、潜在能力は高い。来季の有望株の一人だろう。

石井はドラフト8位ながら開幕一軍入りを果たし、中継ぎで18試合に登板した。変化球はシンカー、スライダー、カーブと球種は少ないものの、ストレートは147.8キロで球威は「3」。BB%は8.0、K%は21.3で制球力、奪三振も「3」となった。1年目としては上々の成績だろう。

佐藤輝明は24本塁打、中野拓夢は盗塁王

野手で一軍出場を果たしたのは近畿大から1位で入団した佐藤輝明と三菱自動車岡崎から6位で入団した中野拓夢の2人。それぞれ「パワー」「選球眼」「走力」「貢献度」の4項目を5段階評価した。

パワーはリーグの平均ISO(長打力を示す指標)、選球眼は同BB%(打席数に占める四球の割合)、走力は同spd(走力を示す指標)、貢献度は同wRC(特定の打者が生み出した得点を示す指標)から算定している。

ドラフトで4球団競合した佐藤は開幕から自慢の長打力を発揮。シーズン前半戦に首位を快走したチームに大きく貢献した。東京五輪中断明けから極度のスランプに陥り、最終成績は126試合出場で打率.238、24本塁打、64打点。田淵幸一が1969年にマークした22本塁打の球団記録を更新するなど、大きな話題となった。

ISOはリーグ6位の.228を記録しており、パワーは「4」の高評価。逆にBB%は5.5で選球眼は「2」と低い。ワースト6位タイの1シーズン173三振を喫した通り、ボール球の見極めは来季以降の課題だろう。

中野は佐藤を上回る135試合に出場し、打率.273、30盗塁で盗塁王に輝いた。近年、固定できなかったショートでレギュラーを奪い、近本光司に続く2番打者として何度もチャンスメイクした功績は大きい。

非力なためパワーは「1」だが、走力と貢献度は「4」。近本との1、2番コンビが機能するかどうかは、来季優勝へのカギと言える。

2021年ドラフトでは高知高の剛腕・森木大智や智弁学園高のスラッガー前川右京を獲得した阪神。若手の成長でさらなる戦力の底上げができれば、優勝も見えてくるはずだ。

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