アルカンタラは4項目中3項目で「4」
2021年もプロ野球界に多くの新外国人選手が加入した。期待に応えた新助っ人もいれば、期待外れだった選手もいる。そこで球団ごとに通信簿を作成してみた。惜しくも優勝を逃した阪神を見ていこう。
投手は「球威」「制球力」「奪三振」「総合」の4項目、野手は「パワー」「選球眼」「走力」「貢献度」の4項目を5段階評価。球威はリーグの平均球速、制球力は同BB%(対戦打者に占める与四球の割合)、奪三振は同K%(対戦打者に占める奪三振の割合)、総合は同FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)から算出した。
昨季から在籍した外国人選手や、新加入でも一軍出場のない外国人選手は対象外としている。
助っ人8人態勢で臨んだ阪神。投手の新加入はラウル・アルカンタラとチェン・ウェインだった。2020年に韓国・斗山で20勝をマークしたアルカンタラは、24試合登板で3勝3敗6ホールド、防御率3.49。新型コロナの影響で来日が遅れ、先発で7試合、中継ぎで17試合と起用法も一定しなかった。
ストレートは平均152.2キロを記録しており、球威は「4」。身長193センチと大柄なため荒々しい剛腕タイプに見えるが、BB%は5.8%と意外に制球力も良く「4」の高評価となった。
逆にK%は19.8%とそれほど高くないため「3」。FIPは3.28で「4」をつけた。2年契約のため来季残留も決まっており、コンディションを整えて起用法も固定すれば、さらに期待できそうだ。
チェン・ウェインは左肩が治れば復活も
台湾出身のチェン・ウェインは中日からメジャーに移籍してMLB通算59勝をマークした左腕。2020年にロッテ入りして日本球界に復帰し、2021年から阪神に移籍した。
開幕前の期待は高かったが、今季はわずか2試合の登板で1勝を挙げたのみ。左肩痛のため不本意なシーズンとなった。
ストレートは平均141.3キロのため球威は「2」。制球力、奪三振も「3」だが、FIPは2.44を記録しており「4」がついた。登板数が少ないため一概には言えないが、メジャーで活躍した投球術は伊達ではない。来季も残留すると見られており、左肩さえ治れば復活しても驚けない。
ロハス・ジュニアは走力と貢献度が「2」
野手の新助っ人はメル・ロハス・ジュニア。アルカンタラ同様、韓国・KTで2020年に47本塁打、135打点で二冠王とMVPに輝いた実績を引っ提げて阪神入りした。
ただ、新型コロナの影響で来日が遅れたとはいえ、60試合出場で打率.217、8本塁打、21打点と、韓国時代の実績からすると物足りなさが残った。
リーグの平均ISO(長打力を示す指標)から算出したパワーは「3」、同BB%(打席数に占める四球の割合)から算出した選球眼は「3」と平均的。同spd(走力を示す指標)から算出した走力、同wRC(特定の打者が生み出した得点を示す指標)から算出した貢献度はともに「2」となった。
2年契約のため来季も残留するが、阪神は退団したジェリー・サンズの後釜を探しており、助っ人8人態勢を継続する模様。ロハス・ジュニアは上積みがないと出場機会はなかなか増えないだろう。
いずれにしても、今季逃したペナントを奪うには外国人の力が必要。守護神ロベルト・スアレスも流出しただけに、来季も助っ人がカギを握りそうだ。
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