マルティネスは奪三振と総合が「5」
2021年もプロ野球界に多くの新外国人選手が加入した。期待に応えた新助っ人もいれば、期待外れだった選手もいる。そこで球団ごとに通信簿を作成してみた。昨季から在籍した外国人選手や、新加入でも一軍出場のない外国人選手は対象外としている。
まさかのパ・リーグ4位で日本シリーズ5連覇を逃したソフトバンクを見ていこう。投手の新助っ人はニック・マルティネスとコリン・レイの2人だった。
リーグの平均球速から算定した「球威」、同BB%(対戦打者に占める与四球の割合)から算定した「制球力」、同K%(対戦打者に占める奪三振の割合)から算定した「奪三振」、同FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)から算定した「総合」の4項目を5段階評価した。
マルティネスは2020年まで日本ハムで3シーズンプレー。2018年には先発で10勝を挙げ、2021年からソフトバンクに移籍した。
新型コロナの影響で来日が遅れ、5月にようやく一軍初登板すると1カ月で4勝をマークして月間MVP。その後もローテーションを守り、21試合で9勝4敗、防御率1.60の好成績を残した。
わずかに規定投球回には達しなかったとはいえ、1.39でタイトルを獲得したオリックス・山本由伸に次ぐ防御率をマークしただけあって、4項目とも高い数値を残している。K%が25.0で奪三振は「5」、FIPも2.62とリーグ3位相当の数字で総合も「5」の最高評価。ストレートも平均151キロで球威も「4」、BB%も6.9で制球力も「4」がついた。
しかし、今オフ、パドレスと4年契約で合意。藤本博史新監督を迎えて出直しを図るソフトバンクにとっては痛恨の流出となった。
コリン・レイは無念の途中退団
コリン・レイはメジャー通算35試合で8勝8敗の長身右腕。コロナ過で来日が遅れたが、6月3日のDeNA戦でデビューし、7月12日の楽天戦では完封勝利を収めるなど6試合で3勝1敗、防御率2.03の好成績だった。
しかし、東京五輪期間中に帰国した夫人が出産したため離れられないという理由で8月に退団。チームにとっては手痛い戦力ダウンとなった。
特筆すべきはK%が25.3と高く「5」の最高評価となったこと。登板が少ないとはいえ、セ・リーグで最多奪三振に輝いた中日・柳裕也でさえ24.9だから、その優秀さが分かるだろう。その他の項目は「3」だったが、優良助っ人と言える実力の持ち主だった。ここに来て再契約の動きが報じられており、成り行きが注目される。
途中入団のアルバレスは出場12試合のみ
野手はリーグの平均ISO(長打力を示す指標)から算定した「パワー」、同BB%(打席数に占める四球の割合)から算定した「選球眼」、同spd(走力を示す指標)から算定した「走力」、同wRC(特定の打者が生み出した得点を示す指標)から算定した「貢献度」の4項目をそれぞれ5段階評価した。
ダリエル・アルバレスはキューバ出身で、オリオールズやメキシカンリーグを経て、今季からBCリーグ茨城でプレー。7月にソフトバンク入りし、東京五輪中断明けに一軍デビューしたが、12試合出場で打率.162、1本塁打、3打点に終わった。
選球眼は「3」だったが、パワーは「2」、走力と貢献度は「1」の低評価。すでに自由契約となっている。
サファテが引退し、バレンティンも退団。グラシアルとデスパイネも退団濃厚と報じられており、来季は日本で実績を残した助っ人がいなくなる可能性もあるソフトバンク。V奪回に向け、今オフの補強の行方が注目される。
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